山形の過去、現在、未来

写真入りで山形の歴史、建物、風景を紹介し、併せて社会への提言も行う

欧州都市の現代版“万里の長城”とは?

2006-05-13 07:06:39 | Weblog



 この通常は何の関連性もない2つの写真も考えようでは大いに関連づけられる。上は言うまでもなく中国北部の万里の長城であり、下はフランス・グルノーブル市街を走る路面電車である。
 万里の長城は遊牧系の機動力ある北方の“蛮族”の襲来を防御するために築かれたものであり、グルノーブル市の路面電車が軽快に走れるのも“蛮族”の中心市街地への大挙侵入が防がれているからである。それだけでなく、歩行者も安心して歩け、また壮麗な歴史的街並みも“蛮族”の破壊から護られている。
 えっ? 冬季五輪が開かれたことのあるフランスの都市を襲撃しようとする“蛮族”が21世紀の今も存在するの?
 Yes! 厳然と存在する。しかもグルノーブルだけでなく、全世界の都市は“蛮族”の襲来と対策で大いに疲弊しており、多くの市民が殺戮され、街並みは砲爆撃並みにズタズタに破壊されている。むろん日本のほとんどの都市が常時被害の受け通しである。
 ただし“蛮族”も鎧兜を脱げば、ただの温和な人間である。だが、現代文明によって製造される車輪つきの鎧兜を装着すればたちまち機動力抜群の“蛮族”の兵士に変身する。
 古代ローマ帝国の末期に“蛮族”出身者からなる傭兵部隊が帝国に重宝がられたように、現代社会も“蛮族”は大変重宝がられており、甚大な被害すら大目に見られているほどである。
 だが西ローマ帝国はついにゲルマン人傭兵隊長により滅ぼされた。その轍を踏むまいと考えられたのか、現代の欧州都市では市街地への“蛮族”侵入を極力抑制して帝国主義時代の壮麗な街並みと市民の安全を護る手だての構築が盛んである。“蛮族”は市街地の周辺部で武装解除されて、路面電車などの公共交通機関に乗り換える。これを「パーク・アンド・ライド方式」という。 “万里の長城”に相当するのが郊外の大駐車場(“蛮族”の武装解除の場)である。
 “蛮族”も鎧兜を脱げば“蛮族”ではなくなるが、車輪付きの鎧兜で身を固めて街なかを動く限り、どんな品行方正な白馬の騎士も、歩行者を威圧し、騒音と毒ガスを撒き散らし、街並みを喰い尽す“蛮族”となりうるのである。

※2枚の写真は関連ホームページより
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