らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

せいぜい

2016-05-13 | 雑学

ある雑誌に「せいぜい」と言う言葉について書かれていました。
記事は、『上司から「せいぜいがんばって」と言われて、嫌な気分になりました』というものです。
皆さんはこのように言われたら嫌な気分になりますか?

そこで今日は「せいぜい」について調べました。

「せいぜい」は、漢字で「精々(精精)」と書きます。その本来の意味は文字通り、「がんばって」「一生懸命」「力を振り絞って」と言うことです。
昔は、この言葉はこの意味で一般的に使われており、その使用は文学にもみられます。
例えば、1920年(大正9年)芥川龍之介の「お律と子等と」では、「ソップも牛乳もおさまった? そりゃ今日は大出来(おおでき)だね。まあ精々食べるようにならなくっちゃいけない。」
1931年(昭和6年)北大路魯山人の「夏日小味」では、「上等のかつおぶしを、せいぜい薄く削り、わさびのよいのをネトネトになるよう細かく密におろし、思いのほか、たくさんに添えて出す。」
のように、「せいぜい」はもともとは積極的な意味で「がんばって」という意見を示すものでした。

これに対して、最近では「(まあ、がんばったところで)たいしたことはないだろうが」と言うような、マイナスのニュアンスが伴うようになってきたようです。
1994年(平成6年)中島みゆきが作詞した「てんびん秤」の歌詞には、「どこで泣こうと涙の勝手 知ったことじゃないけれどあんたの前じゃ泣きやしないから せいぜい安心するがいい」と使われています。

この言葉は、広辞苑で調べると、
①力の及ぶ限り。精一杯。
②十分に多く見積もっても。たかだか。
と説明しており、本来のよい意味と、嫌みの二通りを説明しています。

NHKがウェブ上でおこなったアンケートでも、「せいぜい」の解釈をめぐっては、下図のように年代差があることがわかります。
それによると、「せいぜいがんばってください。」という言い方に対して、60歳以上の人たちでは「『いやみ』または『応援』の、どちらのつもりで言っているのかは、その場面によって異なる」という回答が4割程度を占めているのですが、20代ではわずかに2割程度となっています。



「せいぜい」には、もともとは悪い意味はなく、前向きな言葉で使用されていましたが、近年では意味の変化が進んでいることから、使う場合や、それを聞き手として解釈する場合には注意が必要のようです。