大森インプラントクリニック松元教貢歯科医院腫れ痛みなく早く、骨不足でも骨ができて直ぐに歯が入る幸せのブログ

松元教貢歯科医院は骨が不足で骨造りしても腫れ痛みのとても少なく早く治せる方法をしてる即時荷重インプラントパイオニアです。

インプラント臨床医が考えるエンドドンティクス根管治療、最後まで歯を大事にする臨床④

2007年09月29日 | Weblog
インプラント治療をするのは、残っている天然歯を出来るだけ温存する為です。
その為にはどうしたら良いかについて、お話します。
昨日はかつて大流行したバーティカル治療が、現在根破折の誘引と成ってしまっていて、今それが結局インプラントに成っている現状の問題をお話しました。

根管治療の結果が根破折に繋がる事は、歯を生涯使う事を考えた時に非常に大きな問題点です。
結論から申し上げれば、それらを避ける為には、簡単に言うと根管を大きく削らない事、そして金属による支台を避ける事が、ポイントと成ります。

元々歯の中には歯髄と言う神経が入っています。
要するに、中にドームのように空洞があると言う事です。
虫歯に侵されると、そこが侵され痛んでしまい、結果的に歯髄を取り、歯を残す事をします。
この削り取り方が、大きな問題である事をお話したのが昨日の内容であり、バーティカル治療批判です。

では、どうすれば良いのか、ですが現状では可及的に根管形態を変えない事、最小限の削る量で治療する事、又、金属の支台ではなく合成樹脂によるファイバーポストによる支台を用いる事が、推奨されています。

この最小限にしか削らない根管形成に有効なのがニッケルチタンファイルです。
このファイルは、根管に沿って削合して行きますので、かつてのバーティカルのようにストレートアクセスを目指して削る量が増える削り方をしなくて済みます。
最小限の削りで根管拡大をして治療する事が、当然歯質を厚く保つ事になり、歯を保存するのに有効に成ります。

出来るだけ細く削合して根管治療をしたら、そこに薬を詰めるのも工夫が必要かというと、そうでもありません。
バーティカルが物凄く流行った以前から用いられている、マスターポイントを用いるラテラル治療で良いのです。
これは規格がキチンと決まっている業者の正確なものを使用してあげれば、形成したニッケルチタンファイル通りにそのまま入ります。

シーラーと言うセメントを練って根管にマスターポイントと不足分をアクセサリーポイントで詰めれば良いのですから、逆に先祖帰りした方法ですが、今は非常に良い材料が有りますので、やり易くなっています。

その上で支台築造と言う治療をして歯を補強してあげるのですが、かつては金属しかありませんでした。
それが今は合成樹脂の非常に良いものが沢山出ており、これは歯を構成する象牙質と類似した強度である為、歯に負担を掛けないと言われています。
なのでこれで築造と言って歯の中に空けた穴を埋め、その上から被せたり、穴を非常に小さく出来た場合で前歯とかの力の掛からない歯なら、穴をレジンと言う樹脂で埋めれば終わりです。

この根の治療が、非常に歯を残せる為には大切です。
インプラントをして治したのは良いのですが、周囲とか噛み合う歯がどんどん駄目に成って行ったら、何をしているのかになると思います。
これは正直、自分自身の反省でも有ります。
かつての治療の負の部分の償いを今しているのは、心あるインプラントDR達は感じている筈です。

インプラント治療と言うとインプラントばかりに目が行って、しかも患者さんはそう言う治療しているDRは進んでいるから,ふつうの治療も上手いのであろうと期待しています。
では、その期待に応えられているかどうかですが、私は期待が裏切られかねない現状に警鐘を鳴らします。

では次回、根管治療で最も軽視されて、失敗している原因と成っている事についてお話しましょう。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/
何度も公言しているが、有志にはオペ見を幾らでもして頂いている。
是非お越し頂きたい。
全ては患者さんの為、1発全治をお見せしよう。

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インプラント臨床医が考えるエンドドンティクス根管治療、最後まで歯を大事にする臨床③

2007年09月28日 | Weblog
具体的な根管治療のお話を今日こそしよう。

私が卒業した1987年当時、根管治療はある治療法が天下を取っていました。
それがバーティカル、今でも残っている代表例はオピアンです。
これが根管治療に与えて影響は凄いものがありました。
今でもオピアン始めバーティカルをしているDRが相当数いらっしゃる事と思います。

しかし、根管治療の本分は歯根が病巣も何も発生させず残せる事であり、バーティカルでなければいけないと言うのは偏狭な考え方だと、私は考えています。
極論ですが、根管に詰める物は何でも良いから、腐敗しないキチンと封鎖してくれるものであれば良い、と考えています。

かつてバーティカルを主張される方々は、バーティカルにあらずば根管治療にあらず位の勢いでした。
それは、レントゲン上で根管の隅々にまでクスリが入っている事が、確認出来たからです。

根の先に病巣が出来ていたのが時間経過と供に、見事に治ってしまうのを見せ付けられれば、誰でもその凄さに心酔してしまい、憧れました。
これを修得すれば、根が救える力が手に入ると、興奮したものです。
逆に言えば、その当時の日本の根管治療はそれくらい低レベルでもあった、と言う事です。

しかし、今我々はその欠点に直面しています。
それは何かと言うと、根が割れてしまう事です。

神経のない歯は脆くなっています。
それを長持ちさせるには、出来るだけ歯質を削らず温存する事が重要です。
歯質に厚みがある事が、とても重要なのです。

所が、バーティカルはその術式上の欠点で歯質を削り過ぎるのです。
バーティカルにクスリを詰める為には、出来る限り真直ぐに削るしかありません。
その為に、削り過ぎてしまうのです。
そうなると根管が太くなり、歯質は薄くなり、時間経過の中で咬合力が加わると割れてしまうのです。

こうなるともう歯は救えません。
抜歯するしかないのです。
そして、それが今ではインプラントの誘導に成ってしまっているのです。

由々しき問題だと、私は考えます。

かつての反省に基づく今の根管治療は、出来る限り歯質を削らない治療方法が最も良い、かつて蔑まれてさえいたラテラル治療が復権したのです。
この事は相当に強調しておかないと、かつてのバーティカルの勢力が物凄かった為、今でも間違えられています。

インプラントと絡めて、歯を大切に残し長く持たせる為には、根管治療は非常に重要です。
ここでいきなりバーティカルでは、そのDRは説明している事と実態が伴っていない、と私は断言します。

さてでは、又明日更に詳しい話を書きましょう。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/
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全ては患者さんの為、1発全治をお見せしよう。

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インプラント臨床医が考えるエンドドンティクス根管治療、最後まで歯を大事にする臨床②

2007年09月27日 | Weblog
それでは、具体的な根管治療の話をしよう。
歯を残そうと頑張る時に、根管治療いわゆる根、神経の治療は、非常に重要なウエイトを占める。
ここがいい加減だと、根を支えている骨や歯肉が問題を起こし、炎症、病巣を作る事になり祭主的には抜歯する羽目になる。

ここでは大きな問題点をまず指摘しよう。
昨日も書いたが、保険の点数が異常に低く不採算部門の際たるものとなっている事である。
一般的に保険診療は歯に被せたり、詰め物をしたりする分野で何とか点数を稼ぐ事が出来る様に成っている。
この方式は、保険診療が始まった昭和36年当時から、基本的なコンセプトが全く変化していない。

はっきり言って、これは異常である。
医療の業界のシステムが予防方面に変化して来ているのに、それに全く対応していない、それどころか逆行していると言っても差し支えないと、私は断言出来る。
にも拘らず、いまだに保険のシステムは補綴的な治療で点数が挙がる、稼ぐしかないシステムのままなのである。

そうなるとどう言う事が起きるかと言うと、歯科医は結果を求める為に根管治療や歯周病治療をさっさと済まして早く詰めたり、被せたりしようとしかねないのである。
これは人情として、非常に納得出来る。
開業医は物凄く大変だからだ。

