山形の過去、現在、未来

写真入りで山形の歴史、建物、風景を紹介し、併せて社会への提言も行う

伊達政宗の母が住んだ平地の隠れ里(9、最終回)

2010-03-31 23:33:37 | 郷土史
 ああ、このシリーズについてはしばらくご無沙汰しておりやんした。
 確か、前回は2月9日であったから、前回およびそれ以前の内容についてはその2月9日およびそれぞれの月日により再読願いたい。
 伊達政宗の母が政宗の居城から出奔して郷里の山形に住むようになった動機はむろん、晩年の前年になってようやく仙台の政宗の膝元に呼び寄せられるまで、かくも長年山形に滞在した理由も不明であるが、やはり興味深いところであり、今後の研究に期待するところ大である。
 母である義姫が山形への出奔以来子の政宗との関係がまったく疎遠であったかと言えば決してそうではなく、親子としての情愛あふれる手紙の遣り取りがあったことはよく知られているし、とりわけ直江兼続の大軍が山形盆地に押し寄せてきた時、彼女は政宗に対して援軍を大至急差し向けるよう激越な懇願状を送り、政宗もそれに応えて援軍を派遣している。その援軍はさほどの人数ではなかったが、山形勢の士気を大いに高めことは確かである。
 むろん、長谷堂合戦の際は彼女は戦火を避けて山形城に避難しているが、戦後はたぶんここ悪戸に戻り、阿弥陀像に祈るなどのひっそりとした生活をおくっていたように思える。
 彼女が岩出山城から出奔したのは文禄3年(1594)で45歳か46歳の時であり、仙台の政宗のもとに戻ったのが元和8年(1622)で74歳か75歳の時であった。
 この間はなんと28年もの長い年月であるが、たぶんやはり一度も岩出山や仙台に戻ったことはなかったと考えるのが妥当であろう。
 実際にここ悪戸の里に彼女が住んだ年月が延べで20年以上だとすれば、それこそ立派な史跡と呼ぶべきであろう。 終わり。
 ※写真は西側から望む悪戸集落  集落の背後には蔵王連山や奥羽の山並みが望まれる。 この山並みは山形城や城下に住む場合よりも眺望が効き、政宗が住む仙台領に想いをはせるには格好の地であった。当時、彼女が日参した阿弥陀堂も集落からやや離れた農地にあり、参詣を兼ねて仙台領を偲んでいたこどあろう。
 
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東北一荘重なる公衆トイレ

2010-03-29 21:34:29 | 建物
 ああ今日は、今朝も、また夜になってからも降雪。
 そして真冬の如く冷え込んでいる。
 分厚い防寒コートを着用してさえも寒さが肌まで浸透するほどである。
 でも、あと3日後からは4月なのだ。
 温暖化知識人がかねてから述べているように、北極海の氷解により塩分濃度が下がって暖流の北極海での潜り込みが鈍り暖流の動きが停滞するようになると、逆に北半球には寒冷化する地域が増大するという説が現実化しているようにも思える。
 ところが明後日からは再びかなりの高温の日が続くようであり、季節はずれの寒冷の日々と異常高温の日々が繰り返されるようだ。
 写真は抜けるような青空のもとの鶴岡市の公園内であるが、残雪も見られるように、2月の下旬のことであり、まことにぽっかぽっかの陽気で、防寒コートは不要であった。
 だから、このレンガ造りの建物の中に駆け込む必要はなかった。
 実は、この建物は以前は消防ポンプの格納庫であったが、後に手狭になったため、民間人に払い下げられ、そして所有者の快諾により平成8年に内川沿いの公園内に移築のうえ公衆トイレとして再利用されるようになった次第である。
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きれい過ぎる教会堂(4,最終)

2010-03-27 22:17:40 | 建物
 この抜けるような青空は白亜の洋館のために一層碧さが際立つ。
 しかも空の色が紺碧であるだけでなく、その日はまことに温暖であった。
 確かに写真には残雪が見られるが、その雪も湯気を立てて蒸発している状態であった。
 ところが一ヶ月以上も後の今日の気候はどうかと言えば、時折みぞれ混じりの雪が降る寒さで、しかもこの寒さは既に数日続き、明日も寒いらしい。
 もう、ほんの数日で4月だというのにこの寒さ続きは一体どうしたというのだろうか。

◆写真 鶴岡カトリック教会の司教館
 これまた、きれい過ぎる。「過ぎたるは及ばざるが如し」とは言うが、この教会の場合は「及ぶが如し」と申すべきであろう。
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きれい過ぎる教会堂(3)

