らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

ヘクソカズラ(屁屎葛)の花

2009-09-03 | 

私が住んでいる大阪南部、熊取町:山の手台住宅地のはずれにある、竹やぶの雑草の中に「ヘクソカズラ(屁屎葛)」の花が咲いていました。
今日は、なんとも気の毒な名前がついているこの「ヘクソカズラ(屁屎葛)」について調べて見ました。

「ヘクソカズラ(屁屎葛)」とは、アカネ科、ヘクソカズラ属の植物で、古名は「クソカズラ(屎葛)」と言われていました。
日本各地や東アジアに分布する蔓性の多年草で、葉や茎に悪臭があることから「ヘクソカズラ(屁屎葛)」の名前がつけられたようです。



葉は蔓性の茎に対生し広卵形、花は7月~9月にかけて咲き、花弁は白色、中心部は紅紫色をしており、秋には実がつきます。



果実の乾燥したものは、しもやけ、あかぎれなどの外用民間薬のほか生薬としても利用されるようです。



花冠の先の部分は五つに裂けて、中心部分が紅紫色をしており、その色合いが灸を据えた跡のようなので「ヤイトバナ(灸花)」と呼ばれ、更に、早乙女の傘にも似ていることから「サオトメバナ(早乙女花)」などの別名があります。



古くには「クソガズラ(屎葛)」と呼ばれ、万葉集にも詠われています。

   「かはらふじに 延ひおぼとれる 屎葛(くそかづら) 
        絶ゆることなく 宮仕(みやづか)へせむ」  
高宮王(たかみやのおおきみ) (万葉集16-3855)

   (訳):サイカチ(マメ科の落葉高木樹)の木に、しっこく絡みついているクソカズラのように、私は今の役所勤めをいつまでも続けていこう。

この歌を詠んだ高宮王はどのような人であったか分かっていないようですが、名前から想像すると貴族の一員だったと思われているようです。
奈良、平安時代に「クソガズラ(屎葛)」と呼ばれていたのが、いつの頃からか「屁(へ)」までつけられて「ヘクソカズラ(屁屎葛)」と呼ばれるようになりました。

若山牧水も、くだらない物思いと「ヘクソカズラ(屁屎葛)」の悪臭を重ねて、次のように詠んでいます。

   「くだらぬ 物思ひをば やめにせむ
      何かに匂ふは 屁臭葛(ヘクソカズラ)か」 
若山牧水


「ヘクソカズラ(屁屎葛)」とは、誠に気の毒な呼び名ですが、全草に異臭があるこの蔓性植物に対しては、この命名も分からぬではありませんが・・・・・・・。