傍から見ていると、歯科医は金持ちに見えるようだが、それは実情とは異なる。
80%以上の開業医が恐らく頑張って何とか維持していると言うのが、実態であろう。
しかも、最近は説明義務を課す事で、実際に手を動かさないと点数を上げられないシステムなのに、説明は全くの0点な為、真面目な歯科医ほど苦労が嵩んでしまっている。
はっきり言うが、説明にも点数加算をすべきである。
そうしないと、歯科医は真綿で首を絞められているのと同じで、苦しくなってばかりであろう。

今のシステムは何かを歯に被せたり詰めたりしないと稼げない。
これが、根管治療や歯周病治療で拙速な成果を挙げる事に繋がり、結果的には歯を駄目にしてしまう事を、保険者は知るべきと信じる。
逆に言うと、根管治療とか歯周病治療を頑張ってしてくれる歯科医には、間違いがないだろうと言う事にもなろう。

ここに大きな問題が又存在している。
最近の若いDR達は、残念ながら根管治療や義歯治療等の地味な地道な努力の必要な分野を嫌って、学ぼうとしていない傾向が出始めているのである。
そのくせ派手で格好良く見える歯周病外科治療とか、再生治療とか、インプラントとかばかりに人気が集中して、危険な事極まりないと私は感じている。
これも異常事態であろう。

何度も繰り返すがインプラント治療は総合治療である。
炎症と力のコントロールが出来ない人間が立ち入るべき分野ではない。
故筒井先生が強調されていた事を、決して忘れないで欲しい。

具体的な根管治療の話に中々進めなくて、申し訳なく感じる。
一応、今まで書き込んで来た事は、知識として知って置いて損はないので、お許し願いたい。
明日から、キチンと書く予定である。

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インプラント臨床医が考えるエンドドンティクス根管治療、最後まで歯を大事にする臨床①

2007年09月26日 | Weblog
昨日まで書いてきた内容で、私が如何に一般臨床に置いても、一所懸命であるか、歯を残す事、患者さんの人生を安寧なものにする為に日々研鑽を積んできたか、その一端をお見せ出来たと思う。
卒業して20年以上、馬鹿だと言う自覚がある為に、患者さんに迷惑を掛けられない、腕を挙げなければ成らないと必死だった。
その結果、塵も積もれば山と成る、万里の道も一歩からの例えの如く、導いて下さる師に恵まれ、何時の間にかここにまで来てしまった。
振り返ると、随分遠くに来てしまったなー、と感慨深いものがある。
私のような者でもここまで来れたのだから、普通に能力のあるDRなら、改心して努力するなら必ず来れると信じている。
だから、努力しない者を私は嫌う。
それは専門家だけでなく、素人である患者さんも同じである。

今日から、又インプラント関係の話をしようと思うが、その基本と成る歯を残す為の根管治療、所謂、根の治療について話して行く。
根管治療に続いて、歯周病の話を続けてする。
暫くはこうして一般歯科治療の根本レベルでのインプラント絡みで話をして行く。

虫歯が進行して歯髄まで進み、痛くてどうしようもなくなると、抜髄して歯を残す事を歯科医は良くしている。
所謂神経を取ると言う治療の事である。
これの治療レベルが、保険診療の不採算性と伴って実に酷い状況が現出している。

つまり、根管治療が下手なDR達が、まともな治療も出来ずに下手な治療をして、数年で駄目にしてインプラントを勧めていると言う懸念が現実化しだしていると言う事なのです。
これは大変な由々しき事態と言えるでしょう。

何故か分かりますか?
早く直ぐ治してくれるDRが本物かどうか、判別し辛いからです。
患者さん達は、早く直ぐに治してくれるDR好みます。
しかし、根の治療は時に時間が掛かる事も多いからです。

特に何処の誰かが触って、根が膿んでしまっている治療等は、困難を極める事も多いのです。
とても、早く直ぐになんて治せない事も多いと言う事です。

所が、口の上手いDRは応急処置しかせず、暫くして又悪くなった時に、やっぱり駄目ですね、インプラントにしませんか?に成りかねないのです。
なまじ愛想が良く口が上手いDRは、危険な事もあると言う事です。

勿論殆どのDRが真面目できちんとしている筈です。
それなりにレベルの差があるにしてもです。
しかし、中には根の治療は1回15分、終了まで3回なんて決めている医院もあります。

キチンと治って来ているかどうか、根の治療は結果が出るまでに時間が掛かります。
歯科治療は全般的にそう言う傾向が強いものですから、DRの良し悪しは判別し辛いものなんです。
特に根の治療は、DRの良心が出る分野です。
ここでチャンとしているDRは間違いがないでしょう。

それでは明日から、根管治療の更に詳しい話を書きましょう。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/
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インプラント臨床と総義歯の接点⑨

2007年09月25日 | Weblog
蛇足的に成るが、いよいよ最終回である。
これで、総義歯と言うものが、いかにインプラントにも重要か、ご同意頂ければ幸いである。

メインテナンスに関しては、ここまで読んで来て各ステップをきちんと踏まえて来たDRなら、自分で発想し解決出来ると信じている。1つだけ余談として指摘したいのは総義歯は患者の体調で適合に問題を起こすものだという事である。これも類書で説明されていないようなので、述べておこう。

まず体重が安定してないといけない。500g痩せたり太ったりするだけで問題を起こす事がある。また、風邪を引いたりして発熱すればやはり問題を起こす。この様な時はあわてず、患者に体調の変化が影響しているだけです、と説明し体を治す方に専念させそれから調整し直せば良い。無理に義歯を使用させず、休ませる事も必要かもしれない。上手く行けば1週間もすれば何もいじらずに済んでしまう事も多い。

総義歯は粘膜上に乗っかっているものである。当然水分の変化の影響はさけられない。とても大切な視点なので忘れないで欲しい。人体は機械ではない。機械でさえ水分の影響を受ける。生体の70%は水分なのだから影響するのは当り前だ。こんな基本的科学的思考が、歯科界では停止しているとしたら残念な事だ。又歯科界の人間はその世界だけの考え方に凝り固まっていて怖い。もっとサイエンス・自然科学的発想で考えて欲しい。そうすれば本物と偽物の判別が付く様になるであろう。

人類が2000年かけて導いて来たサイエンスの心は創造主=神の心を知る為に発展して来たと信じて欲しい。尊い意志に沿うものは栄え、この世を良くして行くものと信じて貰いたい。私は120%信じ切っている。そして、その導きで自分の力を遙かに超えた凄い成果を得て来た。自分の力だけではないと思い知らされる。何かが背中を押してくれ支えてくれて助けてくれたとしか思えない。私は怪しい宗教家ではない。純粋にサイエンスを信じるものだ。

だが、素晴しい成果がこの手に宿り導き出される時、尊いものへの想いが深まるのである。もっともっと真理を極めたい、その気持ちが私を何時までも前へ前へと向けてくれる。人には使命があってそれを果たす為生まれて来たのだ。私は自分の使命を果たしたい。拙文がその一つであると信じている。

さて、本当に最期にインプラントのメインテナンスである。総義歯と違い常に固定されているので、就寝時の力の逃げ場がない。従って必ずナイトガードを勧める。可及的に咬合面を薄くし均等に当るようにすれば良い。

まだ足りない点が多々あるであろう事は認める。が、これが今の私の精一杯である。どうか了承して欲しい。私の総義歯論は正統的からはかなり異質の感を拭えないであろう。だが真摯に取り組み自分なりに導き出した大切な大切な宝物の答えだ。他の好みの成書に加えて読み込んで欲しい。何かしら役立つものが得られるであろう。

かなり手厳しい指摘を遠慮なく述べて来た。インプラント・ペリオ、そして総義歯がこれからも真っ当に発展し人類の明るい未来を照らしてくれる事を心から信じ筆を置く。

将来ある若きDR達に送る言葉は、“未来は理想の夢の実現である”20世紀最高の預言者エドガー・ケイシーの言葉である。いざ新たなる水平線へ進まん。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/
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明日からは、通常のインプラントの話に戻します。

