イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

それもどうよ

2008-07-14 12:15:39 | 昼ドラマ

NHK朝ドラ『瞳』の里子末っ子・翔太くん(中村咲哉さん)のお母さん(小池栄子さん)の生き別れたお父さん役は、次週予告によると田中健さんらしいですね。高齢家族は早くも「アレが翔太の実の父親か」「ミキエと翔太を放っておいていままでどこへ行ってたんだ」と早とちり勘違いしまくりでまた説明が大変そうなのですが、美紀恵役の小池さん27歳、田中さん57歳という年齢差よりだいぶ近く見えるし、そもそも男性は相手の女性さえ若く妊娠可能であればかなり年齢が行っていても“実子が幼い”ことはよくある話なので、予備知識なしにいきなり絵ヅラだけ見たら、高齢家族たちのような勘違いしてもおかしくない。

田中さんは確か、実生活でも再婚の奥さんとの間に、翔太くんか友梨亜ちゃん(森迫永依さん)ぐらいの年格好のお子さんがあるのではないでしょうか。

以前当地で昼間、渡哲也さんと松坂慶子さんが夫婦で長女が高島礼子さん、その夫が西村雅彦さん、次女が片瀬那奈さん、長男が徳重聡さん…の05年『熟年離婚』を再放送していたときも“この人はこの人の何にあたるのか”“血縁なのか男女関係なのか”を毎日毎日訊かれて参った記憶がありますが、役者さんのイメージ年齢と実年齢、設定上の年齢がそれぞれ妙に近かったり離れていたりすると、途中から入った絵ヅラで状況を想像したり、あるいは一度勘違いの糸が縺れ固まってしまうと、ほぐしたり伸ばしたりが結構手間です。

まぁ月河の好きな東海テレビ製作昼ドラマなんかは、“血縁で男女関係”なんてのも普通にあります。…って、ちょっと小耳にはさむと畜生以下みたいですが、当人同士がそれを知らなかったり、周りも知らなくて後からひょんなことで判って実存の苦悩がはじまったり、さらに後から「本当はそうじゃなかった」ってなって輪かけて波乱万丈になったりするのがだいたい見どころのひとつなので、字ヅラほどエログロ悪趣味ワールドと決まったわけじゃないですから念のため。

東海枠なら、美紀恵の苦境とトラウマを一気に救済する生き別れ父親役は、田中健さんより井上順さんでしょうね(@『紅の紋章』)。

……ちょっと脱線。それはともかく、“里親”の瞳(榮倉奈々さん)と実親の美紀恵が対峙する12日の場面は、「どっちの“親”も若く未熟」「しかも、“愛と責任をもって子を育てよ”と説教しているほう(=瞳)が年下」というところをドラマ的面白どころにしたかったのかもしれませんが、それよりこちらとしては両方の“圧倒的なカラダの迫力”×2であらかた吹っ飛びましたな。視線がおっさんだなぁ月河。

NHK朝ドラを何週か継続視聴していると、“月~土の同時間枠”“週6回放送”というリズムが不思議に新鮮に思われてきます。放送がないのは日曜だけ。

HDDレコーダのほうは未確認ですが、04年製のビデオデッキには、録画予約ボタンに“月~金”はあり、“月~土”はありません。

朝ドラの“月~土”はTVに残る数少ない“昭和”の残照だと思います。

どんな“昭和”かと言うと、“土曜日の前半は平日”という昭和。

学校も会社も役所も、朝の始業時間は月~金と同じ。早起きしなければならないのは一緒。帰っていい、自由になれる、拘束が解けるエンドの時間だけが正午前。

拘束が解けた時点で、服装はまだ制服。背広ネクタイ。でも自由。昼間。日は高く明るい。

“朝からいきなり休日”の、平成の土曜にはないスペシャル感がありました。

 思い返せば、かつてNHK朝ドラの“真ウラ”、つまり平日昼12401300本放送、翌朝810830再放送というフォーマットで放送していたのがTBS系“ポーラテレビ小説”でした。

1968年から、新人ヒロインとして宇津宮雅代さん、丘みつ子さん、音無美紀子さんなど数々の名女優を世に送り出してきたこの枠も、70年代半ばまでは月~土の放送でしたが、早々と74年に、萩尾みどりさんのデビュー作となった『わたしは燁(あき)』以降、枠として終了する84年までは月~金放送になっています。やはり商業放送は、スポンサーの意向というマーケティング要素がある分、機を見るに敏。週休二日制が徐々に広がって、“土曜午前の視聴者は平日と同じ気分の、同じ層”とばかりは言えなくなくなってきたのがこの頃から。

いま唯一残った“月~土帯”のNHK朝ドラは、気がつけば昔ながらの12451300のほかに、BS2では夜1930~にも再放送があり、BShiでは730~に“先行”放送もある。土曜の9301100にはBS2で“今週のおさらい一挙放送+今朝の回の再放送”もあります。

墓場で眠る吸血鬼クラスのドのつく深夜族ででもなければ、日本の、TV電波の届く場所にいる限り、どんな生活リズムで暮らしている人でも観ようと思えば何処か此処かで観られるようにできているのが、平成20年現在の朝ドラです。

その結果、“誰に、どんな人に観てもらえばいいのかよくわからなくなってきた”のがいまの朝ドラでもある。

ヒロインは各種学校(ダンス)に通うハタチのフリーター。母親はバツイチ独身のキャリアウーマン。里子の実母は未婚のシングルマザーで育児放棄。ご近所さんには結婚した息子と別居中のウメさん(菅井きんさん)や、ちょっと年かさおネエキャラのローズママ(篠井英介さん)、元芸者のチャキチャキ小料理屋女将(木の実ナナさん)などがいますが、お腹をいためた子を持つ母で夫と子とともに暮らす“普通の”専業主婦は、ドラマ開始時点で彼岸の人となっている勝太郎さんの奥さんだけ。それもひとり娘の百子はすでに結婚して家を飛び出しているし、そもそも自営業(洋品店)の奥さんだったので“専業”主婦とも言い難い。

“普通”なるものがありそうでない、なさそうである、でもどんなのが“普通”なのか誰もしかとは答えられない時代に、なお製作され放送され続ける国営放送朝ドラ。

 公式サイトの人物相関図にはレギュラー人物だけで、一週・一エピソードだけのゲストキャラは載っていませんが、それでも「これだけいろいろ出したんですから、誰かひとりぐらい共感できる人物がいますでしょ?興味持って食いついて下さいよ、何とかひとつ」という製作側の懸命さが透けて見えて、ちょっと苦笑です。

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