半透明記録

もやもや日記

『ムーミン谷の冬』

2005年11月16日 | 読書日記ー北欧
トーベ・ヤンソン=作・絵 山室 静=訳(ムーミン童話全集5 講談社)


《あらすじ》

ムーミン谷のみんなが冬眠中の静かな冬、しかしひとりムーミントロールは目をさましてしまい、だれも知らない冬の世界へ……。


《この一文》

”「わたし、北風の国のオーロラ(北極光)のことを考えてたのよ。あれがほんとにあるのか、あるように見えるだけなのか、あんた知ってる?
 ものごとってものは、みんな、とてもあいまいなものよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけれどもね。」
 おしゃまさんはそういうと、また雪の中にひっくりかえって、空を見あげました。  ”



まだ暑かった頃に『ムーミン谷の夏まつり』を読みましたが、そろそろ寒くなってきたので、『ムーミン谷の冬』を読むことにしました。真冬から春になるまでの物語です。冬の暗さとか寒さとか静けさを思い出しました。私は寒いのは苦手ですが、冬(特に雪の日)にひとりでいるのは好きです。春でも秋でもひとりでいるのが好きなのですけれども。(ちなみに夏にはいなくなりたいです)

倉庫いっぱいのジャムを食べたり、氷の下にもぐって魚釣りをする冬のムーミン谷の住人たちは控えめで内気な性格の人々でした。ムーミントロールはひとり目をさましてしまいましたが、何故かミイも起き出します。ミイはムーミンママの大切にしている銀のおぼんに乗ってソリ遊びをしたり、卵を入れるための布カバーに穴を開けて頭から被ったりします。雪の上を滑ったりしたら、おぼんに傷が付くのではなかろうかと思わずハラハラしましたが(カバーの方はぼろぼろになった末、火にくべられてしまいました)、ものを大事に大事に扱うのも素敵なことですが、もっと別の用途を新しく考えたり、そのために加工したり、結果として壊れてしまったとしても、それはそれでまた良いのかもしれないとも思いました。私にも大事にしまってあるものは色々とありますが、ある日それらがなくなったとしても意外と大丈夫なんだろうなあ。

嫌われ者のヘムレンさん(冬でも川で泳ぐマッチョ系)が小さな犬の「めそめそ」をそれとなくおおかみの群から助ける場面があったりして、今回もやっぱりムーミン谷の人々は最終的にはそれぞれに合った場所を見つけるのでした。あ、モランは別として。可哀想なモラン。いつも凍えているので暖まりたい。女性である(おばあさん)らしいことに驚きました。

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