インプラント臨床と総義歯の接点⑧

2007年09月22日 | Weblog
今日の内容が佳境である。
歯科医療技術は、ハンズオンで修得すべきものなので、是非をメンター見付け、見学して手取り足取りで教わって欲しい。
私で良ければ、幾らでも協力する。
患者さんを救ってくれる同志を、心から求めているからだ。

では手技を詳細に明かそう。

両手の親指と人差し指が命である。これを歯列弓の側面に沿わせて当てて触知する、これだけである。もっと具体的に言おう。親指と人差し指を歯列弓の形位に広げる。それを口腔内に入れ義歯の人工歯の側面の咬合面近くに当てるのである。さらに残りの手指は義歯を安定させる様に挟み込むともっと良い。こうすると当然DRは両手が塞がってしまう。ここでアシスタントに全顎用の咬合紙を前からちゃんと入れてもらって、咬んでもらい触知するのである。ちなみに指先は6番辺りまで届いていれば充分である。

これを患者を座位にして、DRとアシスタントは立ってやるのである。ヘッドレストは可及的に起こすのが良い。食事時に近いのがベストである。始めは弱い力で早くタッピングしてもらい、徐じょに力を加えていく。せめて食いしばりまでの4段階位は調整して欲しい。これを触知しながらやるのである。そうするとどこが当たっていて、どう動いているのかがとても良く分かる。その動きを減らす事を考えて調整するのである。

この時の削り方であるが、バリバリ全て削りとってはいけない。強く濃いマークが出ていて、咬合紙の抜けが強い所を削る事から始め、弱い薄い所は残す。咬合紙は厚みがある方がやり易い。わたしは赤・青両面のものを用いている。これを光に透かし見れば何処が強い当りか良く見える。これをやって、全体的にバランス良く当る様にして行くのだ。

多分最初は要領が摑めず難しいはずだ。特に弱い力での早いタッピング時が1番難しい。義歯の動きはDRの指で出来るだけ封じ込めて、純粋に咬合面の当りが分かる様にすると言う概念を理解して欲しい。患者には出来るだけ咬もう咬もうと言う意識は持たさせず、ただひたすら開閉運動をやり易い所でタッピングして貰うのである。顎は引いてやらせるのが良い。

バランス良く当って来ていても、咬合音が鈍っているものは床の適合をもう一度見るべきだ。PIP等で良い。患者が何処かで不具合があって、遠慮して咬んでいるかもしれないからだ。それでも尚、音が鈍い場合TMJの問題を内包している可能性が高い。この場合は、始めから説明しておき調整が長期に渡るかもしれない旨を理解して貰い、協力を仰ぐ。落ち着くまでのフォローが重要である。

必ず、装着後翌日に又精密に調整する。調整量が多かったら、余り間を空けず来院させた方が良い。翌日の調整は装着時と同じ位重要視して欲しい。目指す状態は、適合良く安定した床でカンカンカンとリズム良い音でバランス良く咬め、咬合接触点が左右均等に小さい点で散らばっている事である。

この手技を修練を積んで是非習得して欲しい。百万の味方を得た思いがするであろう。そして、このやり方を全ての補綴物の調整に用いて欲しい。勿論インプラント上部にも同様である。

わたしが述べた①~④のポイントをこの手技で達成出来れば、目的は果たされる。

私が強調した所の本質も血肉と成って理解されるであろう。実践しかない。素晴しい事に臨床経験20年しかない私が17年以上何もいじらない難症例の総義歯患者を治しているのだ。TMJがあり顎の吸収はバランスが悪く、舌も形態が悪かった。治療用義歯で全てを解決し、その情報から最終義歯に移行した。

私は前にも言った様に、治療用義歯も通常の作り方でするのが良いと考えているが、患者が痛みが強い場合仕方がないのでT-コンデしている。厚みが重要で余り厚くし過ぎてはいけない。これを丹念にやり粘膜の治癒を待つ。ひどい入歯をしていた場合傷付いている事も多いからである。その場合はまず粘膜から治すのが正しい。入れられなければ始まらないからである。

ちなみに総義歯になるとTMJは有り得ないと言う暴論が、かつて存在したが完全に嘘だ。これは理論でそうなる筈だと言う思い込みで、物事を診るのに危険極まりない考え方である。常に現実に起きている事から考え抜く習慣を身に付けるべきである。我々の発想は100%ではないからである。我々の考えの到らない点を教えてくれる意味でトラブルは、本当に有難い師である。真摯に受け止め考察するのが良いであろう。

従って、ここまで述べてきた私の自論はあくまで我流なのであるから,100%信じ切っては絶対にいけない。この事は重要なので決して忘れないで欲しい。私は自分の経験上知り自分にとって正しいと信じているものを延べて来ただけで、それがそのまま他のDRの解決に成るかどうかは完全に保証は出来ない。実際の現象こそが絶対に正しい。そこから発想すべきである。そしてもし良かったら、是非私にも教えて欲しい。私も又自分自身の未熟な所を知りたいからである。

ここまで滔々と持論を述べて来たが、この論文が若い志あるDRの一助となれば幸いである。

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インプラント臨床と総義歯の接点⑦

2007年09月21日 | Weblog
インプラントと総義歯を絡めてこう言うものを書けるのは、洋の東西を問わず私以外にはまずいまい。
それと言うもの、両方に卓越した実力を有すればこそである。

即時荷重における我が根本を始めて赤裸々に綴った、内輪のものを今回完全に最後まで乗せる。
後数回である。
では本論に行こう。

4、装着調整について

当り前だが口腔内に総義歯を入れる前に完成義歯を良く眺めて、触れてあげて欲しい。バリや鋭縁等は、最初から調整してあげておくべきだ。この辺は良い技工士に頼めば、ちゃんとしておいてくれる。これらはマナーの問題だと私は思っている。

出来てきた技工物を確認しておく事は、一般常識的に世間では当り前で、それに調整を加え生体に調和させ生命を吹き込むのがDRの仕事だ。仏師が仏像を彫り上げ、最期に瞳を描き込み生命を宿らせるのと全く同じだ。この例えは我が恩師から直接伝授された内容と言い方である。まさに生命を吹き込む、芸術品にまで高めるのはDR冥利に尽きる、我々にしか出来ない遣り甲斐のある仕事である。

必ず片顎ずつ内面・辺縁調整をし、それから咬合調整へと進んで欲しい。いきなり咬ませてはいけない。どんなに自信があっても、用心に越した事はない。上手なら殆ど調整しないで咬み合わせる所まで行くのかもしれないが、私自身出来てはいない。必ず、時間を掛けてしっかりと調整させていただいている。そして24時間後にも詳しく調整する。

使うものはシリコーン印象の適合材とPIP等のものである。押し方は5・6相当部に指を掛け、上顎ならDRは患者の背後から上方に押す、下顎ならDRは患者の前に回り人差し指で下方に押す。これが正しいやり方である。生理的な力の掛かり方と方向を考えて欲しい。又、力の掛け方の強弱のコントロールもせめて3段階は使い分けるべきである。

これで内面が良好と成ったら、咬み合わさせる。ここから物凄く重要な手技・技術を解説する。本論分の目的の大半がこの部分を書く為であったと断言して良い。しっかりと読み込み習得して欲しい。歯科医として一生の財産と成る事疑いない。意外な事にこの内容を詳細に言及している成書が殆ど見ない。余りにも当り前で説明が省かれているのか、もしくは真の奥義中の奥義であり、逆にだからこそ秘伝中の秘伝として、論文等で解説がなされていないのか?不明である。私は奥義と信じている。

私は何らかの知識を少しでも持っている事は、必ず何がしかの力に成り助けと成ってくれると信じているので、私の知る限り正しいと分かっている事は余す所なく伝えようと思う。他の成書にあるものは、そちらを見れば良い。そうではないもので、知って置いて欲しい事、臨床上の知恵を分け与えられたら存外の事である。自分の今まで全く知らなかった世界に飛び込む時は、誰でも不安で足が竦む。安住の地に何時までもいたいのである。しかし、自分の守備範囲外でも問題は起きる。仕方がないのだ。ダーウィンが言った様に、その時代に最も繁栄したものが次に繁栄するのではなく、新しい時代に適応したものが栄えるのだ。勇気を持って次の世界に進むしか道はないのだ。

