11月11日(水)のつぶやき(読んだ本、『シェヘラザードの憂愁』 再読)

@rinakko 09:17
【シェヘラザードの憂愁/ナギーブ マフフーズ】を読んだ本に追加

 再読。素晴らしい読み応え。数ヶ月前に読み終えた千一夜物語…の翌朝から始まる、続篇といえる作品。何百人もの処女、何十人もの敬虔な篤心家を殺したスルタンが、本当に別人のようになるわけもなく懺悔を重ねて罪が消えるはずもない。という自身の苦悩とシェヘラザードの憂愁。
 一方、権力を持つものが悉く不正を行う市の様相は、人心を惑わす妖霊と信者のイフリートたちの介入により混迷を深めていく。アラディンやシンドバードが登場して《物語》の境界が滲む。幻想的な設定には魅了され、騙し合い誘惑に負け堕落した者、運命に抗い苦悩する者たちの姿を描く眼差し、その先のラストに痺れた。
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