イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

いまどきの娘じゃないのかも

2008-07-13 01:22:10 | デジタル・インターネット

『白と黒』HDDに録って編集して、数話ずつまとめてDVDに移し、PCで試し再生してみる作業をして初めて気がついたのですが、レコーダの説明書では“SVHS並み”よりちょっと上の画質で録画しても、冒頭の“流れる”キャストスタッフクレジットはちょっと見辛い。

いままでDVDに録画して観てきた国産タイトルのクレジットは“流れない”で、一瞬でも必ず静止画になってから消えて次と代わるタイプのものばかりだったので、軽い驚き。気になる役どころのキャスト名を確かめようと一時停止をかけると、微妙に“字のゴースト”が出る。これなら、クレジット字幕限定で言えばアナログ放送をVTRに録ってブラウン管TVで観ていた頃のほうが見やすかった。PCがワイド画面ではないせいもあるかもしれません。デジタルになって、良くなることばかりではないですね。

その『白と黒』は第10話。礼子(西原亜希さん)の骨折ギプスが外れて1話以来久しぶりに自由の身に。「ヤだ、筋肉が落ちちゃってる」と、誰もいないと思った邸内をスキップターンしているところを、聖人(佐藤智仁さん)に見られていたのに気づいてドキッ、目のやり場に困って聖人ブスッと退場…という、これ以上ないってくらい少女コミックチックなシークエンス。ドラマで久しぶりにここまでベタな場面を見たような気がする。いまのところ章吾(小林且弥さん)との結婚で頭がいっぱい、そのために幾つかの疑念を抑えかねている礼子ですが、ほどなく章吾から気持ちが離れ、聖人と意識し合うようになるのは目に見えている。

薄々ならず観客にわかりきっている方向に向かって、それでも手を抜かないで伏線を引き、ひとこまひとこま煮詰めて行く、丁寧な脚本演出を、西原さんと佐藤さんが実にさりげなくきっちり演じている。

特にこの回、研究所に無償貸与している土地の買取りを希望する地主に、礼子が若手研究者の立場から薬学研究の道程の困難さと意義について説く、長ーーく理詰めな台詞のさりげなさ、クセのなさは西原さん、驚嘆すべきものでした。ちょっとでもヘンなところにチカラ入れたり、抑揚加減を誤ったりしたら一気に嘘っぽくなるくだり。昨年の今頃「絶対キレイになりたい、やりたかった役だから」とパンテーンCMで力説していた西原さんは、力量を示せる役に出会えて本当に良かったね。

一方、礼子の全快祝いの夕食を作るキッチンで聖人が「オレはこの家の平和を守るために、中学の時絵をやめたのさ」「いままた絵を始めたのは、そうする必要がなくなったからだ」「…あんまり本気にしないほうがいいよ、オレは嘘つきだから」と冗談とも本音ともつかない煙幕を張りながら、がしがし茹でジャガイモをマッシュする演出もなかなかのものでした。八方破れなやんちゃさと気だるさ、すべてを俯瞰するような醒めた雰囲気の難しいミックスを、佐藤さんもここまでよくこなして来ていると思う。一歩間違えば暗鬱に、あるいはスカし過ぎて、見ていてうざったくなってもおかしくない聖人というキャラが、ここまで活き活き“男の小悪魔”のように輝いているのは演出ももちろんですが佐藤さんの読み込みの的確さです。

ただ佐藤さん、三日にあげず誰かに殴られたりド突かれたりしている設定のためかそうでもないのか、ナチュラルにお顔の、特に目周りが腫れっぽくなってきてませんか。暑さ本番の前に撮り始めるこのクールも、放送3週めの収録分ともなると役者さんも疲れが顔に出る最初の峠。

9話で礼子に、父から桐生家への出入りを禁じられた憤懣をぶちまけた一葉の大村彩子さんも、最序盤のブリブリお嬢さまと違った顔を幾つも見せるようになり演技的には今後が大いに楽しみですが、何せデジタルハイビジョンの時代、メイクでも如何ともしがたいお肌の凹凸が目立ってきたのがやや気がかり。

ドラマの中の隠された謎や秘密以上に、若い俳優さんたちの、気力体力の地平線を睨んだ攻防も見ものです。いまのテンションを維持したまま、病人怪我人が出ませんように。

コメント
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