インプラントは固定式補綴を可能とした事で、シンプルに咬合を回復出来うるマテリアルである事は事実である。しかし、所詮マテリアルはマテリアルでしかない。

生体では法則は同じだったのである。固定式で良い成果が得られた様に見えても、根本的問題を残せば、必ずトラブルが発生する。怖い予言だが、後10年位で大きなインプラントバッシングが現在やっている治療の結果として巻き起こるのではないかと危惧している。だからこそ、今緊急提言としてこの論文を記しているのである。どうか私の予言が当たらないで欲しい。早くて3年遅くて10年、要注意である。

私は自分の切実な願いが世界中の患者やDRを救う力と成ってくれる事を祈っている。嘘偽りのない本心である。前振りは止めて本論を述べよう。

咬合調整は最重要である。マテリアルに歪みなく力を分散させ伝える。総義歯において有効な手技がインプラント補綴が大規模になれば成る程、非常に効果を発揮する。まず、1番最初に述べた様に①咬合紙の方を見る事。特に抜け具合を重視する事。②触知・触診で診る事。③咬合音が金属音の様に高く澄んでいる事である。そして、④全体的に微小円の接触点が均等に分布する事。以上の4点を達成する事に尽きる。実にシンプルであるが、これが本当に難しい。理由はまず床が痛みも何も無く快適に安定し、しかも殆ど動かず接着し、さらに咬んでも全く痛くなくてはいけない。そして咬んだ時バランス良く噛めている事、排列位置や床の立体的形態も調和していて快適でなければならない。これらのどれか1つでも違和感があれば、まず達成出来ない。

総義歯において以上の全てで合格点を出すのは至難の技だ。いくら時間だけかけても不可能で、技量のレベルを水準まで上げる他、道はないのである。だから総義歯は難しいのである。余談になるが、時間さえ掛ければ上手になるものは易しい。センスというものが要求されるものは厳しい。総義歯はそこら辺に難しさがあるかも知れない。才能を絶対的に必要とする所が最後にあるかもしれない。ここを突破するのは良き師匠の存在しかあるまい。出会いが運命たる所以だ。1人で悟れる天才は10年に1人しかいないからだ。私も周囲から天才肌に見られるが断じて違う。厳しい師匠と血の滲む様な修練の賜物である。師匠からの生涯を賭けた贈り物を賜ったのだ。

嘘だと思うなら、真剣に5年往診で入歯ばかりを必死でやって見て欲しい。そうすれば必ず開眼する。この場合良き師とは沢山の患者である。決して逃げ出さず、真正面から解決する様努力すれば必ず開眼する。約束出来る。ちなみに私は8年やった。

その経験上、自分は鈍くさいタイプと分かった。とにかく逃げずに取り組む事、真剣に勉強する事。インプラントばかりやり、義歯は苦手、嫌い等は我儘そのものでしかない。患者の事を真剣に考えているのか、と言いたい。特にこれから、即時荷重が激増するであろうが、トラブルが平行して、いやそれ以上の勢いで増える事が心配だ。私は即時荷重を通法と変わらぬ成功率を誇るが、それは総義歯の実力による裏打ちがあるからだと認識している。全て咬合調整の精緻に渡るメインテナンスがもたらしてくれているものだ。繰り返しになるが明言しておく、咬合調整が出来るのは歯科医だけである。これが最大の特徴・売りである事を決して忘れてはならない。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/
何度も公言しているが、有志にはオペ見を幾らでもして頂いている。
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全ては患者さんの為、1発全治をお見せしよう。

PS,単なる嫌がらせににしか見えない下品なコメント、トラックバックを入れるのは止めなさい。
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インプラント臨床と総義歯の接点⑥

2007年09月20日 | Weblog
相変わらず無礼なトラックバックを勝手にする輩がいる。
勝手にトラックバックしても、私とは無関係で、そこで紹介されている所と同レベルと捉えられるのは、甚だ心外である。

私のレベルはそこまで低くない事を明言しておく。
なので勝手なトラックバックは全て削除させて頂く事を明言しておく。

では、本論に入ろう。

では、私がお勧めする印象法を言及しないと卑怯の謗りを免れないと思うので述べておく。私のお勧めは矢崎式咬座印象である。本当に良く考えられていると感じ入ってしまうのは、金属床にする時は先にフレーム完成してしまい仮床排列咬座印象時に既に入れてあるのである。おそらく矢崎正方先生はマテリアルの差による咬合力の掛かり方の差を見抜いておられたに違いない。凄い方だ。存命中に教えを乞いたかった。

咬座印象は出来るだけ完成義歯に近いマテリアルで行うのが正しい。つまり換言すれば全力をかけて1回義歯を完成してしまい、バリバリに調整して咬める様にしてシリコーン印象材で一層リベース印象してDTに内面をレジンで置き換えれば良いのだ。普通のDRが開眼するのに一番確実で早い方法だ。ただしそれでも技工上の精度や生体側の問題で調整は必須である。これだけやっても私には無調整義歯は出来ない。私レベルでは無調整は遙かな目標である。いつかは無口蓋義歯とともに到達してみたい。

印象については以上が私が注意を払って欲しいのに他で殆ど述べられていない事である。とにかく完璧に骨体を写し取る事。方法はそれぞれのDRの好みで良い。私は矢崎信者で咬座印象を採用しているだけだ。

3、咬合採得について

 1と2のステップをちゃんと習得しここまで来れたなら、いよいよ顎位設定である。ここには科学的答はない。患者の快適な位置が良い位置なのだ。高いより低い方が受け容れられ易い。これは肝に銘じて欲しい。総義歯に目覚めて熱心に成ったDRは、必ずこの罠に嵌る。私もそうだった。そんな時は患者に教えて貰うのがベストだ。素直に謝り聴く事だ。

 色々の臨床基準目安は成書に譲る。私が重視しているのは嚥下である。咬合採得出来たなら、その位置で排列して貰い試適時に水を一口含ませて飲んで貰う。この時に患者に教えて貰うのである。

 これで分かると思うのだが、実は私自身はロウ提による位置決めを全く信用していない。余りにも人工的なものが口の中に入っている状態で決定してしまうからである。すなわち違和感たっぷりな状況で咬み合わせても信頼出来ないと言う事なのだ。だから人工歯排列試適時に本当の位置決めと考えている。

では高過ぎたらどうするか?下顎臼歯の人工歯を全部外してロウを盛って採り直し、又並べ直して貰って確認している。これで何とか上手く行く。最後に必ず咬座印象して終了するので、全ての誤差がこれで補正されていると信じている。私にはこれがベストと感じている。他にあるならばそれで良い。

この時にデンチャースペースすなわち補綴されるべき空間が判明する。これを咬合器上で診るなら、始めてインプラントをどう植立し、どう補綴しようかが診えて来るはずである。何本必要か?どこの植立しようか?全て分かる。真のトップダウントリートメントであろう。ただ顎提に植立出来るだけ植立するのとは、おのずから差が大きく出るのは当然であろう。

尚、排列試適については前歯から小臼歯領域にかけては審美で決める所なので、その患者の好みに大きく左右されDR側では如何ともし難い面がある。DR側でこの方が良いと分かっていても、ずれた個性的排列を望む患者にはそれに合わせる以外ない。と言ってロボットの様に完全に左右対称は全く勧めない。一目で作り物と分かるのははっきり言ってダサイ。世界的DTのゲラーも左右完全対称は笑って相手にしない。良く覚えていて欲しい。自然界に100%完全左右対称は存在しない。真理は、調和の不調和、不調和の調和である。

患者の欲する歯の並びが判明すれば、それを支えるインプラントポジションも自動的に決まる。軟組織をどこまで再生させるかも決まるであろう。やはり完璧なインプラント治療を支えるのは義歯の腕なのである。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/

