イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

やめろ、やめるな

2007-07-20 20:32:29 | CM

 先日ガーゼ顔で何事かと思わせた赤城徳彦農水大臣、原因は吹き出物だったとのことですね。普段からお肌が弱く、剃刀や電気シェーバーでもかぶれることが多かったんだそう。

 なーんだ。だったらその通り、会見の前に「お見苦しい顔で失礼します、実はこういうわけで」とひと言断っとけば済むことだったのに。

 「大したことではない」「心配ない」で押し通そうとするから記者団に「暴漢に襲われたんじゃないのか」「特別な事情でもあるのか」と痛くもない(?)ハラをさぐられて、ただでさえ表情の乏しい、生きた血のかよってないみたいに見えがちな風貌が、輪をかけて間抜けに見えました。

 出先のTVで夕方のニュースに流れたときは、見てた人が「外遊先でヘンな病気もらって来たんじゃないの?」とからかっていましたね。帰宅すると、夜のニュースで高齢家族も同じようなこと言ってたっけ。

 先日の事務所経費問題で矢おもてに立ったときもそうでしたが、この三世代議士、人が納得できるように物事を説明するという訓練をまったくされず、誰か彼かに肩代わりしてもらって免除されたまま、大人になり国会議員になり閣僚予備軍になり…今日に至っちゃったんだな。

 事務所経費問題はともかく、吹き出物にガーゼぐらいはどうにか口頭でスマートに切り抜ける知恵を、周囲もサジェストしてやれなかったもんかな。正直にぶっちゃけてれば、別に業病でもなし、敏感肌で市販のファンデを塗れない女性とか、アトピーの子を抱える主婦とかに同情票をとりつけられたかも知れないのにね。

 「せっかくの男前が台無しで、非常に残念ですが」と自分でマクラつけたりしたら「大臣、ご自分で言っちゃいけませんよ」とこなれた記者がツッコんでくれて、和やかで好感度アップな会見にもできた。

 調べたら、この人、月河と同世代ですよ。ドリフの全員集合とか、『いいとも!』『ひょうきん族』など「この世にはボケ・ツッコミというタームがある」洗礼受けてなかったのかな。東大法卒ともなればそういうのシャットアウトで勉強ばっかりだったのか、やっぱり。

 TVを見た一般視聴者から「コレが効きますよ」と特効薬のひとつも紹介してもらえたかもしれないしね。見た通りヒゲが剃れなくて鬱陶しいし、中年男性にもやりきれないに違いない吹き出物というアクシデントを、選挙対策上も数倍プラスに転じられるチャンスだったのに、一気にフイにした。もったいない。

 何より“説明・釈明がヘタだ”という、閣僚級政治家としての大きな欠点がまるバレになるような会見をなぜあえてしたか、させたか、それほどまでのマイナスを踏んでも「大したことではない」を通さなければならないナニモノかがあったのではないか。新たな疑問のタネをまいてしまいました。

 昨日の麻生太郎外務大臣の「アルツハイマーの人でもわかる」発言もそうだけど、人間、クチで滅びる、営々と築いてきたものをクチひとつで失う、その怖さのわかってない人が多いんだなぁ。地元に冠たる名家に生まれて、大臣にまで出世してもねぇ。

 『金色の翼』第15話。何としても伯母セツへの借りを返し自由になりたいがために、奥寺(黒田アーサーさん)との偽装婚約までやってのけた理生に「自分の気持ちにウソをついているんじゃありませんか」と痛いところをつかれた修子(国分佐智子さん)。

 先般、槙から贈られて「わたしは誰にも束縛されないわ」と拒否して空に放った小鳥が、野鳥に襲われ傷ついて落下してきたことで心が痛み、手当てする槙の部屋を嵐をおして訪れました。

 「人を信じるのが怖くなって、自分で自分の心に鎖をかけていたわ」「わかってる、僕もずっと疑われながら生きてきたから」「怖くはない?わたしが噂どおり、夫を殺した女でも?」「言ったはずだ、あなたが誰を殺していようといまいと、俺にはそんなこと関係ない」

 修子の首に、槙の背中に、パーティーの真珠のネックレスが絡みつくままのラブシーン、繰り返し流された槙兄の元カノ絞殺シーンでペンダントが千切れる映像はこの伏線だったか…という埋設具合はいまさら改めて感嘆はしませんが、夜の雷鳴の中半開きのホテルエントランスドアの前で、13話で覗き見た槙と修子とのキスを理生が脳裏に浮かべる描写が秀逸でした。

 まさかドアを開け出て行ったのは修子さんで、槙はいま彼女と?…不安にかられた理生は電話室から槙の管制室にかけてみようとしますが「…バカね、わかってるはずよ、これはゲーム」と自分を制します。

 理生にしてみれば、「バカね」なだけではなく、実態を知るのが怖いのです。アタマでは、槙がうまいこと修子と男女の関係になれば、カネと自由がその分近づくことがわかっている。しかし理生の、女の部分が抵抗し、恐怖に震えている。

 どんな合理的な理由や目的があろうと、心のない打算だけの関係と言い張ろうと、この人と人生をともにしたいと思う恋しい人が、自分以外の異性と性交渉を持つ、持ったと想像するだけで、心は深いダメージを受けます。理生はその重み、痛みを予測できなかった。

 ドガの『楽屋の踊り子』連作を思い出させる、闇の中の半開きのドアの隙間。半開き、覗き込まなければ中が見えない細い光の帯というだけで、扉はどれだけ人間の想像力を刺激し、心に波を立てるのでしょう。半開きと見えて、本当は半分閉じていると見るほうが正解なのかもしれない。

 これは偽りの関係だ、カネのための嘘だと自分に言い聞かせながら修子を抱く槙。

 偽りの中に密かに萌芽する真実の気配に怯えながら目を閉じ耳を塞ぐ理生。

 本当は理生にも、弟にも明かしていないかもしれない疑惑の真相を胸に秘めて、「あなたという翼を見つけた…」と槙のベッドで囁く修子。

 「不思議だな、俺も同じこと(=翼を見つけた)を考えてた」と槙は答えますが、それは本心であって、同時に偽りでもあるのです。

 三者三様、扉は開くと見せて閉じ、魂の闇にはかない光の帯を広げては細めます。

 ところで、このドラマの合間に流れるファブリーズ“劇的スッキリ。”のCM、盛業中?なのかどうなのかわからない“インテリアのナガシマ”、真夏の昼寝篇でも妙に画面がダークで、ドラマ本編以上に昼ドラっぽい質感ですね。寺島進さんの奥さん役が坂井真紀さんかぁ。「絶対きれいになってやる。」のエステのCMから、何年経ったのかな。

コメント
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