2010-03-25 23:17:03 | 建物
 この教会堂は建物が「きれい過ぎる」だけではない。
前回で紹介したステンドグラスとよく似た「窓絵」も「きれい過ぎる」し、たぶん聴覚的にも「きれい過ぎる」のではなかろうか。
 上の写真は聖堂出入り口の上部にしつらえてあるオルガンであるが、ここからは天使たちが羽ばたき交わしているようなまことに妙なる調べが響くのであろう。
 あいにくこの度訪れた時はその調べを拝聴できなかったが、数年前に訪れた時はなんとジャパニーズハープ(箏)の協奏にお目にかかったのである。
 この教会堂からはグレゴリオ聖歌だけが響き渡るわけではなく、時たま日本の調べも漏れ聴こえてくるようである。
 なにしろ、この天主堂の正面の姿は武家門をくぐりぬけることによって見られるのだ。
 この教会は元の庄内藩家老の屋敷跡に築かれたことと無関係ではないようにも思われる。
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きれい過ぎる教会堂(2)

2010-03-22 11:44:58 | 建物

 現在、国会出馬が取り沙汰されている「美人過ぎる」とか「きれい過ぎる」とか言われている某市の市会議員はマスコミの話題しきりであるが、建物についても「きれい過ぎる」と言われるものが多数有って然るべきであるのだが、「フェイス(顔)の美」と比べ「建物の美」に対する関心はかなり低いのが現状であろう。
 さて、この教会堂の場合は当然「きれい過ぎる」建物であることは疑いない。
 人間に喩えるなら「雪国美人」ということになろう。
 でも、この教会堂は外観だけが「きれい過ぎる」のではなく、内面も「きれい過ぎる」。
 否、きれい過ぎる、というだけでなく、荘厳にして充分に気高さを感じさせ、しかもステンドグラスと見間違えそうな「窓絵」(※注)を通して射し込む陽光により内部の気高い雰囲気は華やかさと相俟って、まさしく花園の如きParadiceに居るような錯覚に陥る。
 さて、この教会堂はどこの教会堂なのであろうか。

※注:「窓絵」とは透明の薄い紙に描かれた聖画を2枚のガラスで挟んで窓枠に嵌められた絵のことだが、外国はむろん日本でもこの教会堂でしか見られないのだという。
※写真裏画面の窓絵は同教会絵葉書より
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きれい過ぎる教会堂(1)

2010-03-20 23:09:28 | 建物
 抜けるように澄んだ青空と足元の積雪。
 この日は異常高温ともいうべき一日であったが、おかげで快適な街歩きができた。
 この街は例年にない積雪に見舞われ、足元の積雪はその名残なのであろう。
 でも、紺碧の天空は現在まるで南ヨーロッパに居るのかと錯覚しそうになるほどである。
 紛れもなく、ここは東北地方の一角で、訪れたのも既に一ヶ月近く以前のことになる。
 過ぎることに越したことはないが、とに角このとおり、外観は美し過ぎる。
 赤いとんがり帽子の白亜の尖塔が青空を突いているならば尚更のことである。
 さあ、内部はどうなのだろうか。
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これでも厳寒期の湯の浜温泉街

2010-03-15 23:14:23 | 風景

 この写真、実はまだ2月下旬にに訪れた際の早朝の撮影である。
 温泉街ではあるが、ほとんど温泉情緒が感じられない道筋を歩いた。
 そこは庄内海岸沿いの湯の浜温泉中心街だが、歩行者専用道路でもある裏通りであるから旅館やホテルがあまり並んでいない道筋だからである。
 なお、この歩行者専用道路については姉妹ブログ「島国ニッポンの山国から」の3月6日付け記事の写真でも紹介したとおり、クルマが通らない通りなので、登下校の小学など地域の子どもたちが安心して歩ける道路である。
 それにしても、2月下旬といえばここ庄内浜は通常はまだまだ厳寒期であり、庄内地方特有の雪が下から上に「地吹雪」が吹きまくっていてもおかしくない季節なのであるが、道路沿いには一片の残雪のかけらすら見当たらない。 
 すぐそばの海岸を歩いても、まさしく「春の海岸」そのもので、冬の海岸らしい荒々しく恐ろしげなどころか、さわやかな気分に浸ることができた。
 ああ、春の海、ひねもすのたりのたりかな [写真の裏画面←クリックにより現れる]
 ①左が旅館街へ 右のクルマの背後を迂回すると歩行者専用道路 ②③歩行者専用道路 ④上の現代的建築が宿泊部屋付きのイタリア食レストラン(昨夜の宿泊所)
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四寒三温の2月~3月