もし私のこの文章がお役に立つなら、是非プリントアウトして順番通りに読んで頂きたい。
もうあと少しで、このシリーズも終わります。

インプラント臨床と総義歯の接点⑤

2007年09月19日 | Weblog
今までとは全く違う総義歯とインプラントの関連を述べた持論、如何であろうか?
下らないコメントが来ない事が、非常に嬉しい。
あの連中は一体全体何処に行ったんだろう?
こうして、本当に有益な情報が書かれている時には無視を決め込み、非常に専門的過ぎる事で謝罪を要求するあの連中。

因みに私が呼びかけた”岡田隆彦氏”と似た名前の有名DRは、最近自分の症例をブログ内で出さない、どういう事なんだろうか?
この奇妙な時期と状況の一致。

真実は匿名の中にはない。
私のようにこうして逃げも隠れもせず、有益な情報を無料で提供し続けるのが、どう言う意味があるのか考えれば分かるであろう。

このブログはかなりレベルの高い事を書いている。
敢えて言うならプロ向け、そして、相当に意識の高い患者さん向けである。
その事は何度も私は言い続けて来ている。
それを知って頂きたい。

では本論に戻ろう。

2、印象について

いきなりきつい事を指摘するが99%以上のDRが総義歯の印象を満足に採れていない。アシスタントやDH・DTに採らせるなどもっての外である。
印象1つを診れば、そのDRの腕のレベルが分かってしまう。換言すれば、1番始めの研究用模型だけで完全に腕はばれる。誰に?DT技工士にである。特に下顎の模型で1発で見抜かれ、そのDRのレベルに合わせた仕事しかしてくれない。仕方ないのだ、模型上ではフォローにも限界があるからである。

一般論であるが、DH歯科衛生士やDTは真面目で志の高い性格が多いと思う。DR側に問題が多いのである。せっかく専門教育を受け、腕を磨こうと望んで臨床に出る。とたんに眼を疑いたくなる様な事実のオンパレードに嫌気が差してしまい、その為、辞めてしまう人が後を絶たないのである。結果慢性的に人手不足に成ってしまう。余っているのはDRばかりに成る。笑い話(怖い)にしか聴こえないが、事実だ。完全に否定出来るDRは皆無であろう。まずは目覚めよDRなのである。会社と全く同様である。トップが根本から腐っていれば、会社全体が腐ってしまう。医療界を真剣に変えるにはDRを変えなければ成らない。とにかく腕を磨け、レベルを見抜く眼力を養え、本物を見出すしか道はない。いくつも道を訪ね、眼力が養われる中で漸く本物が判別出来る様に成るであろう。

余談であるが、本物は分かる。底光りするオーラを放っているからだ。私はこう理解している。何かの道を極めると脳の中に新しい回路が接続され、脳力が数段レベルアップする。そうすると脳内に流れる電流が電磁波と成って放出され、それがオーラなのであろうと。仏様やキリストの絵を見て欲しい。全て頭部に後光が差しているであろう。仏様やキリストなら普通の人でも見える位強烈なオーラを放っている。あれがあるレベルに到達出来た人にはあり、それが見る人が見れば分かるのだ。だから本物どうしは互いに言葉は交わさずとも、実力を瞬間的に認め合う、そう言うものだ。私にも有難い事に総義歯やインプラントの名人は、その眼を見れば見抜ける。まずハズさない。

さて印象であるが、ポイントを一言で述べてしまおう。閉口印象で骨体のアイロンがけした様に粘膜の皺一つない綺麗な印象を採る事、たったこれだけである。今のDTはレベルが高い。ちゃんとした模型を渡せば、それなりのトレー、咬合床を仕上げて来る。まずはDTに気合が入る様な模型を渡す事である。

印象の採り方の手技の詳細については、やはり成書に当たって頂ければ良いので、ここでは余り他で述べられていない事を述べよう。

総義歯に限らず欠損顎提の印象では舌位が非常に重要である。TMJに障害のある患者は、ほぼ100%舌位に乱れがある。この舌位を診るのに印象採取時が最も良い。上手に印象を採らせてくれる患者は安心して良い。が、幾ら誘導し練習しても採れない場合、要注意である。これはインプラントにも役立つ。舌の生体内の動き方は、術後や補綴後の注意事項として見落とさないですむからである。

舌位と顎位には密接な関係がある。ちゃんとした舌位に補正出来ないとしたら、相当の難症例と覚悟した方が良い。インプラント植立が上手く行っても、補綴で悩まされるのは間違いない。こんな時はプロビジョナルを硬質レジンにしてフォローする以外にない。即重レジンでは軟らか過ぎる。

総義歯においても、治療用義歯に咬合面テーブルを設け、顎位を決めて行く方法が良く紹介されるが、上手にやらないと意外に怖い思いをする。T-コンデと即重レジンによるテーブルで顎位を決めても、例えば加熱重合レジン床、超硬質レジンのリンガライズドオクルージョンを全て同じに再現しても、まず無調整では行けない。

DR桜井は無調整で行けると豪語されていたが、私は下手なので出来ない。必ずセット時と24時間後の調整が必要と成る。理由は分かっている。咬合力の掛かり方が全然違うのである。マテリアルが変わってしまえば、当然義歯の歪み方は変わってしまう。だから、必ず私は少なくとも又調整に成ってしまう。つまり答を言うと、治療用義歯と完成義歯はマテリアルがほぼ同じでなければ、同じ結果は出ないのである。残念ながら粘膜面に1.5~2.0mmの軟性裏装材で、しかも即重レジン咬合面テーブルでは完成義歯とマテリアルの差がありすぎる。従ってマテリアルの差が出難い患者、例えば顎提が超高度吸収していて咬合力の小さい患者なら大丈夫なのである。もう分かって貰えただろうが、私自身は上記の理由でダイナミック印象と言うものをそれ程完全に信頼していない。ただ今まで痛くて痛くて咬めなかった患者を安心させて、完全なる研究用模型を採る方法としては完璧な方法であると思う。

そして、是非インプラントDR達にこう言う完璧な模型を見て欲しいのである。骨の形態を完璧に写し取る事が、どれ程植立位置等の決定に役立つか計り知れない。口腔内のぱっと見の状況に惑わされてはいけない。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/

何度も言うが事実は事実です。
真実を見たい方はオペ見を、どんな有名DRでも断りません。
勿論、うちに来た事は匿名にしたい方はしておきます、ご安心して起こし下さい。
本当のDRラムが示したMISインプラントをご供覧しましょう。



インプラント臨床と総義歯の接点④

2007年09月18日 | Weblog
結局、総義歯においてもインプラントにおいても最重要事項は骨体と粘膜の正確な把握であり、如何に3DやCTで再構築しても100%信じ切ってはまずいと思う。最終的には皮膚感覚で把握しておく事が安全対策に有効であろう。

 だいたい以上で成書等で私が知る限り、全く言及される事のない総義歯臨床のコツである。後は実際に手指を動かし覚えるしかないものである。そして明言するが、逃げずに正面からやり出せば必ず霧が晴れる様に、ハッと分かる時が来る。悟りに到る第1段階だ。勇気を持って進んで欲しい。

若いと言う事は大きな武器だ。未熟であっても、患者も大目に見てくれたりする。素直に謝りもう1回やらせてもらう事だ。この時自分が作製した総義歯を叩き台にして修正すれば、いわゆる治療用義歯に成り尚更良い。これを実行するには若いうちがベストだ。中堅やベテランに成ると余程信頼感を強められないと、不信感を抱かれて終わるかも知れないからである。患者は痛くて咬めなければ、1回で信じてくれなくなる。きちんとコミュニケーション出来てるつもりなのは歯科医側だけかも知れない事を、若いDRはわきまえていて欲しい。

だからこそ、30代の内に総義歯は得意にしておくべきである。欲を言えば35歳までで早ければ早い程良い。アドバイスとしては、実際にチェックしてくれる師を見付けておくとベストであろう。自分の採った印象、模型、BT,排列、完成義歯等を診て貰い教えて貰うのが良い。正解を先に知る事が大切である。これはテストではない。だから答えを知っておいて近付く努力する事が王道である。自分だけの努力・精進で習得出来る天才は多分1%いないであろう。真似るが、学ぶなのである。

