患者さんは当たり前ですが、インプラントを入れたら昔のような歯が戻り、気持ち良く噛める、と信じています。
そして、そう信じているからAll-on-4やザイゴマインプラントなどの骨に入れ歯を固定すれば良い、しかも直ぐに歯が入り噛めると信じて治療を受けてしまいます。
しかし、お口の機能、食べる、話す、飲み込む、息を吐くなどの機能は、固定の歯があれば全て解決する訳ではないのです。
その大きな理由は、舌にあります。
全くそのことを患者さんは意識されないでしょうが、舌はとても大事なモノなんです。
舌に口内炎が出来たら、とても不自由なのは誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。
間違えて舌を噛んだりして傷付けたら、とても不自由なのも経験があるかも知れません。
そして、実はAll-on-4やザイゴマインプラントの治し方をしたら、元々の歯のあった位置よりもずっと内側に歯が出来てしまい、舌がぶつかって気持ち悪くて仕方ない、と言う思いをされてる方は多いのです。
お口の機能を考える時、舌は忘れてはならない大事なものなのに、All-on-4やザイゴマインプラントでは、そのことを軽視している、としか私には言いようがありません。
その大きな理由に、治すDRが総義歯治療に長けてないことが多いある、と私は個人的責任で明言します。
元々総義歯とか義歯治療が苦手で、だからインプラントを手掛けた、と言うDRが殆どですから、そうなることは必然である、と言えるでしょう。
この写真は、私が手掛けた総義歯治療の成果です。
生意気を書きますが、総義歯専門の臨床家の中でもここまでの適合を毎回実現する方はそうはいません。
私は世の中でインプラントの専門家と知られていますが、元々は総義歯です。
それも相当な凄腕の一人です。
だから、総義歯で歯が何処にあるべきなのか?を身体で修得しています。
この眼から見たら、All-on-4やザイゴマインプラントの人工歯列はとても違和感があります。
患者さん方に分かりやすく書くと、歯を抜かれた顎堤は内側に痩せますよね。
女性の方は顔の膨らみまで減った、と嘆く方もとても多いです。
ところがAll-on-4やザイゴマインプラントの治し方では、その凹んだ顎堤を元にして真ん中に建てるようにしてしまうんです。
凹んだ顎堤を元にしますから、歯列は内側になる、と言うことです。
その感覚を、彼らは分からない。
凹んだ顎堤の真ん中で丁度良い、と彼らには見えてるんです。
それでも固定された歯ができれば気にしない、と言う方は良いかも知れません。
しかし、私は舌を気にしますから、舌が窮屈だろうな、と明言します。
日本人は、欧米人に比べて平面的な顔です。
膨らみが減るのが気になる方が多い、と私は思います。
そして、日本人は欧米人よりも舌も平べったいだらんとした形をしてる、と私は思っています。
それは、日本語は全く子音を使わない言語だから、だと良く考えたりしてます。
子音は、唇、舌を使い発音するので、欧米人は舌の筋肉が発達してて、引き締まってる、と考えています。
そこも大きな違いです。
つまり、日本人の方が、歯列が狭ければ狭いほど気になるだろう、と危惧してます。
こう言う考察も、総義歯屋だからこそできるモノです。
欧米の治し方を有り難く真似するばかりのやり方では、日本人には通用しない、と思っています。
日本人には、日本人の治し方、即時荷重インプラントの治し方がある、と言うことです。
お口の中に入って気持ちの良い歯列は、その患者さんごとに決まっている。
それは、総義歯を上手く作れれば分かる。
そして、その歯列を支えるためにインプラントを残った顎堤と相談しながら治す、が正しいのです。
単純に言うと、理想的に作られた総義歯の形、大きさからはみ出た人工的歯列を作ってはならない、と言うことです。
そう言うAll-on-4、ザイゴマインプラント治療の何と多いことか、と私は心から嘆いています。
インプラントは埋めてしまったら、動かすことは相当に難しいですから、舌が邪魔だなと感じたら、それが残りの人生ずーっと続くんです。
中には心を病む方も出ます。
恐ろしい事態ですよね。
DRは慣れると言うでしょうが、それは分かりません。
そんな恐い可能性がある治療法だから、私は勧めないのです。
個人的な予測ですが、近い未来、All-on-4、ザイゴマインプラント治療を推進したノーベル社、開発者であるドクター.マロ、そしてそれを行なって来た臨床家は、責任を問われる事態が来る、と思っています。
さて、私の未来予測、当たりますか?外れますか?真摯に動きを見つめて行きたい、と思います。