― 今場所も新弟子の応募、なかったですね。
(玉椿) 「まあ、そうそう来ないよな」
― たぶん入門に興味のある読者はいるんですよ。でも、力士になってなにをしていいかわからないのが不安だと思うんですよ。
(玉椿) 「そうかなあ?」
― ということで、きょうは結果報告の方法について解説をお願いします。
(玉椿) 「協会にメールで報告するだけだよ。メールにはつぎの4点を書いてくれ」
(1)しこ名(だれの報告か)
(2)日付(何日目か、あるいはカレンダー上の日付)
(3)勝敗(勝ったか負けたか)
(4)簡単なコメント
【しこ名】
― まずはしこ名と。
(玉椿) 「まあ、メールアドレス見ればだいたい誰の報告かはわかるんだが、忙しくてスマホの別アドレスからの連絡するなんてこともあるだろ。ふだんから名前を書くってのを習慣にしといてほしいね」
ー 小学校のテストでも「まず名前をかけ」って指導されますもんね。
(玉椿) 「ほんとによろしく」
【日付】
― つぎに日付と。
(玉椿) 「毎朝きちんと報告してくれるんであれば、メールの発信時刻で判断がつくんだけどさ。忙しい日がつづくと数日分をまとめて報告とか、報告が翌日になったとか、そういうケースが多いんだ。そういう場合、ちゃんと日付が書いてないと記録がつけられん」
― 日付というのはカレンダー上の日付でいいんですか?
(玉椿) 「いつとったかかがわかれば、カレンダー上の日付でもいいし、場所の何日目かでもいい。でも何番相撲かっての情報は必須じゃない」
― 何日目? 何番相撲? なにが違うんですか?
(玉椿)「具体例があったほうがいいかね」
や●や○や
(玉椿)「こういう星取表があったとする」
ー はい。
(玉椿)「●印になってる負けた日はその場所最初の取組だろ?」
― ってことは一日目ってことですか?
(玉椿)「そこが間違えやすいところでさ。そのまえに「や」印がついてるだろ。「や」のついた日が初日だ。●印の日は二日目ってことになる」
― 最初の相撲なのに二日目なんですか?
(玉椿)そのために一番相撲って表現があるんだ。●の日は二日目で一番相撲ってことになる」
― はあ、なるほど。
(玉椿)「じゃあクイズ。○の日は何日目で何番相撲でしょうか?」
― 四日目、二番相撲、ですか?
(玉椿)「正解」
ー 何日目と何番相撲とどっちを書けばいいんでしたっけ?
(玉椿)「何日目かのほうを書いてくれ。まあ何番相撲かってのも報告漏れのチェックには使えるから完全に無駄にはならんけど、それだけあっても記録がつけられないんだよ」
【勝敗】
(玉椿) 「勝ったか負けたかも明記してくれ」
ー 勝ち負けはどうやって判定するんですか?
(玉椿) 「朝、寝床から出た瞬間にまらを確認するんだ。それでまらが勃起していれば勝ち、勃起していなければ負け、それだけだ」
― 微妙なときってありますよね。そういう場合は引き分けでいいんですか?
(玉椿) 「いちおう制度上引分けってのもなくはないんだが、基本的には勝ち負けをはっきりさせてくれ。まらずもう12年の歴史のなかで引き分け判定が認められたのは1回だけ。それくらいのレアケースだ」
― 迷った場合は協会のほうに裁定をお願いしちゃっていいですか?
(玉椿) 「いや、自分で判定してくれ。もしこっちに丸投げされたら、基本的には【負け】ってつけられると思っててくれ。まらずもうの基本は、自分の結果判定は自分でやるだからね。それすらできないんじゃ負けにされても文句はあるまい」
― ほんとに微妙なときって困るんじゃないですか。
(玉椿) 「微妙なときは負け判定にすればといいと思うよ。そのほうが正々堂々潔いやつだってんでファンの心証もいいしね」
― あと、まらって大きくなったり小さくなったりするじゃないですか? どのタイミングで判定すればいいんですか?
(玉椿) 「寝床から出て一日の活動をスタートさせるときだよ」
― じゃあ目覚めたときに小さかったら布団の中で大きくなるのを待つ、って作戦が使えるんじゃないですか?
(玉椿) 「うん、ルール上は禁止されてない」
― なんか釈然としませんね。
(玉椿) 「そういう場合は、まらずもうブログで悪口を書かれる。そこまでして勝ちたいか卑怯者ってね」
― 勝ち判定は覆らない。
(玉椿) 「判定は変わらない。悪く書かれるだけだ」
― 白星をとるか、名誉をとるか、ですね。
(玉椿) 「大相撲でも、白鵬みたいに立合いにエルボーをかますとか、板井みたいにテーピングで拳をガチガチに固めて殴るとか、いろんな卑怯な勝ち方ってあるだろ。新聞やネットで悪く書かれるけど、勝敗は覆らない。そういうものだと思ってくれ」
― なるほど。
【コメント】
― 簡単なコメントってのは何を書けばいいんですか?
(玉椿) 「自由に書いてくれ」
ー 自由ってのが一番困るんですよ。
(玉椿) 「ここに力士の個性がでるからね。ああしろこうしろって細かい指示はしたくないな」
― んー? なにかコツとかはないんですか?
(玉椿) 「具体的に書くってのを心がけてもらえるといいかもね」
― 具体的?
(玉椿) 「そうだなあ。たとえばさ【けさも立派に勝っていました】より【きのう食べたカツカレーにまらが鋭く反応しました】のほうが、カツカレーって部分に具体性があるだろ」
― ほう。
(玉椿) 「で、ただカツカレーって言うよりも【赤羽のスナックで飲んだ帰りに、駅前の富士そばでカレーかつ丼を食べました】って具体的に書いたほうが、もっと話がふくらむだろ」
― なるほど。
(玉椿) 「形容詞や形容動詞だけの【立派だった】【豪快だった】【大きかった】みたいな表現だと、誰にでもあてはまりそうな表現になって、力士の個性が出にくいんだ。赤羽、富士そば、カツカレーみたいに、名詞、できれば固有名詞をたくさん使ってコメントしてもらえると、個性がアピールしやすくなるよ」
― むずかしそうですね。
(玉椿) 「忙しいとコメントが手抜きぎみになるのはしょうがないよ。でも時間に余裕があるときには、ちょっとがんばってもらえるとうれしいね」