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軌道エレベーター派

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宇宙人たちの昭和

2009-05-21 00:03:43 | その他の雑記
「魅せる心に欠けるんだよな」「プロがいなくなった」以前、古い友人と飲んでいて「最近の〇〇〇は。。。」という話になったことがあります。この〇○○というのは、そう、「宇宙人」のことです。
 正確には異星人とか地球外知的生命体とかいうべきなのでしょうが、ここは俗称に従って宇宙人と呼びます。この宇宙人、随分と陳腐になったもんだと嘆いたのが上記の会話。

 平成生まれの子どもたちは知らないでしょう。私が幼かった昭和期、宇宙人と言えば下のように、それはもうバリエーション豊富で、私のような単純で信じやすい無知な少年たちを恐怖に陥れてくれたものです。



 当時は先カンブリア紀における生物の爆発的進化のように、何コレ?というような多種多様な宇宙人が、それはもうひっきりなしに地球を訪れていたのでした。皆さん、わが地球を大変気に入ってくれたようで、千客万来だったのです。
 その言動も意味不明なものばっかで、「人様の家を覗き見したあげくとんぼ返りして去って行った」「パンケーキをくれた」「目撃者を笑って逃げた(失礼な)」などなど、「何しに地球へ来たんですか!?」とツッコミどころ満載でした。「頭取り替えて」なんてのもあったっけ。アン○ン×ンかっ。

 ところが近年、宇宙人といえばみんな「グレイ」ばっかり。やることも誘拐して身体検査やら手術やらと、これもお決まりで、一体いつまでやれば気が済むのか? 一説には、アブダクティー=宇宙人に誘拐された(と思いこんでいる)人が400万人もいるとか。これじゃ1日100人誘拐しても、100年以上かかる。日露戦争より前から誘拐してたってことになります。
 このお医者さんプレイ好きな新顔宇宙人のせいで、昭和のヘンテコ宇宙人たちは地球に来てくれなくなりました。さびしい。まあ昭和の宇宙人も、お世辞にも知性を感じさせる言動を見せた方は皆無で、グレイといい勝負ですが。。。

 アブダクティーたちを分析した心理学者スーザン・A・クランシーの「なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか」(早川書房)などによると、この「グレイによる誘拐」というパターンは、有名なヒル夫妻誘拐事件(1961年)にはじまり、米国のSFテレビドラマ「アウター・リミッツ」(1963年)や映画「未知との遭遇」(1977年)などがイメージの形成に大きく影響したそうです。

 真面目に言えば、結局はほぼすべてが内的な心理現象と思われます。つまり宇宙人も妖怪も妖精も、未知・無知という「知の暗闇」の世界の住人なのです。科学の発達がその暗闇に、合理性という光をあてるにつれ、彼らは住処を追われていくのでしょう。上のような、想像力溢れる宇宙人たちは、いまや絶滅種となりました。
 彼らを惜しむ人は少なくないのではないでしょうか。近年、映画「三丁目の夕日」など昭和ブームが台頭しましたが、私には、これらの懐かし宇宙人たちが、昭和の一つの象徴なのです。
(今回のコラムは、宇宙エレベーター協会ホームページに掲載した日誌に加筆したものです)


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