アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ、『燠火』

 とても好きそうな香りがした。そして、とても好きだった。『燠火――マンディアルグ短編集』の感想を少しばかり。

 血みどろであるのと同時に、全てが蒼ざめている。そして硬質。
 残酷と官能が融け合うように入り混じるマーブル模様と、タナトスの濃厚な気配。無理やり蕾をこじ開けられたような、稚い少女の流す血と性の匂い。おぞましい倒錯、侵される禁忌。胸やけするくらいの心づもりでまみれてみたのだが、甘美な背徳感にただただ溺れただけだった。一つところばかりを凝視するあまり視野狭窄に陥っていくみたいな、話の周辺も外側に存在する世界なんぞも何処にもない…という感じのしてくる独特な雰囲気が、とても怖くて素敵だった。閉じ込められたい…とか、うっかり。
 
 一篇一篇タイトルの横に献辞が添えられているのだけれど、一話目に収められた表題作のそれが“ポーリーヌ・レアージュに”となっていた。南米人の催す舞踏会に出かけたフロリーヌのドレスの描写に思わずにんまり。牡羊と暮らす女の陰鬱な話「ロドギューヌ」。私が好きだったのは、しょぼくれた教師が拾った石から三人の女(ラテン語をしゃべるらしい)が出てくる「石の女」とか、語り手である男の“幼女よ”…という、まとわりつくような呼びかけが何とも気持ちの悪い「曇った鏡」。そして、素裸で宝石の鑑定をする少女の幻想譚である、「ダイヤモンド」。澁澤の「犬狼都市」の原典と気付かずに読んでしまった。ちょっぴり得した気分。
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10月21日(木)のつぶやき

07:38 from web
おはようございます。かふぇおれなう。曇天の所為か頭痛、いてー。
08:14 from web
箸でグラタン…。あれ、リガトーニ? 美味しそうだった。
11:31 from web
朝昼兼用のつもりのカップ麺に、大根おろしをたぷーり入れて食べたら結構な胸やけをおこした。今時のカロリーライトなカップ麺なのに。てか、カロリーライトな分だけ食べた後の罪悪感も薄められちゃって、それはそれで画竜点睛を欠きますな。…それでいいのか。
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