映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ジャックと天空の巨人」

2013年03月28日 | ファンタジー映画

ご存知「ジャックと豆の木」のお話を大胆アレンジ。
かつて天空から豆の木をつたってイングランドに侵攻してきた人食い巨人集団を
勇気ある王が魔法の王冠の力で追い返したという伝説と、
その王の末裔である冒険好きの姫、同じく冒険好きの平民ジャックを主役にした
巨人集団との激しい戦いを描きます。
大コケしているそうですが、普通くらいには面白いです、よ。
何だろう、低年齢をタゲっている割に巨人のデザインがガチで怖いせいかな?

ユアン・マクレガーがひさしぶりに愛されウッカリ八兵衛じゃない、
仕事の出来る役をやっています。
あと王様も職務に忠実で好感が持てました。

箇条書き内容ばれ

・バッド・ハット・ハリー(シンガー監督の会社)のオープニングロゴが
 巨人バージョンに変わっていた。面白い遊び。色々なバージョンが見てみたいです。
・巨人を2体殺しただけで巨人殺しを名乗るのは如何なものか。
 (原題はJACK THE GIANT SLAYER)
 でも豆の使い方は面白かった。
・あの豆の木は煮たら食べられるのかな?あらゆる食糧難を解決できそう。
・途中でフェードアウトしたジャックのおじさん、彼は別に悪い事何もしてないので、
 ジャックの逆玉でその後幸せに暮らしているといいな。
・「フィー、ファイ、フォー、ファム」は映画内では巨人の名前になってましたが、
 物語では、くんくんと匂いをかぐ描写だそうで、
 「フィー、ファイ、フォー、ファム、イギリス人の血のにおいがする」
 というフレーズは人々のハートを掴んだらしくマザーグースにも使われたとか。
・農家に本がたくさんあるという事は活版印刷が広まった後で、
 少なくとも15世紀の終わりか16世紀、そのわりにお城の武器が貧弱すぎではあるまいか…。
・巨人が男ばかりに見えるのですが、もしや天空のゲイハウスだったのでしょうかあすこは。
・ゴラム!
・後ろに誰かいる?の使い方はよかったです。

「ジャックと豆の木」ってグリムやアンデルセンじゃなかったんですね。
あらためて読むとドロボウの話やないかこれ!おいこらジャック!
巨人の奥さんに庇われておきながらこの恩知らず!ドロボー!

軌道エレベータの比喩に使われるというのは成程と思いました。


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「オズ はじまりの戦い」

2013年03月24日 | ファンタジー映画

ご存知「オズの魔法使い」の偉大にして強大な魔法使いオズが
一体どのようにしてエメラルドシティに君臨する事になったのか、
という前日譚です。

紙っぽい白黒のOPムービーがとても良かったです。
あと陶器の少女がかわいい。猿も。
オズはスケコマシ科スケコマシ属スケコマシ。
オズを取り巻く3人の魔女が出てきますが、もちろん全員いただき丸。
サム・ライミ監督は女優を美人に撮れないという定評があるらしいですが、
特にセオドラが気の毒でした…髪を下ろした一番綺麗な状態でも…。
女優さん、「TED」のローリーのときはすごくかわいく撮ってもらってたのに!

内容ばれ

魔女バトルの時、
「そういえば白ひげのおじいちゃん2人がこんな風に戦ってたな…指輪で…」
とか色々思い出しました。

魔法に現代科学で応戦するシチュエーションは何回見ても燃えますねー。

それにしてもこの映画、姉は自業自得としてもセオドラに関しては
一夜遊んでポイ捨てした女が怒って逆襲してきたので叩きのめして
後年幼女に依頼して殺させたって話ですよね。
こわいよ!どんな火サスだよ!と思います。

でも、カンザスでは助手に猿!って言ってたし、
というか助手さんがお猿の声だし、
「お願い足を治して!」って言ってた少女は
足を直してあげた陶器の少女の声をやっているし、
現実世界ですけこました3人の女性が
オズで3人の魔女として出てくるしで、
オズの世界は全部この手品師の夢ですよ~という微妙な仄めかしがあるのが面白いです。



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「クラウド アトラス」

2013年03月23日 | SF映画
ウォシャウスキー兄弟あらため姉弟が久しぶりにやってくれました。
(今回トム・ティクヴァと共作で、6つのパートを3本ずつ担当)

