らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

まんじりともせず

2015-05-09 | 雑学

文化庁が行っている調査に「国語に関する世論調査」があります。
この調査の中で言葉の本来の意味を解説している項目がありますが、今日はその中から「まんじりともせず」についてご紹介します。

「まんじりともせず」という慣用句は、例えば、「私はまんじりともせず、その夜を過ごした。」のように使われますが、この言葉の本来の意味はどのようなものなのでしょうか?
平成25年度の「国語に関する世論調査」で、「まんじりともせず、その時間を過ごした。」という例文を挙げて、「まんじりともせず」の意味を尋ねたところ、次のような結果だったそうです。
(ア)じっと動かないで・・・・・・・51.5%
(イ)眠らないで・・・・・・・・・・・・28.7%(本来の意味)
(ウ)分からない・・・・・・・・・・・・11.7%

「まんじりともせず」を辞書で調べてみました。
・日本国語大辞典では、(1)ちょっと眠るさまを表す語。普通「まんじりともしない」などの形で打消を伴って用い、少しも眠らないことを強調する。               
                (2)ある行為を思う存分に、あるいはじっくりとするさまを表す語。じっと。まじまじ。
                (3)落ち着きなく何も手につかないでいるさまを表す語。

・広辞苑では、まんじりの意味として、①(多く、打ち消しの語を伴う)ちょっと眠るさま。まどろむさま。「-とせず一夜を明かす」
                        ②じっと。まじまじと。「-と見る」
と説明しています。

このように「まんじりともせず」は、本来は「少しも眠らない」ことを指す慣用句であり、「じっと動かないで」という意味ではありません。
ところが、調査では、本来の意味ではない(ア)の「じっと動かないで」を選んだ人の割合が51.5%となっており、本来の意味である(イ)の「眠らないで」を選んだ人の割合(28.7%)を23ポイント上回っていました。

では、この言葉が「じっと動かないで」という意味で使われるようになってきた理由としてはどのようなことが考えられるのでしょうか?
解説では、一つには、「一睡もしない」ことを意味する言葉ではあるものの、活発に活動している状態については用いられることが少なく、限られた空間でじっとして時間が過ぎていく様子や、眠りたくても眠れずにいるような状況に使われる場合が多い、という点が関係すると考えられていること。
また、用例は多くないものの「まんじり」は否定形を伴わずに使われることもあり、その場合には辞書にもあったとおり、「じっと。まじまじと。」という意味になることから、「じっと見詰める」ということを「まんじりと見る」と言うように使用され、この打ち消しを伴わない場合の使い方が「まんじりともせず」という否定形の意味にまで影響してきたということも考えられると言うことです。

「まんじりともせず」の本来の意味は、「少しも眠らないで」です。
使用する機会は少ないかも知れませんが、気をつけたい慣用句ですね。