インプラントの治療回数が少なくて済む、と言う期待を持たせる説明をするHPやブログがあります。
たしかに、元々お口の清掃に熱心で綺麗にしている患者さんなら、たまにはそう言うこともあるのかも知れません。
しかし、ほとんどの場合、歯を失う方は、残念な生活習慣から来ていますから、そこを改善しなければ、この写真のようにインプラントも周囲炎、歯周炎になって失うことになるのです。
インプラントの利点は、決して虫歯にならないこと、そして歯を失った部位に歯が入ること、これだけです。
歯を失う最大の理由である歯周炎に関しては、インプラントは天然歯よりも脆弱であろう、と言われています。
だから、今日の写真のような事例が起きるのです。
そして、歯周炎の治療は簡単には済みません。
日常生活習慣を改善すること、が求められますから、かなりの長期戦をしなければならないのです。
それこそが、インプラントの長期安定の鍵になるのです。
即時荷重インプラントの時代の風潮のためか、余計に簡単に治る、と思わせるモノが目に付くので、とても心配になるのです。
インプラント治療を受けたら、以前よりも更に歯周炎予防に頑張らなければならない、が本当のことです。
インプラント治療を理想の治療であるかのように思い込ませ、自院に誘導するような姿勢は感心しません。
私自身も即時荷重インプラントを2000年からして来た者でパイオニアの一人ですから、自らを律してインプラント治療に当たらねば、と思います。
あくまでもインプラントは天然歯の代替え品です。
本当は自分の歯を生涯守れるのが一番良いことです。
どうしても失ってしまった場合、他の歯に負担を掛けず歯を入れられるインプラントの最大の利点を活かして、そこから先は歯を失わないように生活改善を頑張る、が正しいのです。
インプラントは、それまで入れ歯しかなかった治療方法に圧倒的に勝る方法として登場したモノでしかないのです。
天然歯のようだ、とか、歯が戻って来た、と喜ばれる方もいるでしょうが、まあ入れ歯に比べれば良いかな、程度になることもあるんです。
失望をさせてしまったら、ごめんなさい。
でも、インプラントの限界も知って欲しいのです。
余りにも無責任に安易な情報を振り撒く風潮は、時間と共に改められるでしょう。
しかし、今はなお混沌の時期なのです。
良いこと、残念なこと、両方を知って、最大限に能力を引き出して使って欲しい。
それが私の願いです。
インプラント治療で人生が変わった、ととても喜ばれる患者さんもたくさんたくさんいます。
私も開業して20年以上、インプラント治療を手掛けて25年以上になりますから、心から喜んでくれた方が有り難いことにたくさんいます。
しかし、残念な情報を安易に振り撒く所もあり、それが頭が痛いところなのです。
良いインプラント治療が広まり、幸せな患者さんが増えることを心から願い、このブログを終わります。