迷いや試行錯誤は患者にとって迷惑でしかない、と肝に銘じて欲しい。成書で私が1番お勧め出来るのは、やはり加藤武彦師である。次いで阿部二郎師、この方は次の世代のTopであろう。村岡秀明師も大変良い。伝統時代と新時代の継なぎの方で、御尊父はかの村岡博大師である。総義歯の神様のお1人であった。今の若いDRは知らないかもしれない。それから50そこそこで塩田博文師がいる。咬合の狂いの重要性を実に分かり易く伝えて下さっている。最後に無痛デンチャーの深水浩三師。卓越した技工と相まって芸術的な領域に達している。この5人が代表格で、文献上学び易い方々である。DVD等もあるので尚更良いであろう。

勿論、他にも神様・大家は沢山いらっしゃるので特に誰でなければ、と言う事はない。とにかく写真・文。ビデオであっても、良きお手本を基本に学ぶ事が良いと思う。黄金の法則は一定のルールがあるからで、その高さに到達する道は何本もあるからである。出た答えの共通性、相違性を学ぶ事が、自分なりの法則に到る早道になる。筆者も総義歯の文献は積んで行くと、2mは超える位読み込んでいる。努力は人を裏切らない。正しい事は努力していれば、必ず最期には通じると信じて進んで欲しい。これは真理へ到る道程だからである。

以上で診査・診断を一応終わらせていただく。次は印象である。

如何であろう、総義歯臨床を極めると言う事が、インプラントやペリオにどれ程役立つか分かって頂けたとしたら、とても嬉しい。考えてみれば理由は簡単だ。両方とも骨体とそれを覆う粘膜を扱う分野であり、しかも後述するが咬合調整もマテリアルが違うだけで、如何にバランス良く骨体や粘膜へ咬合力を負担させるかの学問だからだ。極論を言えば、総義歯を極めるDRは全ての道に通ずるのである。インプラントをやるなとは言わない。しかし、きちんと学んでおいて欲しい所を嫌いだからで逃げていてはいけない。必ず助かったと思う時が来る。何よりも、知っておいて何一つ損な知識ではないのである。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/

インプラント臨床と総義歯の接点③

2007年09月16日 | Weblog
熊本から帰りました。
続きです。

顎提の範囲の見極めと顎骨の方向・量・表面性状について

上顎)床縁をどこら辺まで伸ばせるか?例えば、右人差し指で口腔前庭の最深部を触れて覗き込みつつ、その頬表面から左手指を沿えて軟組織を伸ばしたり動かしたりしながら丹念に探る。人差し指と親指を用いて顎提を優しく挟み込み骨の幅・方向形状を探る。同時に軟組織の厚さを始め硬さの程度性質を精査する事が重要である。

 これなども全くインプラント治療上に実践的に役立つ知識そのものではなかろうか。これらの触診で骨と軟組織を知り、さらに補綴物の厚み等の形状も知る事が出来る。まさしくスペースを探る事が出来るのである。もし、部分欠損であれば、同時に残存歯の状況も把握出来るし、位置の異常も立体的に掴める。CTや口腔内写真や模型だけの情報とは比較に成らない位正確な情報が得られる。だからこそ、触診+視診をしましょう!である。

 尚、この触知はインプラント植立時にも非常に役立つ事も指摘しておきたい。上顎に対するアプローチでは、挟み込みながら触知しつつ植立ホール形成・植立に大変有効である。

下顎)下顎は上顎に比べ形態を把握する事が非常に難しい。その大きな理由は、臼歯後隆起がきちんと発見出来ているか否かにあると言っても良いであろう。臼歯後隆起は平たく言えば、7番の最遠心部に日本人の場合多く、人工歯排列の1つの目安に成る。インプラントではここまで植立して良いのかどうか意見の分かれる所であるが、目印として用いられる。

 筆者は半歯分前方までを植立限界と考えて処置する事が多い為4-6-7配列を好み多用する事が多い。個人的見解であるが、日本人には4-6-7配列位が顎提の大きさに調和する様な気がする。無歯顎なり欠損顎提になれば、当然萎縮は避けられないので尚更小臼歯1本大臼歯2本の歯並び位が効率的と信じている。

 では正確な臼歯後隆起の見付け方であるが、1横指程度の開口量で覗き込みながら触知・視認をすると良い。具体的方法はこうだ。まず、上顎結節の後方限界を触知してさらに指を奥へ進め下顎と繋がっている縫線をなぞって行く。指の先を反転させて下にずーっとたどって行くと、グニッと触れる所がある。ここが臼歯後隆起である。これ以外の探し方だと下顎顎提や頬棚からたどって行くやり方があるが、吸収が激しくなると難しくなる。

 正確な臼歯後隆起を決められる事が総義歯の形態を決めると断言しても、あながち誤りではなかろう。ここを起点に頬側や舌側を触診で顎骨を軽く圧接しながら口腔底や頬棚を限界までたどる。そうすれば形を見抜ける。勿論これも親指と人差し指で顎骨を挟み込みながら触診する事が大切である事は言うまでもない。そして頬棚は、開口量を何段階かに分け上顎の時と同様口腔内と外から両手で触れなぞる事が重要である。

 下顎の触診で1番重要なのは舌側の顎骨形態の触知である。目安として顎舌骨筋線とその下部の口腔底部と骨体を口腔内と外で、やはり両手の手指を用いて触知すべきである。CT等よりも、視認しながら行えば顎骨を正確に把握出来る。又軟組織が厚いか薄いか、角化歯肉はどれ位かも触知しておくと良い。

 特に舌側の把握は、総義歯の形を出す所であり、維持安定に大きな役割を果たす所なので必ず触知して欲しい。いやすべきだ。インプラント植立時に、いたずらに舌動脈を怖れ傾斜植立させると、必然的に舌房を狭くしてしまう。これなど正にインプラントしか得意でなく、総義歯を苦手とするDRのウイークポイントであると思う。万一の事を考えるなら、触知しながらインプラントホール形成をすると良い。これは難しい技術ではない。術部を左手で挟み込み、人差し指や中指薬指を口腔外から底部を触知した骨縁に沿わせて触れていれば感覚が伝わって来る。又、正しく挟み込む事が出来ていれば歯槽頂が舌側にかなり寄っており、顎骨体の中央に形成するのが難しいのが良く分かる。その対応にも一応言及するが、筆者は出来るだけ顎骨体の中央を狙って、本来の歯根のあった位置を考え歯頚部の位置を合わせる様に植立している。当然唇側寄りになるので、縫合で歯肉弁をスライドさせ舌側のフラップを持ち上げる事が多い。そうなると、舌側の形態は変わらざるを得なくなる。具体的に言えば口腔底がやや浅くなり、舌小帯も少し上に来る。これが気に成る方はオペ時に切離されると良いだろう。浅い口腔底は意外に難しいからである。

 又、筆者は骨体の形態を把握し利用して植立する事を好む為、意図的に臼歯部では上顎洞や下歯槽神経を避ける傾斜植立等の工夫もしている事付け加えておく。これもなかなか便利で、いくらCTを撮影しても断面しか見えず立体的に理解するのは難しい時、総義歯を得意中の得意とし骨体を把握出来るからこそ可能な技であろうと思っている。とにかく、事ほど左様に、筆者自身は総義歯の実力がインプラントに卓越した見通しを与えてくれる。特に即時荷重インプラント治療を臨床に入れる場合、しっかりと骨体に植立させられる事、咬合調整をバランス良く分散して負担させられる事の2点が最も重要だからである。私自身の感覚としてインプラントネック部の骨での位置決めさえ正確であれば、骨体にどの様に植立されていても良いと感じているからである。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/
明日は又、休日なので休みます。

インプラント臨床と総義歯の接点②

2007年09月14日 | Weblog
緊急提言)まず何を診るか?

