3月18日(金)のつぶやき(読んだ本、『マリーナ』)

@rinakko 09:45
【マリーナ (1973年) (女のロマネスク〈1〉)/インゲボルグ・バッハマン】を読んだ本に追加

 素晴らしい読み応えだった。詩を書けなくなった詩人の悲痛な叫びが充満している。どうにも立て直せなくなってしまった人生と、己自身への絶望の深さ。呼び覚まされた過去の悪夢たち。作品としては纏りを欠き、内容そのものもただただ破綻へと向かっていく小説ではある。でも、あまりにも切実な言葉たちに幾度も掴まれた。その生きにくさは彼女だけのものだが、気持ちが引き寄せられる。
 解説の言葉を使うと、戦後のヴィーンという舞台が“〈わたくし〉の内面とかさなり合った作品の主人公”のように描かれている。いくつもの通り(ガッセ)をぐるぐるとゆき過ぎて、やはり袋小路にしかたどり着けない。
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