一昨日(7月7日)の『お試しかっ!』は“顔面にらめっこ王選手権”。この時間のTVはなんとなくつけて、面白そうだと居座ったり保険で録画始めたりしてしまうんですが、この番組は個人的に“居座り率”が高い。出演者がアイドルや番宣目的の俳優さんでなく芸人が多いことと、月河の大好きな“バカなことを真剣にやってる”匂いが一瞬映っただけの画面から感じられるから、ついチャンネル止めちゃうんでしょうね。
ペナルティ・ワッキー、TKO木下、ザブングル加藤、FUJIWARA原西に小島よしおといった“顔芸が主力商品”のメンツを押さえてMCタカアンドトシのタカ堂々優勝。ちょっとズルいよね。相方トシですら見た記憶がないってぐらい顔芸のイメージがないから、ちょっとヘン顔しただけでサプライズとインパクトが大。ワッキーのあの“首振動つき”の顔は年中見てる気がするし、原西、加藤は気の毒ながら「相当崩壊してくれて当たり前」とハードル上がっちゃうしな。
もひとつタカのズルいのは、準決勝→決勝とラウンドが進むにつれて、汗で前髪がナチュラルに“遠慮がちな横山ノック”っぽくなってきてた。メイクは一箇所五百円玉大までというルールでしたが、描かないであの額であのキング・アラジン(@『怪奇大作戦』壁抜け男by田口計さん)みたいな目剥き歯剥き顔はズルい。
しかも、チカラ入れれば入れるほどこれまたナチュラルに顔面朱をそそいでるし。月河と同郷、やっぱり北国生まれだから地が色白と言うか皮膚の色素が少ないのかな。あの怒り心頭時のケガレシア様みたいな紅潮で笑い5割増し。ここ2年ほどで、顔以上にカラダの“総肉量”が倍増してると思うタカ、血液も相当ドロドロ、血管壁もかなり肥厚してそうで、決勝後には脳動脈ブチ切れるんじゃないかと心配しましたが。
あと、相方が出場してるヒマ相方(ザブングル松尾、TKO木本、ペナルティヒデ。FUJIWARA藤本は確認できず)が、「ヒマついでに応援」てなノリで放送席後列に並ぶと、こちらはそれぞれ顔芸へのツッコミが主力商品、つまり“顔が普通であることが命”の連中だけあって、絵ヅラが妙にキレイ、て言うか穏当。
ワッキーの「太い槍みたいなアレ一本で“エイッ!”と行きます」にMCトシ「さすが顔芸、言葉知らないですね」には笑ったな。最近の若手中堅お笑い、吉本所属が多いせいか、フリートークで何かっつったら「誰がボクらの何期先輩」「何期先輩だけど、コンビ結成したのは何某のほうが何年前」とか体育会みたいな関係性を持ちだしてきて煩わしいなと思っていたのですが、タカトシは東京吉本でも出が札幌吉本のせいか、比較的その手のしがらみから自由なように見える。
以前から思っていたのですが、MC役のタカトシがガチの“ネタ力(ぢから)”なら、この枠ゲスト好適クラスの若手中堅お笑いの中では常にアタマひとつ抜けているという前提が、この『お試しかっ!』という番組の強みになっている。“4~5分のフルサイズの新ネタならうまい”という安心感があるから、逆に以前客前でウケなかったといういわくつきのネタをお試しマーケティングにかけたり、今回の顔芸や女装などの“色物芸”、冒険レストラン、先輩にキレられてドッキリなど“リアクション芸”に挑戦しても、「どっちがウケたか」とバトル仕立てにしても安心して見ていられる。いくら人気があっても本ネタはつまらないと自他ともに認める組(不思議なようですが、実際、冠番組持ちクラスに結構いる)がMCでは、こうした企画はまず成立しないでしょう。
気がつけば『爆笑オンエアバトル』の次に、見逃さないよう気を入れて見ているお笑い番組がコレになっていました。
