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もやもや日記

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『岸辺の唄』

2011年10月20日 | 読書日記ー漫画

今市子(ホーム社漫画文庫)



《あらすじ》
「あとふた月もすれば、人は全て息絶えるでしょう」
水のない町に下された哀しい予言。皆を救うには水乞いの儀式を行わなければならない…。こうしてエンとスリジャの旅がはじまった。今、はるかな翠湖を目指して――。





今市子さんの連作短篇集。kajiさんからお借りしました(^_^)
こちらの作品はホラーな『百鬼夜行抄』とは違って、ファンタジーでしたね。面白かったです!


舞台は大陸風のどこかで、時代は分かりません。人間は、鬼人と呼ばれる存在とともに町に暮らしています。鬼人は人間を襲うこともあれば、また人間と区別のつかない外見をして人間として暮らしている者もある。お告げや呪術がそれなりに力を持っている世界。

6つの物語が収録されていましたが、それぞれが少しずつ繋がっていて、登場人物や世界観がきっちりと設定されているのが感じられます。幻想的で物悲しく、味わいのあるお話ばかり。


私が最も気に入ったのは、「西から来た箱」。

いつも水不足に苦しんでいる山奥の小さな村、南方から買われてやってきた少女キナはそこで逞しく成長し、牛飼いとなる。ある時、大きくて重い、真っ黒な箱を翠湖まで運ぶという依頼を受けるのだが、「中を見てはいけない」と言われていた箱の中身をうっかり見てしまい……というお話。

これは特に面白かった!
長い道のりを箱を運んでいく途中、黒い箱の中に、キナの夢が流れ込んで…というところなどは、とてもロマンチックです。美しい物語です。夢のお話は素敵ですね。



こういう漫画を読むのは久しぶりだったので、ちょっと新鮮でした。たまにはファンタジーもいいな。


今市子さんの漫画は、『百鬼夜行抄』の文庫版を6巻まで読んだところでしたが、続きの7巻から単行本の19巻までも読んだので、それについてはまた後日!