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夏場所を振り返って

2010-05-27 13:54:10 | まらずもう新聞編集部のまらずもう分析

 まらずもう夏場所も、去る5月23日(日)、大盛況のうちに千秋楽を迎えた。
 今場所は関脇雲虎の大関獲りと、毛呂乃率いるアホリ部屋の発足という二つを中心に、見どころの多い場所であった。この二つは一見すれば全く別個の話題に思えるが、アホリ部屋・毛呂乃の幕内付出デビューは、大関獲りの雲虎に多大な精神的プレッシャーを与えるという影響を及ぼした。結論からいえば、雲虎は毛呂乃の存在を意識したせいか自分の相撲を見失い、自己ワーストの3敗を喫して大関獲りに失敗してしまったのだ。先場所14勝1敗の好成績を挙げた雲虎だったが、はやくも4日目には取組を忘れて不戦敗という失態を演じ、11日目までは連勝しても3連勝止まりが続くという内容。結果的に12勝は好成績とは言えるが、いままでの雲虎からするといささか物足りない印象は否めない。いずれにしても大関獲りは来場所に持ち越し。2場所前が平幕だったこともあり、今場所の昇進条件は優勝または13勝以上と厳しかったが、来場所は昇進のハードルが下がることが予想される。内容次第では11勝でも昇進は十分可能だろう。来場所に期待したい。
 さて、一流は一流を知るということなのか、場所前から雲虎は毛呂乃を非常に警戒していたが、その毛呂乃は、まさに黒船襲来とでも言うべき衝撃的なデビューを飾った。11勝4敗の成績は幕内デビューとしては上出来と言えるが、実際の相撲内容を見るとなぜこれで11勝しかできなかったのかと思ってしまう。そのくらい一番一番の相撲内容が恐ろしいのだ。雲虎が「毛呂乃は八百長をしているのではないか、毛呂乃がこんなに負けるはずがない」と語ったというが、それもうなずける。規格外、四尺のまらから繰り出す「コークスクリュー勃起」を基軸に、夢精してなお元気に勝つという圧倒的な体力。また夢精直前で寸止めして長い相撲にも耐えるという強靭な精神力。さらには受け専門ながら雲虎(=男)にまで欲情できるという多彩な技。まさに心技体どれをとっても末恐ろしい大器だ。今場所こそ雲虎12勝、毛呂乃11勝でかろうじて雲虎は第一人者の体面を保ったが、近い将来、いや、来場所にでも毛呂乃はその座をおびやかしかねない。
 もちろん雲虎とて黙ってはいない。7日目には三鷹駅の階段をおかずに使うという、他の追随を許さない高度な技を披露。毛呂乃の欲情は性別を越えたが、雲虎の欲情は生命をも越えたのである。場所終盤の八百長発言もあって来場所に遺恨を残した雲虎と毛呂乃。来場所も想像を絶するハイレベルな攻防が展開されるに違いない。
 その2人の陰に隠れ、こそこそと面白みの欠ける相撲でなぜか白星を稼いだのが新三役・ほしの山改め玉椿。雲虎デビュー以来息を吹き返し、毎場所雲虎と2差の成績で取り終えていたが、今場所は1差まで詰め寄り、千秋楽まで雲虎と並走した。これでこの2場所12勝、11勝で大関挑戦の資格を獲得。来場所は雲虎と並んで大関先陣争いをすることとなった。もう一人の幕内・明烏は今場所終盤7連敗で来場所は十両からの出直し。しかし連敗中も決して勝負をあきらめず、真摯に土俵を務める姿は感動を呼んだ。幕下で久々に一番取って負けると、再びあっさり脱走していた玉太田改め太田も、この明烏の姿勢に感動したのか千秋楽に土俵復帰。明烏は自身の相撲では負け越したものの、太田を復帰させるという大きな仕事を成し遂げた。

