2月4日(読んだ本、『真夜中』)

 @rinakko
 【真夜中 (1982年) (ジュリアン・グリーン全集〈10〉)/ジュリアン・グリーン】

 母親に死なれ孤児になった10歳の少女エリザベートが、自ら見出した親切な保護者の下で成長する(曰く“育ちのいい人間に仕立てられ”)経緯を描く第二部までの流れ、からの第三部における悪夢めく展開の落差に摑まれた。16歳になった主人公の新たな引き取り先は、主(母親の元恋人)の親類縁者が幾人も住んでいるのに昼間こそりとも音がしない、古めかしく不気味な家だった…。
 精神の覚醒を説くエドム氏の幸福論と、そこに拮抗するセルジュ側の肉体の蠱惑。矛盾を抱え両者間をゆれ迷うエリザベートの不安の先に、確かな救いは現れない。(ジュリアン・グリーン、安定の暗い結末で…)
訳者あとがきによると第二部の途中で執筆が中断され、その間に書かれたのが『幻を追う人』であり、その影響が第三部に及んだのではないかと。

 
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