上砂理佳のうぐいす日記

7月18日(木)~23日(火)まで、茶屋町の「ギャラリー四匹の猫」で「夏への扉」展に参加します★

目に浮かんだ風景★

2024-05-03 | うぐいすよもやま日記
入院初日の内視鏡検査後に来られた内科の先生は、
「腫瘤が見つかりました」
と告げました。
「しゅりゅう?」
よくわからないけどこれ多分、よくある大腸ポリープだよね。。。癌って言わなかったもんね。
安心しきってその夜友達にメール。
ポリープだったら取れば数日で退院出来るから、もうそのあとの段取りを考えていました。

ところが翌朝の回診に来たまた別の先生に、
「昨日、しゅりゅうって言われましたが、ポリープってことですか?」
と聞いたらば、
「いいえ、癌です」
という返答。
「…初期ですか?」
「いいえ、ステージ4です」
「はあ」
「10時半から外科の先生の説明があります。ご家族と一緒に聞いてください」
となり、10時半。
映像を見せられ、そこには4cmに育った癌の塊がデンと。
大腸癌は、肛門に近い直腸癌が大半だそうで、下痢や血便の自覚症状が出ますが、私はもっと上(奥)の、小腸と大腸のつなぎめあたり「上行結腸(盲腸)」部分に出来ていたので、ここはまだ食べ物が液状で便になってない。よって下痢も血便もなし。痛くなって初めて判った次第です。
胃カメラは数年前にやって「ツルツルで綺麗ですよ!」と太鼓判をもらっていたし、自覚症状もなしだから大腸内視鏡やらなくていいよねー、と長年避けてきた。あの下剤2L飲む検査も嫌だし…。
「胃と腸はねー。別モノなんですよ」
と言われてしまいました。納得。

癌は1cm育つのに10年かかるらしいので、じゃあ私は40年かけて育ててたのかなー。
逆に言えば40年もよく入院ひとつせず、時々お腹痛いぐらいで、仕事して遊んで無事にやってこれたもんだ。妙に感心してしまったというか現実味がありませんでした。
周辺のリンパに少し転移していたので一緒に取り除くけど、患部から離れた大動脈近くのリンパの腫れが、癌なのか違う原因か不明。これは経過観察に。

晩になって初めて凹みました。
癌と言われて即座に脳裏に浮かんだのは「海辺のホスピス」の光景。
海が好きだから、自分は年とったら海辺の町で暮らして、弱ってきたら海辺の老人ホームに入って、いよいよとなれば海辺のホスピスでラストを過ごす。
そう未来予想図を描いていました。それはまさに、小川糸さんの「ライオンのおやつ」の表紙の絵。
瀬戸内の島のホスピスで、最後を過ごす若い女性が主人公のお話です。
(前から欲しかったけど、昨日文庫を見つけて購入)

人間いつかは死ぬのだから、それは怖くないけれど、「今」とは思っていなかった。
平均寿命考えたら、20数年は先だわ。それまでは、介護も卒業して「楽しき老後ライフ」を送ろう。
そう思っていたのに、自分は大急ぎで「店じまい」ならぬ「人生じまい」をせねばならんとは。
あまりに予定外で、何より、死ぬということは、自分の存在がまるごと無くなってしまうということ。
今までは自分の「目」から世界を見ていて、あーだこーだと「想って」きた。
その「想い」が、「世界」だった。
でも、自分の視界から見える世界まるごと無くなってしまうということは、本当に「全てが終わる」ことなんだな、と。
その虚無感。
なんとも言い難い感触。
頑張ってきた人生自体に悔いは無いんだけど、ああ自分に「楽しき老後」は無いのかな。そこはちょっと残念(意外に長く生きるのかもしれませんが)。

などと色々な思いで、ろくに眠れませんでした。
癌で亡くなった友達も、こんな気持ちだったのかな。もっと寄り添ってあげれば良かった。苦しかっただろな。
あの人もこの人も。様々な顔が浮かびます★
コメント
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