「美女と野獣」という複合語は有名だが、「美女と放射能」という複合語は本邦初公開である。だが、この写真の建物がある土地で「美女」と「放射能」はきわめて良好な組み合わせのようである。
その美女とはただの美女ではなく、歴史的実在の人物であり、それこそ「世界三大美女」の一人とまで言われている超美人である。
その「世界三大美女」とは彼女と中国の楊貴妃、そしてエジプト女王のクレオパトラと言われているが、そう、彼女とはまさしく小野小町のことである。
世界史上の美女の中の美女が我が山形県と関係があるというのだから山形県人として嬉しくなるのは当然である。
その美女の中の美女はなんと92歳まで長生きしたという。
さて「美人薄命」という言葉は「美人は短命」という意味と「どんな美人も美しいのは若い時だけ」という意味の二通りがあるが、もし前者の意味だとすれば、彼女には「美人薄命」という通念は適用できないことになる。
彼女を長命にさせる一助になったのはどうやら「放射能」らしいのである。
これまた「放射能は怖いもの」という通念をくつがえすことになろう。
だが、その放射能、つまり放射性物質とはセシウムやストロンチウムのような人工放射能ではない。
小野小町の長寿に関与したと考えられる放射能とはラジウムのことであり、ここで売り出されている「ラジウム卵」という土産品はよく売れている。また、ここではラジウム含有の湯が自由に飲める箇所が街角に散在している。
さて、小野小町が訪れて長旅の疲れによる病気を癒したというこの土地の名前はいかにも彼女の名に因んでいるかのような小野川温泉であり、写真の建物は彼女が発見したと伝えられている温泉の湧出地点に建てられた入浴施設である。
ここ小野川温泉は日本国内でも最もラジウムの含有量が多い温泉の一つであるようだ。
まさしくこここそプラスの意味での「ホットスポット」と言えよう。
むろん、いかに歴史的超美女を癒し長命にしたラジウムとて放射性物質であることには違いなく、小野小町もラジウムにより被曝していたことになる。
被曝しながらも病身が癒されたり健康に効果的なことを「ホルミシス効果」というらしい。むろん、これも被曝量が少量な場合だが、有識者がこのことをあまり強く主張すると原発推進を擁護する「御用学者」と言われかねないのが現実である。
昨日訪れた小野川温泉は豪雪に埋まり、老舗旅館の軒先には大きなツララの林ができあがっていた。