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軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

宇宙から歌声を

2012-10-23 18:28:55 | 気になる記事
サラ・ブライトマンさん、宇宙旅行へ

 世界的に有名な英ソプラノ歌手、サラ・ブライトマンさん(52)が記者会見し、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙旅行に参加すると明らかにした。(略)ISSには約10日間滞在し、プロ歌手として初めて宇宙で歌声を披露する計画だ。(10月11日付 日経新聞)



 ふだん更新に使ってるPCがおかしくなり、間があいてしまいました。ていうかまだ直ってません。HD軽くしようと思っていらんソフトを削除しまくってたら、どうもクリティカルなものまでとっぱらってしまったようです。今回は取り急ぎ、代替機で他愛のない話題を更新します。

 さて表記の記事ですが、ああ、『タイタニック』の主題歌歌ってた人ね、と思ったら違ってました。『ボディガード』だっけ? まあとにかく歌手として初めて宇宙へ行くのだそうで。自分で稼いだお金でやるんでしょうから好きにすればよろしい。
 しかし、宇宙から歌唱を披露なんていう話ですが、宇宙酔い大丈夫なんですかね? 日本人初の宇宙飛行士である秋山豊寛さんはミールに滞在中、終始吐き気に襲われて大変だったらしい。まあ宇宙酔いはしばらくすると直るとか聞きますが、それはまだしも、

 ムーンフェイスでも歌うのか? (○`ε´○) 

 芸能人としてはイメージに響くんじゃないでしょうか。下手をすれば声色にも影響がでるかも知れないし。それもご愛嬌って笑い飛ばせるようなキャラであればいいんですが、ムーンフェイスは体質によってはあまりひかないとか。まあ、当然ロシア宇宙局とかからアドバイスはあるんでしょうし、「歌声届ける」っていうから、本当に歌声だけなのかも知れませんが、中継だけでなく、ISSに来た様子を写真に撮られて色々PRされるでしょうし、その辺覚悟してるのかなあ。だとしたらアッパレ!

 野尻抱介氏の『ロケットガール』でちょうどそんな話があって、タレントがISSに来て中継しようとするのですが、ムーンフェイスで顔がパンパン。そのタレントはそのまま出演するのが嫌だとゴネた挙げ句、長ーいテザーにつなげた救命ボールに入ってそれをぐるぐる回してもらい、遠心力で疑似重力を作り上げてムーンフェイスを解消しようとするのですが、途中でテザーが切れて宇宙空間を漂流。理性までキレてしまい、デンパ系の人になってしまうというお話でした。ロケットガール続編書いてくれないかなあ。 
 何にしても、時代は変わったものです。自分も金さえあれば、なんて思わずにはいられませんが、その前に軌道エレベーターさえ出来れば、ですかね。

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ヴァン・アレン帯に反物質

2012-07-16 23:15:37 | 気になる記事
地球を取り巻く反物質の層が発見される

 反陽子の粒子でできた反物質の薄い層が、地球を覆っていることが初めて発見された。Astrophysical Journal Lettersによると、地球の磁気圏が反物質を捕捉することは理論上予測されていた。研究チームは「通常」物質のヴァン・アレン帯の層の間に、微少の反陽子が広がっているとしている。(略)太陽及び太陽系外から来る高エネルギー粒子の宇宙線研究のため、2006年に打ち上げられた衛星Pamelaによって、反物質が特定された。(後略。BBC NEWS SCIENCE&ENVIOLONMENT 摂訳)


 気管支炎がなかなか完全に治りません。加えて、2年ぶりとなる宇宙エレベーター協会の年鑑の編集が大詰めで、更新滞って申し訳ありません。ちなみに今月末は「軌道エレベーターの日」なのですが、プレゼントは10万人達成の時にやったので、今回は見送ります。

