軌道エレベーター派

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「異星人とコンタクトすべきでない」 ホーキング博士

2010-05-12 22:42:12 | その他の雑記
 車いすの天才物理学者として有名なスティーブン・ホーキング博士が25日、宇宙についての米テレビ番組で「人類はエイリアンとコンタクトすべきでない」と発言し、話題を呼んでいる。
 ホーキング博士は、発達した科学文明を持つ異星人がいる可能性は高いとしたうえで、異星人の地球訪問は「コロンブスがアメリカ大陸に到着したのは、アメリカ先住民にはよくなかった。同様の結果になる」と指摘。人類は異星人と接触を試みるべきではないとの見解を披露した。自らの資源を使い果たした異星人は、「遊牧民となって、征服して移住できる惑星を探すだろう」とも述べた。宇宙論の権威による悲観論に、専門家の間では「一方的な推測だ。友好的な異星人に出会える確率も同じぐらいでは」などと、戸惑いの声も上がっている。(読売新聞4月28日朝刊)


 。。。「第9地区」でも観て感化されたのかな? 私観てないけど。
 番組そのものを観ていないので発言全体はわかりませんが、伝えられるところを額面通り受け取るなら、ホーキング博士の言う地球外知的生命は、地球人に極めて近い生態を有するものを指しているようですね。ていうか、「グレイ」のイラストを添えているニュースもありました。無知を助長するような記事書くなよう!
 何はともあれ、時代の寵児のように脚光を浴びたホーキング博士も、この方面には想像力が働かないのかな、と思ってしまいます。

 たとえば、動物に草食と肉食がいたり、淡水魚と海水魚がいたり、同じカメなのに、手の平サイズのミドリガメ(長生きすると30cmくらいになるらしいが)から数メートルあったという太古のカメまで、実に多様な大きさだったりします。同じ地球上に棲んでいて、しかも系統的に近い生物でさえ、生命はこれほど異なる生態を見せるのです。
 そんな現実を前にして、異星で生まれた生命体が、私たち人間と同じ種類のエネルギー摂取をする(つまり私たちと共通の資源や環境を欲しがる)確率がそんなに高いものだとは、私にはとうてい考えられません。宇宙の中で、地球が普遍的価値を有するという思考は、人間中心主義の裏返しというか、私たち人類の思い上がりではないでしょうか(そういや、ホーキング博士は宇宙論に人間原理を取り入れたことがあったっけ)。
 それに、「自らの資源を使い果たした異星人」とやらに、恒星間航行に繰り出す余裕などあるのか、出来たとしても長いであろう航宙の間に飢えたり自然死したりして自滅しないかと、ツッコミたくなる疑問百出です。

 まあ、どう想像するかは自由ですし、本当に博士の言うとおりになる可能性もありますから(そうなったら地球人なんてひとたまりもないでしょう)、もちろん考えを巡らさねばならない。でもね、たとえ権威ある博士であろうと、いくら言っても無駄ですよ。危険とか友好的とかいう以前に、人間が好奇心を追求する行為は止められませんって。パンドラが開けなくても、いずれ他の人が筐を開けるし(原話ではピトスという壺なんだとか)、浦島太郎は玉手箱を開けずにはいられないのです。

 いっときの反動や停滞はあっても、「知ること」、すなわち人間が享受する情報の量については、増大する方向に歴史は進んできました。たとえ知ることを止めようとしても、いずれ誰かがその情報に到達する時が来ます。

 地球外知的生命に関しては、ひょっとしたら人類が死に絶えるまで答えに到達できないかも知れません。しかし、この宇宙の中で、我々は本当に孤独なのか? 私は知りたい。これを知ろうとする行為は、たぶん誰にも止められないでしょう。
 そんなわけでSETI(地球外知的生命探査)に取り組む皆さん、どんどんやってくれたまえ! 私は応援しています。

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