映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「DESTINY 鎌倉ものがたり」

2017年12月19日 | ファンタジー映画

幽霊や魔物と人間が共存する鎌倉。
ミステリー作家一色正和と結婚した亜紀子は、持ち前の大らかさで、
霊や河童や貧乏神がひょっこり姿を現す日々に慣れ始めた。
しかしある日、トラブルから魂が体から抜け出てしまった亜紀子は…
というあらすじ。

山崎貴監督作品。
予告がいまひとつだったのと、
山崎監督の「永遠の0」「STAND BY ME ドラえもん」
どっちもだめだったので、この作品も合わないだろうなー…
と思っていたら、案外面白かったです。
一色先生が警察の顧問になっていて殺人事件の推理をしたり、
(原作ではむしろこっちがメイン)
幽霊申請とそのしくみ、夫を日露戦争で亡くした謎のお手伝いキンさん、
人間も利用できる魔界のマーケット、夜市など、
細々した日常パートが良かったのでした。
ラスト30分が予告で推されていた黄泉パートなのですが、
盛り上げようとする意図がやや露骨ながら伏線回収もあったりして、
上映時間129分が長くは感じられませんでした。

ラストばれ

堺さんは安定の堺さんだし、とと姉ちゃんの高畑充希さんは役柄に合ってたし、
全ての邦画に出演なさってる國村さん、るろ剣で翁をやっておられた田中泯さん、
出番一瞬だけど存在感のすごいムロツヨシさん、堤真一さん、薬師丸ひろ子さん、
役者さんの層が厚かったです。
安藤サクラさん演じる、ざっくりしてそうで案外ケアの細やかな死神が印象に残りました。
死んで不安な時にああいう人が来ると安心できそう。

鎌倉の人は死ぬと江ノ電に乗ってあの世に行くという設定が素敵です。
関西だとどうだろうって考えたんですが、JRしか思いつかない(笑)。
とりあえず滋賀京都大阪和歌山奈良兵庫がカバーできるし。
(もはや出勤となんら変わりない)

やや皮肉っぽい見方をすると、
金麦嫁を彷彿とさせる、男性ドリームの詰まった嫁なのですが、
(原作だと年齢差、約10歳、中の人だと約20歳)
でもまあ世間慣れしない無垢な嫁を旦那が守って大切にし、
他のモブにも求愛されて取り合いになって困っちゃうという女性ドリームも、
きちんと組み込まれているので、win-winでいいじゃないのと思います。
あ、でも1つだけ言わせてもらうなら、
男性の肩に愛おしそうに頬擦りする猫のような仕草、かわいいですけど
ファンデーションのがっつり載ったあの状態でやると、
スーツも和装も即クリーニング、しかも一刻を争う状態になります…。
男性の方は憶えておいてください…。
(一瞬触ったくらいは大丈夫ですけどあれはアウト)

貧乏神はラストで来るだろうと思ってましたがまさかあれとは。
あと両親の伏線とキーホルダーの伏線もよかった。
キーホルダーに関しては、もしかしてタイトルは嫁じゃなくて、
一色先生と奴の話なんじゃないの…?って思いました。


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「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」

2017年12月18日 | SF映画

シリーズ8作目です。

並々ならぬフォースの資質を持つレイは
隠遁していた伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの元を訪ねるが、
彼の態度は冷たく、ジェダイは消えるべきだと主張、レイの話に耳を貸さない。
一方、レジスタンス一団は度重なるファースト・オーダーの追撃に
壊滅的な被害を受け、ついに追い詰められる……というあらすじ。
前作JJからチェンジして今回はライアン・ジョンソン監督。
「LOOPER」を撮った方です。

ダブルヒロインものは地獄のように揉めて
争いは10年以上続き、あたりは焦土と化すという事を
一部のオタクの人はよく知ってらっしゃると思いますが
今回の3部作のヒロインはどちらもかわいいので両方応援してしまいますね。
危険な力と傷付いた少年のような心を持ったカイロ・レンと
子犬のようなつぶらな瞳をした気さくなフィン。
前作JJはどちらかといえばフィン推しでしたが、
ジョンソン監督はあからさまにレン推しで、
レイロ以外は認めないという力強さでグイグイきました。
というのはまあ半分冗談ですが、カイロ・レンの印象は随分変わりました。
(でも八つ当たりで備品壊すのやめような。そういうの本当よくないよ)

ラストまでばれ

なんかやたら格好いい武器を持ったロイヤル・ガード(訂正:プレトリアンガード)を
ぶっ倒していく2人、レイの雄叫び、格好良かった。
ローブの塵を払う、ジェダイマスター・ルークの煽りも、
血のような赤土の演出も格好良かった。
師匠が出てくるとこれまでの威厳が消えて途端に若者っぽくなるルークかわいかった。
新登場のポーグ、もうこの、何億か稼がせていただきますというデザイン、
分かってらっしゃる…こわい…。
そして「鼠が鳥で小遣い稼ぎかよケッ」って層にも、
「いやいや、あなたたちも大切なお客様ですよ…」というブラックジョークの目配せ…
勤勉というか大変だなと思います。
BB-8さんは先輩の貫録で、かわいいの飽和状態でした。
かわいいといえば、恐る恐る手を伸ばす孤独な子供2人、
どちらも互いを必要としているけど、
どうしても手に入れられないレンとレイ、かわいかった。
強大な能力を持つ陰と陽の2人、その愛憎って話は、これまで男2人が多かったけど、
男女でやるのかな?もしかして世紀のラブロマンスになるのかな?

