映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「永遠の門 ゴッホの見た未来」

2019年11月12日 | 実話系

苦難に満ちたゴッホの生涯をウィレム・デフォーが演じます。
顔立ちはそんなに似てない筈なんですが、
ものすごくゴッホに見えます。
笑うと、あっデフォーだ!という感じ。

絵の色彩比率に近い風景、風の音、
自然と向き合うゴッホ、不器用な会話、芸術論…
と淡々と進むゴッホのPVなので、
体調が万全でないときはやめておいたほうがいい気がする。

ゴッホの精神状態が徐々に悪くなって、
シーンが途切れて、ふと気づくと精神病院にいたりするので、
映っている人や会話も、現実にあったことなのか
段々疑わしくなってくる。
とくに唐突に出てきて唐突に芸術論を述べて退場した
神父のマッツミケルセン、あれ一体何だったの…。
カソックなんか着ちゃって、ふじょしの妄想かと思ったわ。

オスカー・アイザックがゴーギャンを演じたので、
こんな悪いゴーギャン見た事ないってくらい悪かった(笑)
金めあて!?そうなんでしょう!?

視界の下半分がぼやけたり、会話が脳内でリピートされたり、
突然フランス語になったりするのは、認識能力の低下を表現してたのかな?
俗説の「ゴッホの絵はすべて閃輝暗点を描いたもの」
っていうのが印象深くてずっと覚えてるんですけど、
いや、本当に視界が常にあんな風だったら、
そりゃあもう色々無理ってもんですね。

タイトルは、地平線一直線の構図を見ると
そこに永遠を感じるというゴッホのセリフから。
製作ペースがほぼ1日1枚ですごいなと思った。

ラストばれ

他殺説を採ってます。
珍しい気がする。





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「ターミネーター ニュー・フェイト」

2019年11月11日 | バトル映画

ターミネーター6作目にしてキャメロン復活(製作ですけど)。
「T2の正当な続編!」という宣伝文句で、
新シリーズも視野に入れた展開です。
監督ティム・ミラー、脚本デヴィッド・S・ゴイヤー他2名。

メキシコの自動車工場で弟と一緒に働くダニエラは
ごく普通の女性だったが、そこに殺人マシーンが現れ
彼女に襲い掛かる。間一髪彼女を助けたのは
長身金髪の女性だった…というあらすじ。
序盤はT1そのままの展開ですが、徐々に変奏曲になり、
そして懐かしい登場人物が出てきます。

今回の敵Rev-9、固体から液体への変化が可能で
更に骨格とそれ以外に分かれて活動する事ができます。
破壊が難しいので、ひたすらずっと追いかけてきますが
グレースの鉄槌アクションが特に良かった。
あとやっぱりサラ・コナー。
重火器をぶっ放すクールな初老の女性で
味方でメインキャラクターなのって本当に希少なので
(あとは「MMFR」「RED」、「リメイク版ハロウィン」くらい?)
それだけで加点30点!

T2に思い入れの深い人(私もです)は
ちょっと歯を食いしばれ。でもこの映画好きです。
(予告は見ないほうがよかったな…と思った)

オチばれ注意!

3、4、5は無かった扱いとなった。
これまで修羅の道を歩んできた全時空、全アースのジョン・コナーに
お疲れ様って言いたい…。
そしてすごい百合を見せてもらいましたけど、
あとは百合に任せておやすみジョン・コナー。

この世界のタイムリープの法則は上書き形式で、
スカイネットの誕生を阻止したにも関わらず
ジョンが消えていないことから、タイムマシンによって起こった出来事は
変更不能というのが6のルールなのだと思います。
故に、スカイネットが消える前に
あちこちの時間に複数のT-800を送り出したなら
それが消えずに出てくるのはまあ納得。
ただ、グレースの上司が、協力者の位置を刺青にしたのに、
サラに関してまったく申し送りがなかったのは不可解です。
あそこで協力関係になれなかったら危なかった。

