海の色は緑でもいい。緑が好きだ
K氏に聞いてみた。
N:君がこれまでにもっとも《凄え!》と思った本って、何?
K:え? そんなことをいきなり言われても……。
だいたい、「もっとも」と言ったって、ストーリーが凄いとか
テーマが凄いとか、文体が凄いとか色々あるわけで…。
N:そこをなんとか。
総合的に判断してよ。
K:……………。
……………‥。
……『山椒魚』(井伏鱒二)かな。
N:エエーーーッ!!
ということがありました。いやー、驚いた。まさか『山椒魚』でくるとは。意外な男だ。そういうところが、まさに彼の愛すべきところなのですが、しかし驚いた。まあ、たしかに『山椒魚』は凄いですね。若き井伏先生には、なにか神的なものが降りていたとしか考えられないような、信じかたい傑作ですからね。
でも、私はてっきりストルガツキイとかなにかSF的な作品が挙げられると予想していたのに、見事に裏切られました。ちなみに彼は、次点には『RUR』(カレル・チャペック)を挙げていました。それはそれで微妙に意外……。K氏という人物は、あなどれないわ。
K:じゃあ、君の一番は?
N:え? いきなりそんなこと聞かれても…
………たくさんありすぎて、選べないよ。
K:なにそれ!
俺だって、選べない中から選んだのに!
というわけで、じっくり考えた末に私の出した結論は以下。
N:ラーゲルクヴィストの一連の作品、特に『バラバ』…かな。
私の本に対する態度を決定的に変えた、というその一点において
あの作品はほかのものよりもやや特別であるから。
でもね、ほかにもたくさんあるんですよ!
えーと、あれも凄かったし、これも凄かったし、それから~~
K:……………(すでに聞いてない)。
こんな感じで、2007年夏時点での《もっとも凄かった本》を選んでみました。
とは言え、こういうのはその時々で、いくらでも変わっていきそうです。
ですが、昨日はなんとなく選んでみたい気分だったのでした。
ntmymさん推薦の「バラバ」、古本で注文しましたよ!
楽しみです。
私もそれはぜひとも読みたいと思ってるんですが、けっこう長い……上下巻ですよね? 私は情けないことに分量のある小説にはなかなか手が出せなくて; 秋になって集中力が復活したら、いろいろ読みたいなあ。「百年の孤独」とかも(いいかげんに読まなきゃ今年も終ワル………!)
「バラバ」は短いですよ!
だけど凄いんです。不思議なことに、なぜかベックリンの「死の島」のイメージに近いです(私のなかでは)。おお! 「死の島」でつながりましたね。