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津軽平野のど真ん中に位置する田舎館村は、その潔い名の通り田んぼしか無い生粋の田舎でありますが(地元の皆様、ごめんなさい)、そんな村にある2軒の公営老人福祉施設には、掛け流しの温泉浴場が併設されているという情報を得たので、2013年秋の某日、その両施設をハシゴすることにしました。まず1軒目は前田屋敷地区にある「喜楽荘」です。2本の県道がクロスする十字路の角にあり、辻向かいには村民の生活を支えるローソンが営業中ですから、比較的わかりやすい場所ゆえに、私はカーナビなしで辿りつけました。いかにも昭和の公共施設らしい地味な建物ですね。建物のどこを見ても、ここで温泉に入れることを示す看板などはありませんが、玄関には温泉入浴時間に関する案内が掲示されており、これによってここに温泉があることが確認できました。
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これがその入浴時間に関する案内です。基本的には村にお住まいの老人の方に向けた施設であり、村の老人に対しては入浴時間が幅広く設定されていますが、これに対して一般有料開放される時間帯は限られていますから(特に平日)、利用の際にはちょっと注意が必要ですね。
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玄関入って左手にあるラウンジの前を通り過ぎ、浴室がある奥へと進む途中、廊下の右側に小さなお座敷があり、施設を管理(あるいは受付の当番)しているおばあちゃんがその座敷にいらっしゃいましたので、挨拶してから座敷前に置かれている卓上の料金皿に入浴料を納めました。
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廊下の突き当りが浴室でして、ちゃんと男女別になっています。福祉施設に付帯する浴場はどこでも極めてそっけなく、その入口は浴室なのか倉庫なのか保健室なのか、いまひとつ判然としないケースが多々有りますが、こちらもその典型であり、入り口の札に書かれている「男浴場」の文字が無ければ、とてもここにお風呂があるとは気づきません。脱衣室も至って簡素で必要最小限の設備に抑えられていますが、ありがたいことに扇風機が用意されているため、湯上がりのクールダウン対策は問題ありませんでした。
訪問時にちょうど私と入れ替わりで出て行ったこのお風呂の常連のお爺さんは「ここでは物を盗まれたことがないからロッカーが無くても大丈夫、お湯はいくらでも出てくるし、どんどん流れてゆくから垢も無い、最高のお湯だよ」と強い津軽訛りで誇らしげに語っていらっしゃいました。地元の方が太鼓判をおしてくれると、とっても心強いですね。
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全面タイル貼りの浴室は実用的で温泉風情はありませんが、床にはベージュ、側壁には若草色といったようい明るい色が採用されており、窓からも外光が燦々と降り注いでくるので、湯気が立ち込めているとはいえ、室内の明るさは十分、しっかりと行き届いている清掃の甲斐もあって、快適に利用できました。なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が8基設置されており、シャワーからは源泉のお湯が出てきます。
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浴槽は6~7人サイズ(7人ではちょっと狭いか)、壁から突き出ているバルブ付きの配管が湯面下へ潜り、底に近い位置からお湯を吐出させています。浴槽の縁と洗い場の床との間はフラットに近い造りになっており、豊富な源泉投入を受けているその浴槽の縁からは波々とお湯が溢れ出ていて、床タイルの上では小さな波を立てながらオーバーフローが流れ、洗い場に散るボディーソープの泡を綺麗に洗い去っていました。また絶え間なく床の上を温泉が流れているためか、タイルは温泉成分によって茶色く染まっていました。
お湯はほぼ無色透明で、口にするとほんのり出汁味が感じられ、津軽平野の温泉によく見られる磯のような芳しい匂いがふんわりと香っています。お湯が槽内で勢い良く吐出されているためか、湯船の中では細かな気泡の付着が見られ、特に湯口付近で顕著です。肌を擦ると弱いツルスベ浴感が得られ、味や匂いは薄いものの、その浴感からは食塩泉であることが実感できましたが、食塩泉というよりアルカリ性単純泉に近いツルスベであったように感じられたのは私だけでしょうか。
ま、そんな微細な感覚はともかく、わずか150円でふんだんに掛け流される新鮮な温泉に入浴できるのですから、なんとも素晴らしい浴場ではありませんか。食塩泉ですから湯上がりの温まりも抜群です。先程のお爺さんが誇らしげに語っていたことに十分納得できました。
ナトリウム-塩化物温泉 45.0℃
Na+:318.0mg, Ca++:9.7mg,
Cl-:410.3mg, Br-:1.0mg, I-:0.9mg, HCO3-:122.0mg, CO3--:36.0mg,
H2SiO3:178.9mg,
JR奥羽本線・五能線の川部駅もしくは弘南鉄道の黒石駅より弘南バスの黒石~川部線で「福祉センター」下車すぐ
青森県南津軽郡田舎館村大字前田屋敷字東中野35-1 地図
0172-58-2221
平日16:00~21:00、土日祝9:00~21:00
150円
備品類なし
私の好み:★★+0.5