スティーヴ・エリクソン、『Ⅹのアーチ』

 スティーヴ・エリクソンって、読めばことごとくどんぴしゃに好きだ…。むう。『Ⅹのアーチ』の感想を少しばかり。

 素晴らしい読み応えだった。手繰る指先から何度もかき消える幻の、その須臾の美しさを追うような時間だった。力尽きた腕がぽとり――膝の上に落ちて、切なさに茫然としてしまった。
 革命の足音がまだ少し遠いアメリカはヴァージニアで、トマスとサリーは主人とその女奴隷だった。そこからしか始めることは出来なかった、そしてそれを変えることも…。確かに宿命的に惹かれ合いながらも、愛と自由の選択肢の前に何度でも引き裂かれてしまう恋人たちの悲哀に、胸が締めつけられる。なぜ、これほどまでに追い詰められ張り詰めた状況のさ中で、愛と自由のどちらかを選ばねばならないことになるのか。なぜ、どちらをも手に入れることがそれほどまでに困難であったのか…と。ぐるぐると彷徨い続けるような、時間の流れの不可解な連なり。そこで繰り返される邂逅と別離――。
 一言では説明しがたい錯綜した筋立てと言い、重くてきついテーマと言い、全てがまとわりつくようで絡め捕られていくような読み心地だった。でもそれでいて、幾つもの情景や映し出された幻影から目が離せなくなり、我知らずうっとり…魅入られた。

 以前『彷徨う日々』の感想にも書いたが、まるで反対の方向へと走る二つの電車がすれ違うほんの一瞬の、それぞれの車窓から投げられた眼差しが一瞬絡むような…そんな刹那過ぎる邂逅の場面も、本当に忘れがたい。その、まさに奇跡の邂逅の意味が、その時の彼らには見えていない…というそのことに、はっとさせられる。
 そしてまた、恐らくは最も物事の本質に近い場所に立ってサリーを愛せたエッチャーが、だからこそサリーを得られなかったという皮肉。それでもまだあえて世界を書き換えようとし続けたエッチャーの執念に、何か…圧倒させられた。決して報われない愛だがそれもまた美しい…と、言ってよいのではないかと。
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2月13日(日)のつぶやき(地魚料理、「魚岬」その5)

14:21 from web
お昼ごはんと買い出しから帰宅して、まったりなう。だーなさんがお昼前に地元から帰ってきたので、いつもの地魚料理のお店にお邪魔したのであった。何を頼んでも常に必ず美味しいというのは考えてみたら凄いことだなぁ…と、いつも感じ入っているお店にて、今日は今年あまり獲れなかったという幻魚を。

 いつもの「魚岬」にて。
14:29 from Twitpic
“下の下”がなまって“げんげ”という名前になったと言う魚も、今では“幻魚”。ちゅるっとしていて淡白なのだけれど、い~いお出汁になっていました。温まったし。ご馳走さまでした♪

 お気に入りの海鮮丼も♪ この日の内容は、ネギとろ、はまち、いか、甘海老、あなご…。一つ忘れてしまった、真鯛だったかなー。
 二人でいただきました。もちろん、美味。

17:51 from web (Re: @shiki_soleil
@shiki_soleil うんうん私も、ジャパネスクの2巻は最強だと思います。今でも泣いてしまうかなー、やっぱり。ラストの瑠璃姫の氷襲とか、すごく印象に残っています。雪にとけてしまいそうだね…とか。うるっ(笑)。

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