 さて、表記の記事ですが、ちょっと古いものです。当時ネット版で見て、軌道エレベーターにとって由々しき事態だと感じつつもあまり話題にならず、そのうち扱おうと思っていたのですが、日本でも報じられていたようです。知らんかった。
 言うまでもなく、反物質は私たちの世界を構成する物質と接すると対消滅を起こします。反物質自体は、粒子1個だけとかいうレベルであれば、粒子加速器の実験などで瞬間的に生じたりすることもあるのですが、これが地球を覆う層になっているというのですから、ヴァン・アレン帯を貫いて地上から宇宙に伸びる軌道エレベーターにとっては、機雷が漂っているようなものですね。
 この反物質の層が何らかの運動をするとか、時期によって膨張したり衰退したりとか、もっと詳細がわからないと何とも言えないので、今後の観測結果待ちですね。しかし軌道エレベーター実現の大きな障害になる恐れもあり、対策が必要になってくるかも知れないし、完全に建造不可能になる可能性すらありますね。
 ただ、これは憶測なのですが、メテオロイドとか宇宙からのエネルギー流などの類と連続的な反応を起こしている様子が観測されない(そもそもこの観測衛星にも支障を与えてない)ということは、この反物質の層、実態としては極めて希薄で、粒子間の密度もスカスカだと考えられます。そうでなきゃすぐに消滅しちゃうでしょうし。だったら軌道エレベーターも耐えるか、電磁気的に回避する(層に穴を開ける)か、いっそのこと片っ端から正物質と反応させて層自体を全部消滅させてしまえばどうか? なんてのも考えました。

 しかし、ピラーの構造を安全に保持さえできるなら、むしろエネルギー源として利用できないだろうか? 日常、私たちが利用しているエネルギーというのは実に効率が悪く、化学燃料は質量→エネルギーの換算比(ε)が1億分の1程度、原子力でも50分の1程度しか取り出せていないのだそうです。
 対消滅というのは、いわば還元率100%ですので、大雑把に言えば質量が完全にエネルギーとして解放され、燃えカスも残らず完全に消えてなくなる(たしかガンマ線が出るけど)。このうち熱に変換される分の一部でも回収すれば、太陽光発電などよりも有用なエネルギー源になるかも知れません。軌道エレベーターの取り入れ口から磁場などで封じ込めつつ吸い込んで炉に誘導し、対消滅させるとか。。。ちなみに記事中でも反物質ロケットへの応用可能性について触れていますが、反物質ロケットなんて効率の良さそうなものが出来たら、軌道エレベーターいらないかも(´・ω・`)。。。とはいえ、私たちは反物質を安全に扱う技術が未発達なので、月のヘリウム3の活用と同様、今後の技術の発展に期待です。
 何にせよ、私たちは深宇宙はおろか地球近傍のことも、まだまだわかっていないのですよね。軌道エレベーター実現への道のりは、きっとまだ多くの未知の壁が待ち構えているのでしょう。

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神の杖か悪魔の槍か

2012-03-16 20:01:51 | 気になる記事
米が宇宙兵器「神の杖」を研究開発 衛星の誘導で地上攻撃

 米国は、「神の杖」を含む多種の宇宙兵器の研究・開発を始めている。宇宙プラットホームに小型推進ロケットを装着した直径30センチ、長さ6.1メートル、重さ100キロのタングステン、チタン或いはウランの金属棒を搭載するという計画で、衛星の誘導で地球上のすべてのターゲットを攻撃することができる。金属棒が地上から1000キロ離れた宇宙から急降下する際のスピードは時速1万1587キロに達し、ターゲットにぶつかる際の力は原子力兵器にも引けを取らない。(後略。中国網日本語版=チャイナネット=2月29日、JAPANSE.CHINA.ORG.CNより引用)