 総義歯を苦手としているDRの話を良く聴くと、正しい答えを肌で知らないと感じさせられる事が殆どである。天才肌のほんの一握りのDRを除き、私の様な平均程の才能の持ち主に過ぎないDRが奥義をものに出来たのは、良き師匠に恵まれたからに他ならない。目の前で総義歯でスルメ等を平気で食していて、顎提が相当にない症例を見せ付けられれば、感服するしかない。大学で習ったレベルを遙かに凌駕するものが、この世界には存在しているのである。

 そう言う神業としか表現出来ない総義歯には必ず、一定の法則性があった。拙い手技ながらその真似を徹底してやる事で、近い成果を得る事が出来、少しずつ自信が付いた。その積み重ねと自分なりの理解・理論付け勉強、やがてはオリジナルの工夫により、免許皆伝を授けられた。まだ若輩者で28歳であった。後武者修行の場を求め、往診等でさらに修練し現在がある。一応現在では、私の患者でも条件が整えばスルメは食せる。御新香は最低限維持すべきレベルと自負出来ている。全ては授けられた一定の法則に従っているだけである。それをまず最初に開示しよう。

① 総義歯は形である。良い成果を出しているものは、相似形をしている。
② 床の大きさは大きすぎず小さすぎない程良い大きさをしている。辺縁は、頬の上から触知すると分かり易い。
③ 床の安定性が良い。片顎のみで入れて圧接しても痛くも何ともない事。快適な事。内面は必ず確認調整すべきで、触知が重要である。
④ 咬合による床の動きが極小の上下動のみである事。触知して動きを探り咬合紙を用いて削合調整をする。上手く行くとカンカンカンと高く澄んだ音がする。聴覚の活用である。
⑤ 咬合紙のヌケ具合は左右均等で全体的にバランスが取れている事。極小点多数均等接触が理想的でPKトーマスの咬頭の低くしたものが良いと考えている。

何と、この5点に収束されてしまう。しかも、これらの殆どがインプラント
補綴治療上にも非常に役立つのだから驚きである。まずは、以上の点を頭の中にしっかり叩き込んで欲しい。

 話がずれるが、私が公表するものは知識にすぎず実践力のある知恵ではない。まずは知識を知り実践をして、知恵に高めるには自らの修練・努力・工夫しか有り得ない。

 残念ながら、若いDRの中に知っていると出来るの区別が出来ない方が多い。
失礼な言い方を百も承知で指摘するが、自分は馬鹿で未熟者だと目覚め気付いて欲しい。はっきり言って私だって未だ道途中の者でしかない。少し先を行っているだけだ。悟りを開いても又課題が生まれ新たに悟り直して行くしかないのである。

 まず緊急課題として、やや具体的に最重要課題を挙げておいた。常に臨床に携る時に、特に総義歯に関わらずとも、以上の点に気を配って欲しい。必ずや開眼する瞬間が訪れるであろう。さらなる解説をステップ毎にして行く。

各論)具体的手技解説

1.診査・診断について

 根本的に欠損顎提を診る時には、口腔内におけるスペースいわゆる総義歯で表現される所のデンチャースペースを見極めなければならない。これは部分欠損を診る時での鉄則でもある。

 困った事に研究用模型採り、フェイスボウトランスファーをして咬合器付着してしまえば診断出来たつもりのDRが多すぎる。模型と咬合器だけでは生体のほんの一部しか再現出来ない。もっと目の前の患者の口腔内を良く診るべきだ。足りない点を指摘しておく、触知・触診である。

 診査・診断における最重要ポイントは触診である。それも必ず触れている指の部分と顎提等をちゃんと眼で診て追っていく事、これが重要である。ミラーを持って覗き込み、口腔内撮影画像で得られる情報量だけでは限られる。

 さらに、触診の仕方であるが大開口から閉口まで開き方の差でどれ位違うかを調べなければ片手落ちに成る。特に大切なのはほんの1横指程度開口した状態で、工夫して触診しつつ覗き込む事だ。

 この様な事は総義歯を極めて行く道程で習得するものである。が、残念ながらこれらの知識がインプラント関係と補綴作製上で重要である旨を指摘し、解説されているものを私の不勉強かも知れないが皆目見た事がない。いつも見るのはトップダウントリートメントやGBR、ソフトティシュオーギュメンテーションであり欧米の受け売りばかりである。

 私はこの様な診査・診断、触診とその結果を総義歯治療を通じ、知り抜いていたので、インプラント等の治療上非常に役に立った。

 さてでは何を調べるのか?であるが、他の成書で解剖学的ランドマークとして挙げてあるのでそちらを参考にして頂きたい。一つ一つ解説するとこの論文が長く成り過ぎるからである。従ってここでは、特に他の成書では挙げていない面を解説したい。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/

注:明日から口腔インプラント学会で熊本入りします。
 なので、投稿は出来ないと思います。
 可能でしたら、日曜日の夜帰ってから、次回を投稿します。


インプラント臨床と総義歯の接点①

2007年09月13日 | Weblog
昨日までの論文?は、私が歯科医療に連載中のものです。
続きは、是非購読してお読み頂きたいと思います。
次号は、今話題の1本欠損の抜歯即時植立を含む即時荷重です。
私の言いたい事は、出来る限り伝わるように書いています。

今日からは以下に、私が属している内輪の勉強会である木鶏会で、昨年私が作った論文です。
私が日頃から主張しているように、総義歯を修得する事が、インプラントを修得するのに最も確実であると言う事を、実例を挙げつつ論じています。
根本的な考え方は、全く変わっていないのでそのまま載せます。

因みに、これは総義歯を取得する事を目的で書いているもので、それが如何にインプラントに応用可能かを論じているものです。


序論)2006年現在、総義歯治療は少し危機的状況に成っているのか知れない。その背後には、インプラント治療やペリオの再生療法等の台頭があるのではないかと考えている。現時点で、いわゆる総義歯の大家と目される臨床家の数が特に若手において著しく減少し、義歯関係を苦手するDRが激増している感じを受けるのは私1人ではなかろう。

特に明言しておくが30代以下のDRに苦言を呈したい。インプラントやペリオに走るのは良い事だ。しかし、根本的に総義歯を始めとする咬合関係、義歯関係の修練をもっとしっかり積む事を強く勧める。

最重要ポイントを始めから挙げておく。
①咬合のチェックは咬合紙を光に透かして見よ。補綴物の咬合面に付いたマークだけを当てにすべきではない。そして、咬合させる力の強弱に配慮せよ。せめて3段階、いやクレンチングも加えて4段階の力の段階に分けて調整して欲しい。
②触知、触診をもっともっと磨け。これも①を補うものだが、補綴物のみならず、頬側唇側面に指の腹を当て各段階での触れ具合を診よ。物凄い知識に勝る知恵を授かるであろう。
以上2点を強調しておく。
 
怖ろしい事に、インプラントを沢山しているDRには義歯を苦手としている者が多い。当然序論で述べた2点に気付いてないのが殆どである。インプラントに長けたDRは良く知っているはずだが、インプラントがトラブルになる原因の9割が咬合である。すなわち、義歯特に総義歯に精通する事以外にトラブルを避ける手段は全くない。私の知る限り見事なインプラント治療をされているDRは、総義歯を得意にされている。にも関わらず、殆どの若手DRが及び腰ではなかろうか?現状を見るに付け、将来に危うさを強く感じる。

筆者は、かつて某誌上において総義歯の事を数回に渡って書いた。大変好評でセミナーとかをやらないのですか?との問い合わせも何件かいただいた。が、当時30代前半でありその様な偉そうな事は性分に合わないので遠慮させていただいていた。

と言うのも筆者自身も又インプラントやペリオを極めたかったからである。そして現在46歳になりお陰さまで世界の最先端をこなせる様に成った。今、インプラントとペリオのレベルは漸く総義歯と同じ高みに到達出来たかなとの感触がある。

しかるに、この10年を振り返ってインプラント・ペリオの増加に反比例する様に総義歯が先細りに成っている様に見えて仕方がない。DR自身が高齢に成った時、自然と修得出来るものと考えてるとしたら甘い。又幾つに成ってもオペし続けられると望んでいるとしたら患者の迷惑を考えなさいと言いたい。私自身も75過ぎ位が限界だろうと感じている。勿論アンチエイジングに真剣に取り組み、何時までも若さを維持するつもりではいるが、こればかりは約束出来ない。だから、優れた若いDRがいればそちらにオペは任せ、私自身は総義歯等義歯関係に戻るつもりだ。