スノークさんが、「レンでは私に勝てませんし?レンの心はお見通しですし?」
って言った直後にブッスリ殺されてびっくりしました…。
えー!お前…そんなに弱かったのかよ…。口だけ番長かよ…。
やっぱレンのこだわりの仮面をdisったのはまずかったよ…
「ふざけた(ridiculous)仮面」とか言っちゃったもんな…。
(それとももしかして死んでないのかな…?)
あとレイの両親が普通のひと?だったのも驚いた。
ラストで明かされる重大な秘密があるんだと思ってた。

これはどうかと思う点(大満足派は以降読まれない方がよいです)

特攻・自己犠牲が有効な攻撃方法であると示すシーンが2回あるのに
3回目だけ否定してそれを尊いもののように演出するのは「???」だった。

大人も先生も師匠も失敗をするというあれなのは分かるので
殺してしまおうと魔がさして夜中に弟子の寝室まで行ったまでは許容範囲ですが、
自分の悪かった部分を伏せて話をして印象操作するのはどうかと思った。
ある日突然弟子が悪に目覚め、従わぬ他の弟子を殺して逃げたって語ったけど、
それは随分全容とは違いますよね?
そんなルークは見たくなかったし、そんなジェダイ・マスターも見たくなかった…。
むしろその件で己を恥じてジェダイマスターを廃業して、
レイちゃんに告白懺悔してほしかった。
いやこれまでのジェダイ・マスターも相当あれだったけど、今回は無理だ。

カジノ潜入エピソードが今回全く無駄筋だった。
むしろ輸送船での脱出計画が漏れる結果になって
レジスタンス数十名とか下手すると百名とかの命を奪った。
失敗が成功を産むというセリフがありましたが、それに人命をBETするとなると、
ファースト・オーダーと比べてレジスタンスが平和的理知的な組織だとは思えなくなる。
そして自分の意に沿わない組織を、武力で威圧して従わせようとした男
(命令違反2回目)に降格以外の処罰を与えないレジスタンスグループはあかんと思います…。
あとホルド提督は作戦の全容を参加者に説明すべき…。
EP9冒頭で、ダメロンが独房にぶちこまれていて処分待ち、
DJが物語に深くかかわってきて成功の鍵になるのなら納得する。

あらすじの問題点

レジスタンスの一団を、ファースト・オーダーが攻撃してくる→
レジスタンス側の攻撃隊が全滅するが残りの1機の自己犠牲的な攻撃により撃退

実は追跡装置を仕込まれていて、ファースト・オーダーの大軍に攻撃される→
レイア・オーガナ将軍意識不明の重体

ファースト・オーダーの大軍さらに攻撃してくる→
レイアの代理のホルド提督の特攻で助かる

古い基地施設に逃げ込んだレジスタンスを包囲するファースト・オーダー→
ある人物が命と引き換えに死守

という風に敵の攻撃が繰り返され、そのたびに誰かがメガンテを唱え、
レジスタンス側の反撃はことごとく上手くいかず、どんどん人数が減っていくので
ストレスが溜まります。MMFR形式の話ってやっぱりすごく難しいんだよ。
というかファースト・オーダーくんたちは
なんで小分けにしてチョコチョコ来るの?バイトが集まらないのか?

総括

もう何年前から言ってるか分からんですが、
ジェダイの資質を持って生れた子は、その代償に情動不安定なところがあるので、
能力の消去を求める者のためにその資質を消す方向の科学技術も開発すべきでしたね…。
飲んだら1日中眠いけど、フォースのこと何も感じ取れなくなったよ!みたいな薬とか(花粉?)。
あと現時点でファースト・オーダーは別に銀河支配している訳でもない、
地方のなんかイキった集団だった筈なので、一方的な虐殺を動画に収めて
動画サイトで配信してはどうか。ないのかな宇宙YOUTUBEみたいなの。

あとレイちゃんが白のワンピースを着て戦いに出たら即オチ1コマだと思うよ…。



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「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」

2017年12月13日 | 特撮映画

仮面ライダービルド、仮面ライダーエグゼイド、
仮面ライダーゴースト、仮面ライダー鎧武、
仮面ライダーフォーゼ、仮面ライダーオーズが共演する豪華映画です。
仮面ライダービルド世界は突如出現した謎の壁によって
日本が3つに分断されているので、他のライダー世界と設定が合わせにくく、
並行世界設定が採用されました。