 相当マユツバな気もするのですが、一応真に受けて一筆。
 衛星の軌道速度を初速として利用し、単純に衝突の衝撃を主な破壊力として地上を攻撃する、いわば人工隕石ですね。誤解されがちですが、金属棒のスピードが「時速1万1587km」とあるのは、落下によって得るスピードではないはずです。金属棒を搭載するプラットフォーム衛星とやらは高度約1000kmですから、平均軌道速度は秒速7.35km=時速2万6460km。仮に無理くり大気中に突っ込ませるとして、棒が大気圏に突入するとブレーキがかかり、あるいは誘導のためにも速度が半減すると考えればいいのでしょうか?
 この発想自体は大昔からありましたが、弾道軌道ではなく衛星軌道上からの物理的攻撃というのは、スピードが出すぎるゆえに迎撃困難な代わりに命中精度が低く、あまり現実的ではなかったと聞きます。そもそも衛星軌道上からモノを落とすのは大変なエネルギーが必要で、単純に落とせば地上に到達するというものではありません。レールガンのようなシステムで発射するとしたら、反動でプラットフォーム衛星本体の軌道も大きく変化してしまいます。
 こういう問題をクリアできるのだとしたら、近年の材質や誘導技術の向上で可能性が高まったのかも知れませんね。
 核兵器と違って放射能汚染もないし(ウラン製はちょっと気になりますが)、落下質量か速度を大きくすればそれだけ破壊力が増す。実用化すれば一種の最終兵器のような物になるかも知れません。ちなみに「宇宙条約に違反している」というのはお門違いです。何度も述べてきましたが、国際法のほとんどは罰則や強制力がないため、ほとんど抑止力にならない。だから「違反だから打ち上げはで"きない"」というのは空論です。中国の衛星撃墜実験などを見れば明らかなように、宇宙開発先進国(同時に軍事大国)は違反など屁とも思わず実行します。
 とはいえ、こんな大量虐殺兵器を打ち上げたら(同盟国を除く)多くの国々の敵意を買い、武力行使の誘因になりかねません。ましてや本当に使えば、世界じゅうが捨て身になっても反撃し、湾岸戦争時のイラクのように袋叩きにされかねませんし、命令を出す権力者も歴史に汚名を残すことは確実で、正気ならビビッて使えないでしょう。

 では、この情報が意味するところは何か? この神の杖とやらの本質は、情報そのものが武器ということですよね。「わが国はこれだけの能力を持っている」というハッタリです。本気なら極秘で造ってるでしょうし。
 実際には核兵器と同じで、遅かれ早かれ他国も同じ技術を手にして撃ち合えなくなり、威嚇と駆け引きにしか使えない。本当に研究しているなら今後実験をやるかも知れませんが、実戦配備の手前(いつでも発射準備可能にしておく)くらいで寸止めしておくのではないでしょうか。まあNBC兵器の部類に入らないから、限定的だったら小国相手に使っちゃうかも? とかすかに思わないでもありませんが、あとは理性を喪失した狂信者が権力の座につかないことを祈るばかりです。

 なお軌道エレベーターを、同じように利用するという発想を以前見たことがあるのですが、あまり現実的ではないと思われます。この「神の杖」が兵器として有効なのは、

 (1)機動性があり、宇宙空間にいるので反撃が困難
 (2)無人の使い捨てで、反撃されて壊れてもいい
 (3)量産可能

 ──という点ゆえです。冷戦時代の核戦略の主役が、大陸間弾道弾(ICBM)から潜水艦発射型の中距離弾道弾(SLBM)に移ったのも、深海で隠密行動をとる潜水艦は発見・反撃が困難で、しかも広範囲に配備できるからです。これに比べ軌道エレベーターは、巨大過ぎてそう簡単に軌道変更できない上、地上から静止軌道を超えて伸びる構造物を隙なく防衛するなど事実上不可能でしょう。本気、または捨て身で攻略されれば勝ち目はなく、再建も大変です。軌道エレベーターは、兵器としてはあまり割に合う代物ではありません。

 それにしても、宗教的背景(天から鉄槌が下るというのは文字通り「天誅」というか、特にキリスト教圏ではいかにも神の裁きみたいなイメージに結びつくと思われる)もあるのでしょうが、よくもまあこんな傲慢なネーミングができるものですな。『七都市物語』のオリンポスシステムを思い出しますが、神の杖じゃなくて悪魔の槍だろうこれは。

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NASA「マジで度肝を抜かれた」

2012-01-06 23:33:58 | 気になる記事
 米航空宇宙局(NASA)は太陽のすぐ近くを通過した後、無事「脱出」に成功した彗星の映像を公開した。(略)「ラブジョイ彗星」と呼ばれるこの彗星は、太陽のすぐ近くを通る軌道を持つ「クロイツ群」と呼ばれる仲間の一つで、オーストラリアのアマチュア天文ファンが昨年12月2日に発見したばかり。(略)そのまま消滅すると思われていたが、約1時間後に奇跡的に太陽の反対側から出てきたところを複数の衛星が観測した。NASAは「マジで度肝を抜かれた」との専門家のコメントを紹介している。 ラブジョイ彗星は今回、太陽表面まで約14万キロ(地球と月の距離の3分の1程度)以内まで接近したと考えられている。
(asahi.com 1月2日)


