イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

忘れた頃にやってくる

2007-07-16 23:41:40 | アニメ・コミック・ゲーム

 台風4号が去った後は中越沖で震度6強。地震と台風だけは、わが日本、避けて通れない2大天災、天災の東西正横綱ですね。

 毎年、時季になれば必ずひとつやふたつ襲来する台風と、めったに来ない代わり、365日24時間いつ来てもおかしくない地震。どちらも違う意味で手ごわい。

 当地は幸い、今回はどちらも、月河のここのところの馬券成績同様カスリもせず。

 いずれまとめて当地にもナニか来るんではないかという懸念はありますが、まぁ豪雪地帯なので天災を待つまでもなく毎年、半年は雪の下で死にかけていますから、概ねチャラにしてもらいませんと。

 こういう大災害があると、いちばん心配なのは、留守録の昼ドラが報道特番で放送休止や時間帯変更になってはいまいかということ、それだけ。どこまで太平楽なんだオイ。絶対いつかバチが当たるね。

 思い返せば2年前の05年、4月25日JR福知山線脱線事故の第一報が午前中に入り、昼休みの間、出先のTVを見ながら『危険な関係』の放送時間を案じていたなぁ(帰宅しビデオを巻き戻すと、深夜25:00台に時間移動する旨、安藤優子キャスターの頭上にテロップで表示されており、録画再セットしてセーフ)。

 平日月~金、帯の昼ドラを毎話録画セットして、まとめまとめにでもチェックできるというのは、貧乏暇なしだの何だの言いながらも、平和な生活が送れている、言わば小さな幸福の証しなのだなぁと改めて思います。馬券カスリもしないとか言ってる場合じゃないな。感謝しなければね。

 そして被災された皆さんに、一日も早く平穏な日々が戻りますように。

 その『金色の翼』第11話、VTRチェックしてみると、テロップのL字カットが入っていたものの、どうやら通常時間帯の放送だったらしく最後までしっかり録れていました。小さな幸福のひと安心。

 絹子から、修子のブラジルでの夫殺し容疑を伝える現地新聞という、願ってもない“弱み”カードを入手した槙。

 心ならずも奥寺に暴露された行方不明の兄の殺人容疑と自分にも一時かけられた共犯容疑、逃亡先を知って隠しているのではないかといまだに疑われているつらい立場を、逆にみずから修子に打ち明けて共感と同情を買い、「あなたの痛みを私は信じます」と肩に手を重ねられて内心ウマー…という展開でしたが、どうにもノロい、ノロくさい、テンポが。

 槙の修子への接近作戦は、いちいち理生とコソコソ連絡取り合ったり打ち合わせしたり、ネタ仕込んだり(小鳥のプレゼント)、情報収集したりしてから行動を起こすので、前にも感じたけど、やることが文系っぽく知的っぽくて、「何としてもあの女を!カネを!」とギラギラした、押さえつけてた情念に火を放ったようなハングリーさがないんだな。

 5話の終盤、屈辱の土下座事件の夜、「オレはやる、あの女からカネを引き出す、偽りの愛とでも引き換えに」と宣言し理生を抱き燃え上がりかけたところに修子が訪ねて来て、咄嗟に槙さぁどうする!ドア開けて修子に応対する!修子謝る、拒絶する!修子さらに謝る、抱いた、キスした、修子平手打ち!…で週をまたいで、6話のアバンタイトルで「あんたの弟がしたのと同じことをしたまでだ、さぁ出て行ってくれ」…“はかりごと”っていうのは、せめてこれくらいのテンポで進まないと。

 かえって先週10話で、カゴの小鳥を贈ったことが修子に嫌われ、海辺でのランチでいちいち奥寺に先手取られた挙句、海に飛び込んで日傘を拾った労まで空振りで憮然の槙が、カットが変わると濡れたシャツを干しながら「何だあの女、人をバカにして」「こうなったら何としても落としてやる」と悪態をつくくだりのほうが“男としてのプライドが金銭欲をも追い越しそう”なきわどい瞬間をとらえていてワクワクさせてくれました。

 第3週の今日11話から、演出が奥村正彦さん→村松弘之さんにバトンタッチ。“背徳三部作”の前2作(『危険な関係』『美しい罠』)のどれよりも“サスペンスであること”を強調した前宣伝スタートした今作ですが、第1週“車椅子の人影”“泥棒騒ぎ”(=セツに呼び寄せられていた理生の父誠司)“撞球室の物音”“銃声”(=玻留の悪ふざけ)“絹子「11人、全員揃ってる」”などのモチーフで、『名探偵コナン』風の“密室孤島事件もの”を匂わせる演出がどうにも表面的で握力が弱かったし、ところどころで修子を“悪女性を秘めた謎の女”風にブラックに撮る趣向といい、殊更サスペンス風味に調理した箇所がいちいちスイートスポットに来てない感じ。

 撮影や演出の密度は濃い、演者も熱を入れてるらしいのはよくわかるんだけど、そのわりに、観てるほうの感じるスリルが拍車かかってこないのです。

 前2作も、別に“サスペンス”として受けてたわけではないことに、製作陣、気づいているかな。

 脛に傷や暗い過去を秘めて、欲と嫉妬の山河を歩き、時に対立し傷つけ合わねばならない関係の男女が、それでもどうしようもなく求め合う情熱の織り成すドラマだったからこそ、最終話まで彼らの行く末を見守らずにはいられなかったのであって、事件や犯人探し・真相究明の要素などなくてもいい、というより、積極的に要らないのです。

 もっと心理ドラマらしく、槙の修子に対する感情のひそかな高揚と、偽ることへの後ろめたさや迷いを秘匿する焦燥感、あるいは協力しつつも不安も隠し持つ理生の気持ちの揺れに集中して描出できないものか。

 1話冒頭での、荷物運び仕事の途中、小型機を降りてきた修子と初めて対面した槙の、「すげーきれいな人…」と無防備に憧れまる出しの純朴な目の表情は、とことんポーカーフェイスだった『美罠』の槐とはまったく異なるアプローチを感じさせて、「これなら高杉瑞穂さんの再登板でも新鮮なドラマになりそう」と大いに期待が持てたのですが。

 高杉さんを演出してると、どうしてもアタマ良さげ、“本能より思考先行型”に演出したくなってしまうのかな。

 観るほうも出来る限り『美罠』と比べないように、重ねないように努力して観てますんで、ひとつよろしくお願いしますよ。

コメント
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