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映画 ラスト30分の衝撃「砂の器」

2007年01月12日 | 映画/テレビ
 音楽と映像の融合した ラスト30分は、日本最高の「映画」です。

 私が好きな邦画の最高傑作というより、生きていることの社会的な痛みを感じたNO.1があります。30年以上前の映画ですが、見るたびに「心臓を掴まれる」のです。

 過去から決別する為、作曲家が殺人を犯します。逮捕状請求のための刑事の説明の中で、使われるラスト30分間の映像と音楽は、今でも私の中ではNO1なのです。
 出だしは少し冗長に感じますが、描きかたが丁寧です。

 それは野村芳太郎監督、山田洋次脚本の「砂の器」です。TVドラマでも数年前製作されましたが、この映画の素晴らしさは別次元です。私の生まれた岡山県の新見から近い島根県の亀嵩(かめだけ)が発端でした。

 親子の情愛と、当時は不治の病とされたハンセン氏病に対する偏見が、この犯罪の原点です。犯人を追いながら、その生い立ちに同情し、犯行動機に声を詰まらせる刑事役が最近なくなった丹波哲郎です。

 ふるさとを病気で追われた親子の吹雪の海岸線の描写と重なる音楽は涙が出ます。
散るさくらの花の下の巡礼姿の親子連れは、きれいな画面の為によけいに悲しいのです。
村を出て行く親子に頭を下げる村人は被害者であり、同時に加害者でもあるのです。どんな想いで、この親子を追い出したのかをも、考えさせる深いものでした。

 松本清張の社会派作家としての優れた作品が10年以上も監督の構想下にあり映画化されたのです。
 今でもわたしはこの映画を音楽ファンに薦めています。映像・音楽どちらもが素晴らしく、心を打つからです。

 この曲は「宿命」といい、楽譜が出版されています。芥川也寸志の曲です。
ピアノバージョンを手に入れて、四女に弾いてもらっています。
 娘はこの映画を見ていないため、淡々と弾きます。
でもこの曲に対する親父のこだわりには、感づいているらしいのです。

追伸

この曲の作曲者は、芥川ではなく、管野光亮です。
詳しくご存知の方にご指摘いただきました。
訂正をいたします。
 
   画像は亀嵩駅
(グルナビhttp://hiroba.gnavi.co.jp/usr/dancin/trip/detailTrip/2570より)
コメント (6)
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