脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

チャルモッ(過ち)

2012-07-21 | Weblog
前回のブログでいじめというのは、コミュニティーの問題であると書いた。
いじめを解決するということはもはや個人の問題ではなく、コミュニティーで考えて行かなくてはいけないということを言ったが、いじめと言うのは自分たちの共同体の中で起こる悪質な事件である。だからそれを黙認したり、何もしないと言うことは同罪であると言うことを伝えていくことは重要なメッセージであり、もはやこういうドラスティックな改革をしていかなくてはこういう問題は根本的に解決されないのではないかと思っている。
揚げ足取りになってしまうかもしれないが、ある評論家がこのいじめが起こる原因のひとつに、教師が生徒と同じ目線にたっていないというようなことをあげていた。
しかし私からすればこういう発言は時代錯誤もはなはだしい。
一般的にうけのいい評論家は、どうしたら人に話を聞いてもらえるかと言うことを最優先するので、話が感動的になったりするものだが、こういう場で語られる教師が生徒の目線に立つなんて言う言葉は自己満足、欺瞞を生み出す原因で、人間などそう強くはないのだからひとりの人間にそこまで背負わせるようなやりかたは、まさにスケープゴートを生み出す考え方である。
大事なことはこの問題を共同体でどうとらえ考えていくかと言うことで、こういう問題はその講演を聞いて、いい話が聞けたと言うようなことが問題ではない、いじめというのは共同体で起こる犯罪であるから、その犯罪に対して語られるメッセージは、ひとりびとりがそれに対する責任を負うための警告でなければならないと思う。

これに対してオーストラリアであったと思うが、このいじめの問題をうまく解決しているらしい。
本で読んだのか、テレヴィで見たのかはおぼえていないが、オーストラリアの学校はこのいじめに対して、それをまわりが無関心ではいけない、行動を起こす義務があると言うようなことを、伝えることでいじめを解決しているらしいが、彼ら彼女らはいじめと言う問題をいじめる側といじめられる側と言う構図でとらえるのではなく、そのまわりにいるあなたたちにも責任はあるのだというメッセージを送ることで解決しようとしたのである。
しかしこの解決法は我々とは持っているバックボーンが違うから可能であると言える。
彼らのバックボーンは宗教であり、その宗教においては偽証と言うのはただ虚偽の証言をすることではなく、積極的に知っていることは話さなくてはならないという義務があり、そのことによって自分たちの宗教的な共同体の中で秩序を保ってきたゆえに、彼ら彼女らはアンガージュマン的なかかわりができるのである。
さらに彼ら彼女らは、王政から始まってルソーの社会制約論に至るまで、共同体を成長させてきたという歴史がある。その中で個人の権利や、共同体との結びつきと言うものを繰り返し考えられてきたのが、残念ながら日本人は民主化においては西洋のような戦いの歴史はない。
日本はただ制度的なことは換骨奪胎的には受け継いだが、しかしひとりびとりが個人の権利や、人権と言うものを理解していないので、今日このような人権問題にぶち当たった時に、うまく処理することができない。
だからスケープゴートと言う最も原始的な犠牲を強いることで解決しようとするのである。

しかし日本人は感情的ではあるけれども、良心の痛みを感じることができる民族である。
私はルソーのような性善説には立っていないが、しかし人間には良心はある。
私のような無責任な人間でも、苦しんでいる人間を助けてあげることができなかったということを悔やんでいるということを前回のブログで書いたが、もし人間にこういう痛みを感じる良心と言うものがあれば、十分にその責任を負うことができるであろう。

いじめをする奴はごみ同然だ。人を傷つけたり、苦しめたりするのに理由などない。そしてこういうごみを出したのは我々の責任であり、ごみをきちんとかたずけるのが社会のルールである。

最後に補足しておくが、いじめをする奴はごみだという意見は私の私的感情で、こういうことをする奴らがいかに最低かと言うことを表現したまでである。
この感情がまた新たなスケープゴートを生み出さないためには、われわれの共同体をかたちづくる何かが必要で、私は彼ら彼女らのような主教的バックボーンを持たない日本人が今、その宗教に代わって持つ、バックボーンとして、コミュニタリアリズムを学ぶことはいいことだと思う。








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