1849年 奴隷売買の契約を結んだ若き弁護士の話
1936年 老いた有名作曲家の元で助手をする音楽家の話
1973年 原子力発電に関する機密で命を狙われるアメリカの女記者の話
2012年 老人養護施設に監禁されることになったイギリスの老人の脱走劇
2144年 人権のないクローン人間が使役されるネオ・ソウル
2321年 崩壊後、科学技術が失われ後退した世界

6つの世界が同時進行します。
各世界のつながりは、同じ登場人物が老いて再登場したり、
ある登場人物が別の時代では特別な存在となっていたり
登場人物の書いた日誌が、他の時代で読まれていたり、
登場人物の書いた小説が映画化され、他の時代で見られていたり、
登場人物の作曲した曲が、他の時代で聞かれていたりします。
人々は転生し、あるものは結ばれ、あるものは殺し、あるものは戦います。
「罪と善意が未来を作る」のです。

同時に放送している6つの映画をザッピングしている感じです。
各シーンからシフトする時、台詞や状況がつながっているのですが
脚本を書くの大変だったろうなこれ!!

転生を表現するために役者さんが何役もされています。
男性が女性を演じたり、女性が男性を演じたり、
黒人が白人を演じたり、白人が黄色人種を演じたり、
演技もすごいけど特殊メイクもすごい。

誰が何を演じたか写真で出るエンディングは絶対見た方がいいです。
パンフで補完するのもおすすめ。
実験的な、意欲的な作品が好きな方は是非劇場へ。

内容ばれ

トム・ハンクスが転生を繰り返しながら
徳を積んだり後退したりして、とうとう運命の相手と結ばれる事で
壮大なハッピーエンドへと至る話、だと私は思ってます。
(残りの5つの話にも、ちゃんと結末があります)
こういうオムニバス作品は別に珍しくはなく、
転生を軸にした作品だって幾つかありますが、
こんなにも目まぐるしくザッピングがあって、
繋ぎ方がここまで丁寧なのはなかった。
(「街」というゲームを思い出しました)
映画2本分の情報量があった。いや実際上映時間も長いけど!

こまかいねた

・ヒューゴ・ウィーヴィングは頑張りすぎたので
 個人的に何らかの賞をあげたい。
 アカデミー主演男優、助演男優、助演女優、みんなあげてもいいくらいだ。
 常に悪の側にいて何かを追い詰めていた。
 「マトリックス」もこの映画の一部ではないかと思った。
 最終的には人間じゃない、なにか悪魔的なものになってた。
・ロンドンのパートで「ソイレントグリーンだ!」
 って叫んでたのは、ネオソウル編の伏線かー。
・ソンミ様のなかのひとが33歳というのにたまげて
 もう女のひとがしんじられないとおもった。
・まあ正直ちょっと養護施設パートは冗長かなと思わなくもなかったけど
 兄の妻がベン・ウィショーの女装だって全然気付かなくて…orz…修行が足りなかったです。
 ヒューゴの女装ばっかり見てて…。
 スコットランド人たちの怒りのところでバグパイプが鳴ったのはふいた。
 「ケガの原因はニャンニャン」っていう字幕は(英語だと、うん、プッシーです)
 まあ健闘した感じ。
・ベン・ウィショーとジェームズ・ダーシーの純愛はきれいでしたね。
 純愛というか、厳密に言えばベン・ウィショーはちょっと魔性寄り、
 ジェームズ・ダーシーが一途寄り。
 2人が夢の中で陶器を叩き壊すシーンは楽しそうだった。
・残念ながら興行成績はあまりよくないらしい。
 死は終わりではなく単なる扉っていうのは、キリスト教圏では受け入れ難いものがある、のかな?
 あと映画で頭を使いたくないっていう人の割合?テンプレじゃないものを見るのは頭を使う。


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「プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち」

2013年03月18日 | アニメ映画

今回は、妖精の学校が舞台です。
毎年プリキュアにくっついているあの小動物たち、
あれらが各世界から留学?してプリキュアのことを学ぶ学校です。
みんなプリキュアの妖精になることに憧れていますが、
実際なれるのはほんの一握りだそうです。

……ちょっと真顔になってしまいましたね。
毎年フワフワ浮いていた、語尾が自分の名前だったりする小動物、
あれ有名学校出身のエリートだったんですね。
しかも学校で妖精同士友達になるので、
今年の妖精と過去の妖精が知り合いだったリします。
人脈作りと学閥!
けっこうシビアな設定ですねプリキュア…。