再放送の『その灯は消さない』は第11話ぐらい。“ぐらい”ってのもなんですが、録画設定時間に話数タイトルが入らないもんで。
お年頃の優等生長女・律子(吉野真弓さん)が気になる危険な匂いのジャーナリスト川合(大橋吾郎さん)は、実は智子(坂口良子さん)の大学時代の彼氏。96年本放送のドラマ、当時39歳の大橋さんは確かに渋さと尖がり具合のミックスが素敵だけど、いくらなんでもOL一年生23歳の律子が母親の年代の中年男に恋心ってよほどの老け専?と一瞬思いますが、考えてみれば智子は律子にとって母親とはいっても、父・藤夫(柴俊夫さん)の再婚相手で、“若い継母”なのでした。
川合はその智子の“大学水泳部のエースで女子学生の憧れの的”だったのですから、律子から見れば川合は年格好的には“うんと年上のお兄さん”“母校のカッコいい教師”ぐらいの距離感なのかも。老け専ではなくても若い女性のある時期同年代男性が幼く頼りなく見え“おじさま好き”になることはよくあります。
律子の場合、男性フェロモンどうこうより、大企業部長職として“真っ当”“社会規範”を代表する存在の父親の価値観の中にいない風な川合が新鮮に、魅力的に見える。絵に描いたように危なっかしいけど、“ちゃんとした”父親主導の家庭で「ちゃんとしなさい」と言われつけて育った娘さんには、“父親が嫌いそうな男”に惹かれる時期が必ず来る。
先妻の死後藤夫の再婚相手として堀口家に来た智子と、先妻との間の子である律子・健一とは“生さぬ仲”の葛藤はいまのところ描写なく、「お母さん」と実の母子同然に懐いている設定で、「アナタは本当のお母さんじゃないから、ワタシの気持ちなんかわからないんだわ」なんつって律子がキレる、いかにもな場面もないのがこのドラマの好感持てるところですが、自分の昔の男が長女と男女関係なんて状況になり、それが耳に入ったら、智子も実家母の認知症問題どころではなさそう。
夫の職場では役員秘書の麻生真宮子さんが“誘惑されたい光線”出しまくってるし。昼ドラらしくなってまいりました。
本放送中の『白と黒』第7話、婚約者・章吾(小林且弥さん)と親友・一葉(大村彩子さん)の沖縄旅行が判明してショックを受けた礼子(西原亜希さん)ですが、研究所のちょっとしたトラブルに対応した後、章吾から手作りの鉢植えをプレゼントされて「愛情は育てて行くべきものだと思う、今度のことはボクが悪かった」「これからも行き違いはあるかもしれないけど、信頼できる家庭を育てていこう」と腰低く出られるとあっさり軟化、婚前ベッドインも。こらこら。“行き違い”じゃなくて、章吾“不告知という名のウソ”ついてたんですがね。モノは言いようだね。
この流れを見ると、礼子はいたずらに猜疑心が強いのではなくて、基本的に「人は信じるべき」「信じたい」マインドの、“疑うことに慣れていない”女性なのだということがわかります。第1週の、ともすれば陰険に粘着質に見えた探り手の出し方も、“人を、特に親しい人を疑うことが、礼子にはそれだけでストレスだった”と考えれば納得が行く。基本的に人を信じてないヤツほど、クチもなめらか、対人行動もスマートで要領いいものだから。
視点を変えれば、“見守っているうちにキャラの心のうちやパーソナリティが徐々につかめて来る”演じ方をしている、礼子役・西原さんの力量もなかなかのものです。
研究所にトラブル発生でやんわり追い出された一葉が聖人に「(事故に)気をつけてね、バイクのほうが危ないのよ」と言いおいて辞去したのが妙に耳に残りました。仮面ライダーOBの佐藤智仁さんが演じているのにバイク事故はないと思うけど(そうとも限らんか)、この枠の前作『花衣夢衣』の様に、“(展開に)困ったときの交通事故”ってなドラマにはしないで欲しいがな。