ネスヴァードバ他 深見弾他訳
《収録作品》
【チェコスロバキア編】
ターザンの死…ヨゼフ・ネスヴァードバ
ドラゴン…ワツラフ・カイドシ
気力を失った瞬間…ヨゼフ・タルロ
移民局…カレル・チャペック
システム…カレル・チャペック
【ユーゴスラビア編】
消失…ミロスラフ・イサコーヴィチ
【東ドイツ編】
金星最後の日…カールハインツ・シュタインミュラー
【ルーマニア編】
時空への脱走…アドリアン・ロゴス
アイクサよ永遠なれ…ホリア・アラーマ
《この一文》
”人間という存在の本質は一体なんだ? われわれは、猿とどこが違うのだろう?
―――「ターザンの死」(ヨゼフ・ネスヴァードバ)より ”
”兄弟たちよ、愛する友よ、だがそこに希望がある! きみたちを標的にした不幸の銃口に直面したこのときの、思いがけない、途方もないこの反応こそ! 善良な人々よ、承知の上で自分をいつわるな! 幻影のとりこになってあざむかれ、正気を失うな、目を閉じてだまされ、化物におびえ、ごまかされるままになるな。
―――「アイクサよ永遠なれ」(ホリア・アラーマ)より ”
上巻にひきつづき、下巻も読みました。
この巻にはチャペックの作品が収められていますが、それはもちろんのこと、ほかの私の知らない作家の作品が、やはり予想以上に面白かったです。
「ターザンの死」は、ドラマチックでかなり面白かった。とくに最後の一文が非常に印象的。胸に迫るものがありました。上に引用したのはその部分ではありませんが、この作品の重要なテーマをあらわした文章です。
「システム」は、チャペックらしい薄暗いユーモアに満ちた短篇。なるほどたしかにすばらしいシステムだが…結局は……というお話。チャペックが望んでいた世界というものがあるとすれば、それはどういうものだったのだろうかということが、私はずっと気になっています。『絶対子工場』をもう一度読もうかな。
「消失」はとても興味深かったです。こういうテーマは考えても考え尽くせないようです。人類と世界の関わりはこれからどうあるべきか。というようなお話だったでしょうか。
「時空への脱走」は、しみじみとした面白さがありました。この雰囲気は、私はいままでちょっと知らない感じです。なんだこの、しみじみ感は。
「アイクサよ永遠なれ」は、ずっと読んでみたかった作品。タイトルが格好いい。しかし、読んでみると最初は思ったよりも退屈で、私は「これはもうあとで読むことにしようかな…」とくじけそうでした。ああ、でもがんばって最後まで読んでよかった。後半からは目の離せぬ面白さでした。おお、面白い。
というわけで、下巻にもとても満足しました。
これで、創元SF文庫の『ロシア・ソヴィエトSF』『東欧SF』を読んでしまったことになります。長年の懸案が解消してよかった。アンソロジーっていいですね。自分では知るきっかけさえ掴めないような作家の作品に触れることができますから。このシリーズでの一番の収穫は、『ロシア・ソヴィエト』のボグダーノフでしょうか。「技師メンニ」は凄かったんです。
さて、次はなにを読もう。
《収録作品》
【チェコスロバキア編】
ターザンの死…ヨゼフ・ネスヴァードバ
ドラゴン…ワツラフ・カイドシ
気力を失った瞬間…ヨゼフ・タルロ
移民局…カレル・チャペック
システム…カレル・チャペック
【ユーゴスラビア編】
消失…ミロスラフ・イサコーヴィチ
【東ドイツ編】
金星最後の日…カールハインツ・シュタインミュラー
【ルーマニア編】
時空への脱走…アドリアン・ロゴス
アイクサよ永遠なれ…ホリア・アラーマ
《この一文》
”人間という存在の本質は一体なんだ? われわれは、猿とどこが違うのだろう?
―――「ターザンの死」(ヨゼフ・ネスヴァードバ)より ”
”兄弟たちよ、愛する友よ、だがそこに希望がある! きみたちを標的にした不幸の銃口に直面したこのときの、思いがけない、途方もないこの反応こそ! 善良な人々よ、承知の上で自分をいつわるな! 幻影のとりこになってあざむかれ、正気を失うな、目を閉じてだまされ、化物におびえ、ごまかされるままになるな。
―――「アイクサよ永遠なれ」(ホリア・アラーマ)より ”
上巻にひきつづき、下巻も読みました。
この巻にはチャペックの作品が収められていますが、それはもちろんのこと、ほかの私の知らない作家の作品が、やはり予想以上に面白かったです。
「ターザンの死」は、ドラマチックでかなり面白かった。とくに最後の一文が非常に印象的。胸に迫るものがありました。上に引用したのはその部分ではありませんが、この作品の重要なテーマをあらわした文章です。
「システム」は、チャペックらしい薄暗いユーモアに満ちた短篇。なるほどたしかにすばらしいシステムだが…結局は……というお話。チャペックが望んでいた世界というものがあるとすれば、それはどういうものだったのだろうかということが、私はずっと気になっています。『絶対子工場』をもう一度読もうかな。
「消失」はとても興味深かったです。こういうテーマは考えても考え尽くせないようです。人類と世界の関わりはこれからどうあるべきか。というようなお話だったでしょうか。
「時空への脱走」は、しみじみとした面白さがありました。この雰囲気は、私はいままでちょっと知らない感じです。なんだこの、しみじみ感は。
「アイクサよ永遠なれ」は、ずっと読んでみたかった作品。タイトルが格好いい。しかし、読んでみると最初は思ったよりも退屈で、私は「これはもうあとで読むことにしようかな…」とくじけそうでした。ああ、でもがんばって最後まで読んでよかった。後半からは目の離せぬ面白さでした。おお、面白い。
というわけで、下巻にもとても満足しました。
これで、創元SF文庫の『ロシア・ソヴィエトSF』『東欧SF』を読んでしまったことになります。長年の懸案が解消してよかった。アンソロジーっていいですね。自分では知るきっかけさえ掴めないような作家の作品に触れることができますから。このシリーズでの一番の収穫は、『ロシア・ソヴィエト』のボグダーノフでしょうか。「技師メンニ」は凄かったんです。
さて、次はなにを読もう。
「消失」のテーマは、エリアーデの一連の作品に似ているように感じました。抑圧体制からの脱出願望なのでしょうか。
この傑作集はとても面白かったし気に入っているのですが、読んでから5年が経過して、私はその内容をすっかり忘れ去っていました・・・!(^_^;)ああ、ぼんやりとしか思い出せない;
「消失」も「アイクサよ永遠なれ」もかなり興味深かったはずなんですけどね(当時の感想によると)。近いうちにちょっと見直してみることにします(^_^;)