総義歯に限らず技術の習得は若い方が確実だ。若ければ3年で行けるものが高齢に成れば10年かかるかも知れない。適応能力はやはり若さに比例する。総義歯の確実な習得は、完全に技術レベルとその感覚でしかない。難しく思えるかも知れないが、1度開眼してしまえば後は自力で伸びて行ける。良く挙げる例として自転車に乗れる技術を出す。1度出来てしまえば乗らなくなって何年経っても、又乗る時にはすぐに出来るであろう。これと全く同じである。つまり、若い内に完全に自分のものにしておけば、感覚は失われない。習得しておいて全く損は無いのである。これを肝に銘じて欲しい。

インプラント・ペリオをやるなとは言わないし、何人にも言えない。が、出来るだけ早く若い内に総義歯を修得される事を強く勧める。必ず、その知識+感覚=知恵は全ての歯科の領域に良い影響をもたらすであろう。

筆者は、今まで敢えて沈黙を保ってきたが、この2007年はターニングカーヴの最終点の気がしてならない。これから物凄いインプラントブーム(バブル?)が日本中を席巻するであろう。完全にアメリカの10年後を追い掛けている。

今ここで立ち上がって、最も大切な知恵の伝承はこの国の若きインプラント・ペリオDRそしてその患者達を幾らかでも救うと信じ発信するものである。心に銘じて欲しい、いかなるマテリアル材料を用いようと咬合・顎位を治し安定化させ維持させるのが歯科医の使命であり、歯科医にしか出来ない尊い仕事なのだ。噛み合せを治せるのは我々歯科医以外にない。基本・真理はシンプルであり永遠である。

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/



 

即時荷重インプラント治療の現在の到達点2ー⑥

2007年09月12日 | Weblog
歯科医療に元の図、写真を載せています。
ご了承下さい。

4、即時荷重と同時のGBR骨造成について

今年のAO(インプラント学会)サンアントニオでも尚、この事については、全くコンセンサスが得られていない。かのJ,ガネルズは禁忌としているくらいである。

しかし、私の症例では成功している。(図23,24,25,26)しかも最も難しい最遠心での骨の欠損に対して垂直的に6mm以上GBRしているのである。その成功の理由を考察しよう。

以下の内容は、今年6月のボストンPRD学会でのポスタープレゼンテーションにて報告したばかりの、最新の内容である。

GBRを行うと一番重要なのは、その部位の安静安定である。しかし、即時にプロビジョナルを入れる以外の場合、その部位には何もない。縫合されて、歯肉も引っ張られるテンションが掛かって、その術野を保護する手段が殆どない。それがGBRの手術の難しさの最大の原因であると、私は考えている。

一方、即時にプロビジョナルレストレーションを装着出来ると、そこの部位は少なくとも口腔粘膜圧や舌圧からは逃れる事が出来る、と私は考えている。この辺の具体的な手技に関しては、まとめて別の機会に報告したいと考えているので、今回は勘弁願いたい。今回は、その示唆のみをして置く。

この考え方の根本にあるのは、GBR領域は殆ど唇頬側であると言う事にある。言い換えるなら最大の敵は舌であり、口腔内の摂食活動であるという事は、皆認めるであろう。即ち食物残渣の流れ、それに伴う舌の動きが障害なのである。

それを解決するのに即時にプロビジョナルを入れる事は、逆転の発想で成功出来る理由になるのである。要するにプロビジョナルがGBR領域を保護してくれているように出来るなら、即時荷重とGBRを同時に行う方が良いかも知れないのである。

この考えは、私自身の臨床結果から考えた、何故自分が成功しているのか?の理由である。私の知る限り、まだ世界を見渡してもどなたも報告されていないと思い、PRDで報告した。お蔭様で100倍を超える倍率で選ばれて2004年に引き続き2回連続で報告出来る事に成った。

但し、勿論正確で精密な治療手技が重要であり、その根本をなすのが触診である事は再度強調して置きたい。

まとめ)今回は即時荷重+GBRの第1症例を通じその内容を詳細に述べた。この一文が読者諸兄の即時荷重臨床の一助と成れば、まことに嬉しい。

最期に部分的欠損への即時荷重のプロトコールを下記に提唱する。(図27)

(1) 植立時の挿入トルク35N以上
(2) まず長くて、それから太いインプラントの推奨
(3) 補綴的な設計条件での最小限の植立本数よりも+1本支台インプラントを増やす
(4) ソリッドアバットメントによるセメント合着の推奨
(5) 強固なプロビジョナルレストレーションを推奨
(6) それぞれのインプラントは可及的に平行に植立する事を推奨
(7) ペリオテスト+5以下を植立時に達成し、一桁の数値を維持するよう調整していく
(8) 咬合調整は特に始めの4週間は細心の注意を払う事
(9) プロによるメインテナンスを欠かさない事
(10) 最終補綴物の作成には充分に待つ事

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/


即時荷重インプラント治療の現在の到達点2-⑤

2007年09月11日 | Weblog
歯科医療に元の図、写真を載せています。
ご了承下さい。

これでは縫合の状態が分からないので、反体側の抜歯即時植立をしてある咬合面観で見て頂きたい。抜歯即時植立を大臼歯部にしているのも関わらず、歯肉を動かしてキチンと閉じている事がわかって頂けると思う。(図17)

この当時はこうして閉じる事が重要と考えていたが、現在では林楊春先生が主張されているように、特に閉じず、そのまま移植材(3リン酸カルシウム材等を先生は師事されているが、私はHAである)を充填して歯肉の高さまでほぼ詰めて表面にコラーゲン膜を置くのみで対応している。林先生が言われる通り、確かにそれで問題なく解決出来るので、この縫合のスライドは弁を動かす事で、大臼歯の表面に出来た穴ですらキチンと閉じれる事例としてのみ見て欲しい。

次のスライドが術直後の正面観である。朝10時から始めて、このスライド時は夜9時を廻っていた。初めての為に試行錯誤で時間が掛かってしまったのだ。現在なら同様の処置をほぼ3時間で抜歯同時で行えるであろう。縫合の仕上がり具合(担当医は当時勤務医であった旧姓松本先生)が非常に出血もなく綺麗である事を見て頂きたい。湿潤している状況を考えながら手術し、それでいながら縫合終了時にはピタリと出血を止める。相反する事を成し遂げられる事が重要である。(図18)

ちなみに局所麻酔であるが、ほぼ3時間弱の間隔で追加していかざるを得ない。患者さんに協力頂いて切れ掛かってきたら即追加で対応する以外に、私は対応策を知らない。

即時荷重している為に、咬合調整が非常に重要で、その為に鎮静法等が出来ないので、局所麻酔には充分に気を配らないといけない。咬合調整は、始めに述べた通りに、絶対に横に揺れないように細心の注意を払って触診で判断する。

術後こまめにメインテナンスに来て頂き、咬合調整と歯肉の炎症のコントロールには細心の注意を払い続けた。が、丁度4週間でプロビジョナルが脱離したと緊急で連絡が入り、急患で来て頂いたのがスライドである。

インプラントに同様が来たしていないか冷や冷やしたが幸いにも、見事に歯肉が治癒して何の問題も生じていなかった。(図19)

その後、他部位の治療も行いそのまま最終印象に到ったのが、オペ後10ヶ月であった。(図20)

常にインプラントはペリオテストで動揺の経過を追い、異常が生じていないのを確認している。大事なのはそのデータが悪くなって来た時であるが、私はその場合、そのインプラントのプロビを切り離して咬合に参加させず経過観察する。隣に固定の良いインプラントがあるなら、それとスーパーボンドで連結して固定し、良好な結果を得ている。

そして、セラモメタル冠で最終的は補綴を終了した。終了直後とそれから2・5年オペ後ほぼ3・5年後の比較スライドを並べて置く。(図21,22)

*参照:http://www.km-implantcenter-matsumotoshika.com/