どうでもいいですがタイムマシン、マッパと光球は同じ仕様なのに
高低の算出だけ甘くなってない!?地面に出してあげなよ!
あとRev-9の骨格分離、質量保存の法則は気になりました。

「ただの凡人」とか「聖母の座は譲るわ」とかがミスディレクションで、
ちょっとしたどんでん返しがあるんですが、
女性に大きく作用するカタルシスで、
男性のほうはたぶんイマイチぴんとこないのではないかと思います。
あとこういうSFアクション大作で感情移入できる男性キャラクター不在、
という例がほぼないため、投影なしに映画を見ることのできる一部の男性以外には
不評だろうなと思いました(何度か同じことを書いてますけど)。

逆に言えばシスターフッド、女子エンパワメントを描いた映画で
SFアクション大作は少ないので希少な映画だと思います。
キャメロン御大がプロットにどの程度関与なさったか分かりませんが
まあ昔から女鬼軍曹好きですもんね…。
でもジョン・コナーと同じで、一体どういう心境で送り出したのか気になります。
(山奥に隠れて過ごすのは御免、ってあれT3への皮肉かな…)

しかし結局ジョン・コナーがいなくても、次の指導者が現れ、
その指導者が倒れても結局誰かが人類を勝利に導くような気がします。
むしろタイムマシンに頼るのは敗北フラグだよAI…。



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「天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント」

2019年11月06日 | ドキュメンタリー

英国屈指のメジャー広告代理店勤務の監督が
創造とは何かという疑問を抱いて、世界の様々な業界のトップランナーに
「なぜあなたはクリエイティブなのか?」という疑問を投げかけるドキュメンタリー。
会社のコネがなければ成立しないコンセプトだと思うけど
20年以上かけたインタビューはさすがに豪華。
(ただしちょっと映るだけの人もいます)
デビッド・ボウイ、オノ・ヨーコ、
スティーブン・ホーキング、ビル・ゲイツ、ダライ・ラマ、
クエンティン・タランティーノ、スパイク・リー、デヴィッド・リンチ、
イアン・マッケッラン、サミュエル・ジャクソン、ウィレム・デフォー、
山本耀司、ヴィヴィアン・ウェストウッド、
ネルソン・マンデラ、ミハイル・ゴルバチョフ、ヤーセル・アラファト、
ジョージ・ブッシュ、ウンベルト・エーコ、ジョージ・R・R・マーティン等々、
107人の回答映像が流れます。

ざっくり分けると
「才能を与えられたから」
「みんなでなんかするのが楽しいから」
が2大派閥。もちろんそれ以外の回答も色々とありますけど。

「凡人は奇抜なアイディアを垂れ流すだけだがクリエイターは
それに秩序を与えて形にする事ができる」
「創造には善が必要」
「公共的平等さなど馬鹿馬鹿しい」
色々なスタンスが聞けました。

色々な年齢の人が回答する様子を見ていて、
・美や善や才能など様々な抽象概念について考える習慣があるか、
・人の質問を正確に理解できるか、
・適切な言葉を選ぶスピード、
は如実に出るなあと思いました。
中にはやっぱりちょっと的外れな回答もあった。
ジョージ・ブッシュさんは、体調が悪いのかどうしたのか、大丈夫か?と思った。

内容ばれ
回答がキレキレだったのはホーキング博士で
「どこかに着くよりも楽しい旅を続けたい」
「創造性のない科学など、古い数式をこねくり回すだけだ」
あの回答が、打合せなしに瞬間的にあの場で出たものなら
頭の中がどうなっておられるのか。
あとマンデラ元大統領、
めちゃくちゃ不意をつかれた質問にもかかわらず早く鋭い回答、
私が仮に英語話者でも元大統領と対等に会話が交わせるように思えない。

しかし質問者が途中で
「性と創造とは」「科学と創造とは」「政治と創造とは」
と微妙に質問の内容を変えるのはどうかと思った。

デヴィッド・リンチ監督が「みんなでものをつくるの楽しいから」派だったのは
なんとなく意外だったけど、リンチ監督のインタビューのときだけ
照明の調子が悪くなったのはちょっと面白かったですね。

