昨日(21日)は海の日、祝日だったため昼間在宅で「将軍家定が出るらしい」と朝からそわそわしている高齢家族に付き合って『徹子の部屋』を視聴。
いつも日曜の当該時間は酒気帯びかきれいに飲んだくれてるか、在宅なら後片付け中なので背中で音声だけ聴くことになるのですがNHK大河ドラマ『篤姫』、劇中ではすでにおかくれになった“上様”堺雅人さんの素顔を初めて見ました。
これは幅広い年代に支持される俳優さんだろうなと思いました。73年生まれ34歳、宮崎県の進学校から早稲田大学、中退して劇団活動、“小劇場のプリンス”からNHK朝ドラレギュラー(00年『オードリー』)でメジャーに。
地方から上京、大学中退してアルバイトしながら劇団活動という生活が4年5年と続くとどうしてもミズっぽく、擦れっからしっぽくなりがちですが、堺さんにはそれがあまり感じられない。これだけでかなり中高年TV視聴者の好感度獲得です。古きよき時代の“インテリ演劇青年”の匂いがある。
ウチの高齢家族近辺の年代の、特に女性の場合、「夫候補なら身体強健で出世コース驀進の丈夫で長持ち・勝ち組タイプじゃないと」と親から言われアタマではわかっていても、多感な女学生時代に一度は心惹かれ憧れたタイプではないでしょうか。
6月に放送されたアメリカ総領事ハリスとの会見の場面は偶然見ましたが、会見後篤姫(宮崎あおいさん)に「ついムズムズしてきて、例のアレをやってしまった」、篤姫「例のアレとは?」「ウツケのふりじゃ」は良かったなぁ。ハリスからの「畳に正座はお断り」との申し入れを受けて、「我らが上様が日本国を代表して会うのに、異国人から見下ろされるのは納得行かない」と、畳をうず高く積み上げて将軍おなりの場を作らせた篤姫もアッパレでしたが、こういうセレモニアスかつ虚々実々な外交の場面では、自国に良かれとの正論であればあるほど、いっそウツケのふりでもしなければ言えないってのはあると思うのです。この役を堺さんに振ったプロデューサーさんも天晴れ。
男性俳優さんとしてはちょっとガタイが足りないかなとも思うけど、そこに引き寄せられてユニークな役どころが集まってくることもある。大筋はほとんど忘れましたが昨年の『孤独の賭け ~愛しき人よ~』ではわざわざハンデキャップ属性までつけての来演でした。
この俳優さん見どころがあるな、魅力があるなと思うと男・女優を問わず「昼ドラに…」と思ってしまうのが月河の悪い(か?)癖ですが、堺さんのフィルモグラフィーで言えば『嫉妬の香り』や『婚外恋愛』『ゴールデンボウル』に出ておられた01年~02年頃がいちばんの好適期でしたなあ。『女優・杏子』を筆頭に『レッド』『真珠夫人』『新・愛の嵐』と美味しい作品が目白押しだったのに。惜しいことをしました。いや、まだ希望は捨てずにいたいですが。