 さて、太田の話も出たところで、ここからは幕下以下を振り返ってみよう。今場所は幕下以下に大きな動きがあった。それは、「勝ち方をわきまえた力士が出てきた」ということ。幕下以下は15日中、7番とればよく、自己責任・自己申告のまらずもう精神から、取組を行う日・行わない日は力士自身が決められる。標準的・理想的には「1日おき」だが、それはあくまで目安。この制度の中で、ついに勝ちに徹することを編み出した力士たちが現れた。最初に気付いたのはどうやら序二段の策士・汚痔の山。初日に「勝ちに徹するため今日は休み」とわざわざ休場の報告をした彼は15日間勝ちに徹し、見事7戦全勝優勝。この他、幕下でも朝乃立が同様に勝ちに徹して7戦全勝。新十両昇進を決めた。これまでまらずもうで十両になった力士は、全員が幕内付出デビューの力士が陥落した、というケース。今回のように幕下から取って十両に「昇進」したのは初の快挙。なお、大相撲を含めても、幕下付出から所要2場所で十両は最速タイ。また、三段目では摩羅の川が勝ちに徹することもなく、ほぼ1日おきに取って7戦全勝。このため今場所は力士不在の序ノ口を除き、幕下以下三段目、序二段と各段で優勝者が出た。このように勝ち方が固まってきた幕下以下の相撲だが、そのぶん「自分の相撲」の追求にも幅と深みが出てきた。勝ちに徹するのも一つの在り方だが、真っ向勝負に徹するというのもまた別の在り方。今場所幕下の月乃猫は4勝3敗の成績だったが、場所前に「偶数日に取る」と宣言、体調や都合にかかわらず、期間中その宣言を守り通しての土俵で、関係者に「フェアプレー賞があるならあげたいものだ」とまで言わしめた。また、アホリ部屋の飛埒王も、わざわざ4日続けて取って4連敗、ストレートで負け越しという相撲を見せた。不調なら休んでおく、あるいは真っ向勝負であっても1日おきに取ればいいという選択肢がある中、負けに徹したとしか思えない。アホリ部屋の部屋頭・毛呂乃自身、深遠・神秘的な言動が多いため、付け人の飛埒王もやはり俗人には測りかねる相撲を追求しているのかもしれない。
 最後に触れるべきは何といっても池男王子だろう。池男王子は平成21年九州場所初土俵の新弟子第一号、昨今のまらずもうブームのパイオニアである。そんな彼も自身の土俵では不本意な場所が続き、デビュー以来3場所、半年間連続で負け越していた。場所前は「進退を賭ける」と悲壮な覚悟で臨んだ今場所、3勝3敗で迎えた最後の1番に勝利、ついに念願の勝ち越しを決めた。これによりまらずもうの連続負け越し記録は3場所でストップ。不名誉な記録で取り上げられることの多かった池男王子だが、実はちょっと意外な記録もある。新弟子第一号のため、今場所で在籍4場所となったが、序ノ口であった都合もあり、池男王子は負け越しを続けていたものの1度も番付が下がったことがない。毎場所少しずつ、番付枚数は上昇していた。4場所連続番付枚数上昇は、玉椿と並んでまらずもう記録。序二段となった今、もう負け越したら即番付は下がるので、来場所も勝ち越して記録を伸ばしてほしい。

 今場所は殊勲賞:玉椿、敢闘賞:毛呂乃、技能賞:雲虎と三賞が出そろい、各段優勝も幕下、三段目、序二段で全勝者が出るという実り多き場所であったが、やはりどうしても期待されてしまうのが幕内最高優勝。まらずもうの幕内優勝は、大相撲白鵬の連続全勝優勝の影響もあり、初場所の雲虎以来出ていない。雲虎・毛呂乃のハイレベルな攻防の末に優勝者が、という光景が来場所実現されることを願わずにはいられない。

【名古屋場所のご案内】
番付発表:6月28日(月)
初日:7月11日(日)
千秋楽:7月25日(日)
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