2010-03-12 23:24:11 | 風景

 今年の2月から3月にかけては気候と気温の変動が激しく、寒い日々と温暖というよりはホットな日々が繰り返されることが多く、我々をしてまさしく地球温暖化の表れだという気をさせるのに充分である。
 でも、タイトルには「四寒三温」と記されており、「寒」の方が優勢であるから、温暖化というよりは「寒冷化」と申した方が適切ではないかと言う方も当然居られよう。
 普通2月の後半から3月にかけては「三寒四温」と言われる状態が順当なのだが、敢えて「四寒三温」と表記したのはやはり実際にその傾向が強いことに基づいている。
 むろん、この傾向は当地方において顕著なのであって、日本国中、全世界の北半球の至る所がそうなっているわけではなく、逆に三寒四温どころか「二寒五温」の状態になっている箇所の方が多いのかもしれない。
 上の写真は「春の海」を眺めるような情景だが、これは約三週間前の庄内浜だから、まだ2月のことであり、通常だったら寒さと強風のためにとてものんびりと遊歩してカメラを構えることなどできないはずなのだが、このとおりの温和なルックスである。
 その後も2度ほどまとまった積雪と寒冷な日々があり、「春は名のみの・・」気候が繰り返されている。
 ◆写真 ①朝の湯浜温泉商店街 ②③春の海の如き庄内浜 通常は厳寒期の荒海の日本海のはず ④県内有数の高層ビル街 むろんすべてが温泉旅館・保養所 
 ※ クリックにより画面拡大
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これぞ紅花豪商の雛飾り

2010-03-09 11:32:58 | イベント

 山形県内での雛飾りイベントの多くはこれから4月上旬にかけてが盛りだが、ここ山形市中心市街の「紅の蔵」の雛飾りだけは先週の3月3日が最終日であった。
 ちょうど3日には我が家に北欧から2名の知人女性が観光旅行で立ち寄る予定があり、午後3時山形駅到着だったのでまっすぐに案内した。
 雛飾りの公開時間は午後4時半だったので、なんとか間に合った次第である。
 この2名のうち1名は2度目の山形観光であり、つまりリピーターである。
前回はなんとか山形を気に入ってもらえたようだから、再び山形を訪れたくなったのだろう。山形人としてはたいへん嬉しいことである。
 3年前の前回は山寺と置賜桜回廊の案内だったので、今回は山形中心市街を案内した。
 その第一弾が旧紅花豪商屋敷の蔵座敷での「雛飾り」案内ということになる。
 はたして、彼女たちが何組もの雛飾りが賑々しく飾られているのを眺めて、どのように感じたかはその後もよく聴き出せなかったが、多少は喜んでもらえたのではないか。
 この雛飾りがなされている蔵座敷の片隅で千代紙による折り紙雛人形作りの体験コーナーがあり、彼女たちも千代紙雛人形作りに挑戦した。
 それにしても200円とは安い。
 ちょうど台湾人の女子留学生も参加し、ちょっとした国際交流コーナーが形作られた。

◆写真説明[表画面]2月末に開かれた「お雛様研究家」による同所での講演会 「女の子のための雛祭り」というよりは「昔の少女のための雛祭り」という感じ
[裏画面]千代紙雛人形づくり体験コーナー 故国に帰った今頃は友人や同僚たちに土産として持ち帰った“作品”を見せているのだろうか←表画面クリックにより開けます。
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地球は荒海・・・こちらは庄内浜

2010-03-06 23:50:12 | 風景

 このところ気候の変動は目まぐるしい。
先々週は寒冷。先週はバカ陽気。そして今週はやや寒冷だが昨日だけはまたしてもバカ陽気。そして明日からはまたしばし寒さが舞い戻るのだという。
 このような激しい気候の乱高下はまさしく地球温暖化の表れと言えよう。
 その「バカ陽気」の先週の前半にはしばらくぶりで庄内浜に出かけたことは前回記事の通りであるが、内陸の自宅に帰宅するや今度は南米チリで巨大地震と津波の発生の報道に接し、その津波は日本にも押し寄せたが、人身にまで被害が及ぶことはなかったことは日本国民に限っては幸いであった。
 だが、チリでの被害の惨状は目を覆うばかりであり、ハイチでの大震災の惨状と被害の規模の大きさは記憶に新しく、世界規模の経済不況などと重ね合わせると、まさしはく地球は「荒海」状態にあると言える。
 そんな「荒海」状態の中、しばしのバカ陽気の中に庄内浜の自然美と温泉情緒、そして美味を堪能したわけであるが、写真のような窓から見える夕暮れの美しさは「荒海」状態の地球のことなどひと時のことながら忘却させるのに充分であった。

※ 写真をクリックすれば翌朝の同一箇所の風景が見られます。
※ 庄内での小旅行の模様は断続的に連載します。
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