プリキュアに嫉妬する妖精グレルは
その心につけこまれて悪いアイテムの言いなりになり
「プリキュアなんか変身できなかったら普通の女の子だ!」
とプリキュアをおびき寄せて変身アイテムを奪います。
その友達の泣き虫エンエンは自分の意見をはっきりと言えないので
脅されてグレルに協力します。
テーマはいじめ、らしい。

全員登場はしますが、台詞があるのは昨年のスマイルを除き各組1人か2人。
参加する声優さんは全員ではありません。
まあでも不自然ではないように作ってあります。

内容ばれ

プリキュア1人1人にだってそんなに見せ場がある訳じゃないのに
ももか姉さん出して下さってあざーす!ももゆり配慮あざーす!

キュアマリンさんがどんどんコメディキャラ寄りになっていくのがむしろ楽しみです。
変顔、変技、奇声、立ち姿はガニ股。女児も受けてました。
32人の中でたった1人だけのガチギャグキャラなのでおいしいと思います。




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「ジャンゴ 繋がれざる者」

2013年03月12日 | 西部劇


タランティーノが、自分の大好きな西部劇をノリノリで撮った作品です。
血袋かよ!っていうくらい血が吹き出て、ともかく死にます。
タラちゃん本人も出てきて楽しそうに死ぬ。

スマートに撮られていて、編集もクールなのは
「イングロリアス・バスターズ」のほうだと思います。
例えるなら昼間にきりりと働いているお父さん。
「ジャンゴ」は家で晩酌しながら酔っ払って気分よく自慢話をしているお父さん。
でもどっちもタラちゃんだなあという感じ。
「ジャンゴ」は、あの効果音と共に人物がアップになる効果とか
スローモーションの使い方とか、わざと昔っぽく、もっさり撮ってる感じ。

あらすじ
売られて行く途中だった黒人奴隷ジャンゴは
賞金稼ぎの元歯科医キング・シュルツにスカウトされ、彼の助手となる。
奴隷制度のないドイツ出身のシュルツには黒人に対する偏見がなかった。
彼等2人は、生き別れになったジャンゴの妻ブリュンヒルデを探して
農場主カルヴィン・キャンディに接近するのだった。

元歯医者のキング・シュルツがともかくいいです。

ラストばれ

Drシュルツは本人の生まれ持った性質はすごく慎重で頭の切れるタイプだと思うのです。
でも割とどーでもいいと思っている部分もあり、しかも妙なところで堪忍袋の緒が切れる。
人を殺すのに躊躇は全然ないし、息子の目の前で父親を殺すのも
「愛する者に看取られるなんてすばらしい最期だ。遺言も残せる」とか
本気で言っちゃうけど、
でも弱い者が一方的に虐げられているのは苦手で直視できない。
これらはたぶん彼の中に矛盾のないルールのようなものがあるのでしょう。
ブリュンヒルデの名前にロマンを感じ、
ジャンゴに対して保護者のような、教師のような気持ちになった彼は親切で紳士でしたが、
かといって善人とも言えず、
異常な新大陸だからこそあんな風に常識人に見えたのであって
欧州にいたら犯罪者になっていたかもしれない、
そう思わせるアンバランスで危うい役でした。
全然後悔はなさそうだったのでよかった。
「ジャンゴ」は彷徨っていた彼が救済される話でもあったような気もします。
クリストフ・ヴァルツさんは、タラちゃんの書いたキャラクターを演じるのが一番輝くな!

カルヴィン・キャンディはディカプリ夫なんですが、
いい感じに怪演でした。フランスかぶれだけどフランス語は話せなくて、
性格悪くて残虐だけど超シスコン。ごく普通に差別主義者だけど黒人のじいやに頼りきり。
キャンディとドクター・シュルツの対峙するシーンは濃ゆかったです。

プチKKK団みたいなのの、マスクで前が見えないフガフガシーンなどは
前作のナチに対してもそうでしたが、
レイシストを徹底的に笑い物にするタラちゃんの姿勢、好きです。
(悲惨な差別を詳細に描写されるよりこっちのほうがいい)

ただ、全体的に30分ほどカットしたほうがいいと思う。
手配書の伏線を回収しなければならないとはいえ、
捕まって採掘現場に売られるくだりはちょいと冗長。

アレクサンドル・デュマって黒人系だったんですね。知識になかったー!


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