カルロ・コッローディ、『ピノッキオの冒険』

 『ピノッキオの冒険』の感想を少しばかり。

 “目玉の次には、鼻ができた。が、できるとすぐ、鼻はどんどんのびはじめた。のびてのびてのびて、あっというまに途方もない長さになった。” 15頁

 子供の頃にみた映画や絵本には特に思い入れもなかったようで、大した記憶もなく、こんな話だったのか…と新鮮だった。“大人のいうことをきかない子供はひどい目にあう”とか、取ってつけたような教訓には、自分が子供だったら鼻白むばかりだと思う。兎に角何しろ、大人にとって都合の良い従順な子供(悪い友達とはつき合わないとか、親孝行で学校にちゃんと通うとかさ…)がすなわち良い子! …という意図に満ち満ちているように感じるのが、いささか窮屈だった。
 でもその一方で、思いのほか残酷なところがあったり、肝心な冒険の方はころころ状況が変わっていくし、仙女さまの存在がかなり不可解だったりして、へえええ…と意外に思う箇所が幾つもあるのは面白かった。辛うじて憶えていたクジラの胃の中での再会の場面は、そもそもクジラじゃない…のにはびっくらした。

 ピノッキオは、所謂良い子ではないだろうけれど、時々とても可愛かったよ。

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