あとRRマーティンは才能を受けたから派なんだけど
「突然才能がなくなって書けなくなるかも…」
っておっしゃっていて、私からするとバリバリの技巧派に見えるのですが
先生は才能で書いておられる感覚なのね。これも意外。


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「IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」

2019年11月05日 | ホラー映画

遥か昔から27年周期でデリーの街に蘇り、
多数の人間を食って再び眠りにつく「it」。
子供時代にitを撃退したルーザーズクラブの少年少女たちは街を出て大人になり、
それぞれ社会的に成功していたが、1人デリーに残っていたマイクから
itが目覚めて、殺戮が始まったという連絡を受ける。
彼等は約束を果たすために故郷へと車を走らせるが…というあらすじ。

ペニー・ワイズさんによるホラーショウたっぷり3時間。
ビルがジェームズ・マカヴォイ、ベヴがジェシカ・チャスティンという配役なので、
ペニー・ワイズさんは20分くらいで丸焼きにされて、
その後は炎の周りで歌ったり踊ったり過去話に花が咲いたりするのでは…
と思ってましたがそうでもなかったです。
原作ではそもそも冒頭のジョージィのシーンのあと
マイクからの連絡があって話が始まり、
徐々にデリーでの記憶が戻っていく構成なのですが、
大人時代と子供時代を前後篇で分けたので、
3時間のうち2時間くらいはオリジナルストーリーだった。

こわいものがバーンと出てくるのが駄目な人は、この映画無理かもです。
それこそモリモリ腹いっぱい、手を変え品を変え、ドンドコ出てきます。
監督さんは視覚的恐怖一本押しなので、音や気配の怖さはあまりない。
私は冒頭の、ペニー・ワイズさんが登場するまでが一番怖かった。
(あれも原作冒頭のシーンですけど)ペニワさんが出るとむしろ怖くない。

ダイナミックげろシーンと、普通のげろシーンがあります。

ラストばれ

思い出の品を集めて燃やす儀式とかは、あれはオリジナルです。
itの正体も、めっちゃ宇宙っぽくなっちゃって…。
そして亀はとうとう出てきませんでしたね。
ベンの視聴覚室のシーンでカメオ出演してた。

カメオと言えば久しぶりのキングのカメオ出演(古道具屋の主人)
おおむかしはめっちゃカメオででまくって、
1度は主演までなさっているのですが、(なので演技が板についている)
随分と容貌が変られていて、私も年を取るわけだわとしみじみした。

ベヴがかつての自分の家を見に行く場面は、
原作、1回目の映像化、今回、全部にありますが、
やっぱり優れたシーンですね。今回はおばあちゃんダンスが最高でした。
ティーカップの色が描写と違うけどな(キング警察のキング棒)。

私の原作2大地雷の残りの1つ、ビルとベヴの謎の不倫も
当然カットされていて、やったー!と思いました。
(それいらんやろ…って変な性行為を入れるの、キングの癖なんですよ)
(あと今の倫理観で子供にそれはまずいというのも丁寧に取り除いてある)
(違法ハーブでラリるのとか……)
ベンとベヴの話は原作よりも更に可愛くなってて嬉しい。
そして1回目映像化版よりもベンのイケメン度がアップしていて、
もし3度目の映像化があったら、
今度はヘンリー・カヴィルさんあたりをキャスティングしないといけないのでは…
と思いました。

リッチーの性指向の話は原作には全くないので
ちょっとびっくりしました。原作にない恋愛要素…ハッ!二次創作!?
(関係ないですが最近時々洋画でスト2を見掛けるのは何でなのか)
エディとスタン、今回はいけるのでは…?と思いましたが今回も駄目だった…。

最後突然ペニー・ワイズが「大人になったな…」とか言い始めて
なんか良い話風にまとめようとしていて笑いました。
ルーザーズクラブのみんなも困っちゃうよ。




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