温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

下風呂温泉 さつき荘(2013年10月再訪・宿泊) その1(お部屋・食事編)

2014年01月02日 | 青森県
あけましておめでとうございます。
新年早々に旧年の話題を持ち出すのは如何かと存じますが、でも年の始を飾るには相応しいお宿ですので、拙ブログの年初はこちらから始めさせていただきたく存じます。そのお宿とは、前回記事の「2013年温泉十傑・東日本編」でも触れましたが、昨年宿泊した温泉旅館で最も素晴らしかった下風呂温泉「さつき荘」であります。既に多くの温泉ファンによって絶賛されていますので、その尻馬に私も乗っかろうと画策した次第です。


 
前年(2012年)からネット上ではリニューアルしたという情報が出回っており、温泉ファン諸氏のブログ等でその画像を拝見していましたが、実際にその姿を自分の目で確認してみますと、なるほど以前の鄙びたの湯治宿の面影は全く消えて、赤提灯の似合う小洒落た居酒屋のようなファサードに豹変しており、ここが本当にあの「さつき荘」なのか我が目を疑ってしまいました。ちなみに、以前(リニューアル前)に立ち寄り入浴で利用時した際の記事はこちらです。


 
館内もすっかり様変わり。ロビーには薪ストーブが置かれ、時折バチバチと爆ぜながら、室内にぬくもりをもたらしていました。ウイスキーでも飲みたくなるような雰囲気です。先代の大女将は現役を退いた代わりに、その子(といっても私より遥かに年長である人生の大先輩ですが)の世代がリニューアル後の宿を引き継いでいらっしゃるんだそうでして、薪ストーブで温まってる1階のお部屋には、以前某雑誌に携わっていたというセンス溢れるお兄さんの、カメラやオーディオなどのコレクションが置かれていました。なおストーブに使う大量の薪は玄関の前に山積みされているのですが、これは町内の易国間にある製材所から持ってくるんだそうですよ。


 
建物の躯体こそ以前のままですが、内装は見違えるほどすっかり綺麗にリノベートされているではありませんか。お値段の高そうな旅館を思わせるその趣きには心底からビックリしましたよ。



共用の洗面台には洒落た磁器の洗面ボウルが取り付けられ、その真ん中にはエスニック調のマスクが飾られています。また間接照明のおかげで、落ち着いたムードが醸しだされていました。随所に木材が多用されているので、優しい温かみがそこここから伝わってきます。ネット上ではリニューアル後の当宿について「下風呂で最もオシャレな宿」という評価がなされていますが、私もその意見に100%賛同です。ちなみにトイレも洋式の水洗に更新されています。


 
今回通されたお部屋はこちら。箸より重いものを持ったことがないお姫様でも指先だけで開けられそうなほど、スムーズにスライドする引き戸を開けますと、照度を抑えた落ち着きのあるその室内には濃淡のコントラストを強調した改装が施されており、畳の上には既にふかふかの布団が敷かれていました。なお床の間は従前のものをそのまま活かしているようです。浴衣と一緒に用意されていたバスタオルからは、柔軟剤の芳香がふんわりと香ってきました。



「さつき荘」の大きな魅力の一つが何と言ってもお食事でしょう。目の前に漁港を擁する地の利を活かした魚介尽くしの献立は、決して雅やかな割烹料理ではありませんが、料理担当である宿の弟さんが、その日水揚げされた魚介を見て、その場でどのように調理するかを決めているんだそうでして、つまり魚介の特性やコンディションによって客に提供される献立は異なってくるわけです。何をいただけるかは、その日になってからのお楽しみなのですね。またそのような方法ですから、当然ながら魚介の鮮度も抜群なのであります。なお夕食朝食ともに部屋出しとなっており、時間に関しては(状況にもよるのでしょうけど)比較的融通がきくようです。
上画像は夕食の様子でして、この日の献立は以下のとおりでした。
タラのホイル焼き(白子付き)、ホタテ稚貝の味噌汁、地元産ナマコ酢、ちゃんちゃん焼き(鍋)、いくら、サメのぬた、アブラメの唐揚げ、タコの頭の和え物、そして握り寿司(わらさ、地元産の〆鯖、ホタテ、タイ)
いずれもほっぺたが落ちまくっちゃうほどの超美味。あんな美味い握り寿司を食ったのは果たしていつ以来だろう…。ネタも良ければ、シャリもフワフワで、口に握りを放り込んだ瞬間、旨味と軽やかさが優しく広がってゆくんですよ。他の献立も、余計な味付けや妙に凝った調理法などではなく、あくまで素材の持味を活かすべく、敢えてシンプルな味付けや調理法に徹しているのですが、それゆえに各魚介が持つそのものの味と食感が最大限に導き出され、また一つ一つ丁寧に作られているので、どれだけ金を出しても決して東京ではいただけない当地ならではの味覚を堪能することができました。


 
画像左(上)はちゃんちゃん焼き。鍋の右下に見切れている小鉢のイクラは、ちゃんちゃん焼きで使った同じシャケから採ったそうです。また画像右(下)はタラのホイル焼きでして、身も白子も同じタラのものなんだそうです。とれたてのタラの味を知ってしまうと、東京で売っているボソボソとしたタラが食べられなくなっちゃいますね。



こちらは朝食。半熟卵、ホタテの肝のあんかけ、イカ刺し、ニシンの切り込み、フノリの味噌汁などなど、夕食に負けず劣らずの地元海鮮尽くしです。朝からこんなに美味いもんを食ったら、どんな人だって英気が漲りますよ。ついつい食が進んで、朝からお櫃のご飯を空っぽにしてしまいました。

さて、肝心のお風呂については次回で取り上げます。

その2へつづく
コメント (2)
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