Nonsection Radical

撮影と本の空間

日本人は真面目すぎる

2012年09月05日 | Weblog
真面目な事は美徳であったのは、どうやら世の中が上り調子で成長した時代の事のような気がする。

現在の戦後日本を再建してきた世代は、確かに頑張った。
しかし、見返りが目に見えて実感出来た事も事実である。
その成功物語を武器に、現在も”立役者”の経済団体のお偉方が陣頭指揮をとる企業もある。
成功の法則を時代が変わっても律儀に守ろうとしている。
また汗水垂らして働けば、”必ず”良い結果が生まれると信じている。
だから良い結果が生まれないのは努力が足りないからだとも思っている。
一度決めた事は、石の上にも三年、途中で方向転換したり、中止したりする事は弱者のする事だと考える。
また先人の成功した事を畏敬の念で心し、永年的に継続しなければならないと思っている。

その真面目さが失敗の本質なのではないか?
真面目に働き、真面目に家族を養い、真面目に歳取り死んでいく。
そこには進歩とか発展とか転換とかよりも継続が重んじられる。
昨日が今日であればいい、と思っている。
それでも無から成長してきた時代には、勝手に変化していったので良かった。
新しい製品が次々開発され、電化された暮らしが広がり、現在のカタチが完成した。

ところが成長しない時代に入ると、意識的に変化を求めてこなかったもの、つまり真面目さだけがそのまま残り、昨日と同じ今日を求める生活スタイルが自発的成長を生み出すわけもなく、停滞した経済の中で”古くさい”価値観で新しい世の中を創り出そうとあがく事になる。
不景気になると公務員が人気職業となるのは、昨日と同じ仕事を今日も明日もずっと続けていく仕事であり、変化の必要ない毎日を真面目に頑張っていけばイイという意識にマッチするからだとも言える。
行政とはそういうもので、勝手に各自が新しい事を始めてはならないのだから。
しかし企業となると、そういうわけにはいかない(はずなのだ)。
常に新しい事を始めて金儲けにつなげなければならない。
なのに、公務員になりたがる人も私企業に入社する人も、同じ意識なのだ。
真面目に先人の歩んだ道を自分もたどろうと努力するのである。
先人と同じ事を繰り返そうと努力するのである。
いつまでも、先人が成功した製造業、自動車、テレビなどの家電、輸出中心の産業を守ろうとするのだ。
それが販売競争で負けるのは、努力と工夫が足りないのだと。
故障の少ない、良い品なら必ず売れるはずだ、なぜなら、そうやって日本製品は売れてきたのだから。
そういう意識だけは生き残り、真面目に努力し、沈没していこうとしている。

日本の経済成長は一世代限りのものだった。
戦後生き残った、あるいは生まれた人達”昭和世代”が繁栄を築き、老化とともに終焉を迎えたのだ。
次は”平成世代”が新しい価値観を生み出し、新しい自分たちの時代を築いて繁栄し、享楽し、年老いていけばイイのだ。
そういう世代交代の繰り返しでこれからの世の中が進んで行けばイイのだ。
昭和世代の遺物に遠慮する事なく、自分たちが楽しむ為の世の中を生み出して欲しい。
きっと今よりずっと進歩した世の中になると思う。
その為には、昭和の真面目さを捨てる事だと思う。
年老いたものは捨てていけばイイのだ。




尾道市東土堂町6から


北九州市門司区東門司1丁目14から
コメント
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