らぶじょいすいせい (・∀・)
 新年から何とも楽しそうな天体のお出ましですね。もう名前だけでディープインパクトです(発見者がLovejoyさんて言うんだけどね)。テーマ曲はいきものがかりの「じょいふる」しかないわ。
 「マジで度肝を抜かれた」って、原文では何て言ってるのかと思ったら、"It's absolutely astounding"の訳らしい。私としては、天下の朝日新聞がこういう訳文を記事に載せたことがたまげました。
 で、NASAの学者たちの度肝を抜いたというこのラブジョイ彗星。なぜ太陽にこれほど近い距離まで接近しながら核が維持されたのか? NASAの記事原文では「彗星の尾が太陽の磁束管を跳ね返したのでは」(拙訳)みたいなことを述べていますが、私なりに別の考察をしてみました。結論から言いますと、一つは速度、もう一つは気化熱ではないかと。

 まず速度ですが、彗星に限らず共通重心を周る2天体共通の現象なのですが、ケプラーの法則にもとづき、従星(この場合は彗星)が一定の時間に軌道上を進んだ分の弧の両端と、焦点(この場合は太陽の中心)を結んで描く扇形は、軌道上のどこであろうと常に同じ面積になります。これはすなわち、焦点に近いほど従星の速度が速まることを意味し、ラブジョイ彗星の軌道速度は近日点通過時にトップスピードに達することになります。しかもこれは安定した軌道の話で、彗星は1周ごとに質量が減ってくこともあって軌道が不安定で、今回は接近速度がもともと速かったのかも知れないし、太陽表面まで12万km(朝日の記事は14万kmだけど、原文では表面から120,000kmの上層大気を尾がかすめたとなっている)まで接近したそうですから、近日点では相当な速さだったのでしょう。1時間で太陽の周囲を半周したとすれば、秒速700km近くになりますね。

 これは自然の法則ですが、ここからは勝手な憶測です。彗星は太陽に近づくにつれ、表面が蒸発して太陽の反対方向に尾を伸ばします。私たちがふだん彗星のイメージとして想像するのは、この尾を引いた(厳密には引くのではないけど)姿でしょう。で、彗星表面が蒸発することで気化熱の吸収が生じ、ラブジョイ彗星の核を完全な蒸発から守ったのではないでしょうか?
 皆さんアブレーターという装置をご存じでしょうか? ソユーズなどの帰還船に取り付けられているシステムです。帰還船が大気圏に再突入すると、断熱圧縮による空力加熱で表面が高温になりますが、この時アブレーターの樹脂が溶けて気化熱を吸収し、機体を保護してくれます。ラブジョイ彗星も、表面の氷がアブレーターの役割を果たし、これと同じ効果によって"生還"したのではないでしょうか。
 以上の理由から、表面の蒸発で核を守りながら、近日点を高速で周回することで、核まで消失する前に太陽熱の影響から脱したのではないか? 私はそう推測しています。熱力学は強いほうではないので、専門の方からみてトンデモな話だったらごめんなさい。

 ちなみに、蒸発しなかったことよりも私が驚いたのは、ラブジョイ彗星が太陽表面に信じられないほど近づいたという事実です。シューメーカー・レヴィ第9彗星(木星に接近し過ぎて分裂した)みたいに、潮汐力で破壊されないのか!? と驚きました。ロシュの限界超えてないのかしらん? まあクロイツ群自体が、大昔に潮汐で分裂した大きな彗星の残滓だという説が有力らしいですけれども。しかし、こういう不思議なことがあるから宇宙は面白いです。

 ニュース記事の感想を書くことが多くなってきたので、今年から「気になる記事」としてコーナー化しました。今後ともよろしくお願いいたします。

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