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↑ 映画『父親たちの星条旗』から 擂鉢山にたたずむ米兵
↓「品格」ゼロの
新興商業ゾーンの景観(←クリック)(再掲)
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日本は都市も農村も山林も自然もすべて病み、荒廃している。都市の中心部は空洞化して空き店舗が目立ち、戦渦も免れた歴史的建造物も解体のうえ無骨な駐車場と化して街並みは崩れ、風格も情緒も潤いも失せ、郊外の新興商業ゾーンすら過当競争により店舗の廃墟化が進む。
農村部の主要道路の沿線でも何百年も続いた牧歌的な田園風景が失われ、山林も原野も大自然も荒廃の一途をたどり、クマなどの野生動物の来襲に怯えている。
いわば日本中から日本らしい、地方らしい原風景が失われている。同時に日本人の精神までが大いに病んで陰惨な事件が多発するようになった。
米国の日本占領政策の効果は数十年後になって顕著になったと言える。高度成長期は米経済界を震撼させたが、国土の乱開発は国家の疲弊を現し始めた。
商店街の表示には横文字が溢れ、年末の紅白歌合戦ではグループ名や曲名、歌詞にも横文字が溢れ、金髪茶髪のスポーツ選手の数は欧州チームを上回る。
大型店の郊外進出が中心市街地の空洞化を招くことは当初から明白なのに、米国の圧力で容認し、北朝鮮の如き小国に対しても毅然とした態度がとれずに六ヶ国協議では全くカヤの外に置かれた状態である。
その同じ日本人が60年前には硫黄島で米軍の大軍を震え上がらせた。米軍は上陸以前に天文学的物量の砲爆撃をおこなったが、それでも6千名近くの戦死者を出し、負傷者を合わせると日本軍の死傷者数を上回った。これに懲りた米軍は日本の軍民全ての戦意を削ぐ挙に出た。それが激しい無差別爆撃と原爆投下である。しかし戦後の日本人は悲惨極まりない民衆の犠牲すら米国の犯罪ではなく、日本の軍国主義のせいにしてきた。
さらに日本的なるものの多くを無価値どころか民主国家にふさわしくないものとして排除し、土地の文化の集積ともいえる中心市街地までを崩壊させ、それが周辺の郊外や自然にまで及ぼしたのである。
これでは視覚的にも“日本の品格”を探るのは困難で、欧米人観光客の日本離れすら招いている。今や“経済的活力”は日本以外の多くの国々で見受けられる。「魂」や「骨格」が感じられない国民は諸外国から退け者にされる。文化や景観を疎かにすることは「安全保障」にかかわると論じる講演を聴いたが、まさにそのとおりである(東京工業大学名誉教授、中村良夫氏)。