主人公回りのカプへの配慮が素晴らしく、
特にオーズの2人が好きだった人は絶対見るべき映画です。
うっわー!まじかー!ここまでやってくれるのかー!わー!
って感じにフォーカスされてました。

むかし並行世界研究をしていた悪い大槻ケンヂが
並行世界同士をぶつけようとするのをライダーが阻止する話ですが、
まあ正直大筋はどうでもいいというか、
やっぱりライダーの皆さんが格好いい。
あと脇役の皆さんもいい味。
特におなりと社長による息の合ったコントは大変良かった。

猛烈に忙しいだろうに出演してくれるとか
さては福士蒼汰さん滅茶苦茶いい人だな!?って好感度爆上がりでした。
一列に並ぶとその腰の細さはどういう事だよ…ってなった。

鎧武って最終回で何か別世界で超人的な存在になってたと思ったんですが、
なんで釣り人みたいな恰好してるの…?

並行世界は時間の流れが違うってくだりで
小さき人たちが飽きてざわざわし始めたので、
ああいう説明は変顔とかしながらのほうがいいのではないかという気がした。

ドライブとウィザードが抜けてるのは何でだろうとかちょっと気になりますが、
全体的によいコラボ映画でした。


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「否定と肯定」

2017年12月11日 | 実話系

実際にあった、アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件の映画化。
アメリカのホロコースト研究家の教授がその著作の中で、
とある英国人歴史家をホロコースト否定論者でその主張はでたらめだと指摘するが、
英国人歴史家が名誉棄損で訴えたため、英国の法律に則って
彼女は英国人歴史家のホロコースト否定論が虚偽であると法廷で証明しなければならなくなる。

ホロコースト否定論者のひとがほぼ完全悪として描かれています。
本人が見たらどういう気持ちがするもんだろうこれ。
彼の手口は、虐殺を生き延びた証言者たちを追求し、
ささいな記憶の欠落を責めたて嘘つき呼ばわりし、
ガス室は死体を消毒する場所だったと強固に主張するというもの。
自身の人種と性別が自尊心に直結していて、
ヒトラーの思想が自尊心の養分となっているため、それを否定されると死ぬのかな?
という推理が可能でした。映画内の設定では。

彼が裁判に勝つことはあってはならないので、非常にハラハラした。

マーク・ゲイティスさんとアンドリュー・スコットさんの
SHERLOCK組が出ている。

判決の結果ばれ

人種差別主義、女性差別主義、ヒトラー崇拝、声のでかいオッサンという
ある種の役満みたいな人物を
かしこい人たちが社会的に拳で叩きのめす映画なので、
とてもすっきりする。そういうエンターテインメント。

しかしこんなに脇が甘くて負けの見えてるオッサンを放置しておくということは、
少なくとも1996年の時点ではホロコースト否定論者やネオナチには組織力や財力がないのだな…
と思ったけど、この映画の元となったリップシュタット女史の手記を見ると、
アーヴィング側に4千人を越える資金提供者がいたとのことで、ヒエーとなりました。
中には著名人もいて、手記では仄めかしてあったので、
映画でも最後に字幕で流してとどめをさしたらいいのに、とは思いました。

しかし優秀な拳となった最高の弁護団を
長期間にわたり抱える費用は莫大で、勿論それは教授個人に払えるものではなく、
出版社や大学や、裕福な支援者、おそらく多くはユダヤ人から支払われたのだけども、
忘れてはいけないのは、悲劇はどんどん風化するし、
ある日突然なかった扱いになるかもしれなくて、
お金がなければそれを食い止めるのは難しい事。
この映画とは関係ないけど、
たとえばホロコースト関連映画の本数と
アメリカ先住民虐殺に関する映画の本数の差にも
それは表れていると思う。
あと結果的に学術の正当性の可否を裁判所で争う事になったのは少々危うい。

法的には、誤った事実を本人が信じていて、
それを言い散らす分には何の問題もないが故に、
事実を知りながら故意に歪曲していた証明が必要だそうで、
裁判の終盤にちょっとヒヤリとするシーンがあるんですけど、
インチキ治療にインチキ健康法、ウソの歴史、有名人に関するデマ、
あらゆる妄言がすぐにネットで拡散される現在、
なにか法を補助するシステムが必要かもなあと思いました。

それにしても旗色が悪くなるとすぐに話題をずらして、
相手が答えに詰まると「完全勝利!」って宣言するメソッド、
万国共通なんだな。どこかに教科書でもあるのか。



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「オリエント急行殺人事件」

2017年12月10日 | サスペンス映画

監督・主演 ケネス・ブラナー
40年ぶりくらいの再映画化。
豪華キャスト、列車の美しい内装、小道具とくに食堂車のぱりっとしたクロス、
洒落たカトラリー、丁寧に作られた食事、
列車内を俯瞰で撮影できるセットや広角レンズを使った、凝った画、等々
なんとなく懐かしい古き良き大作映画という感じの作品でした。
あと列車旅行に出たくなる。

登場人物の年齢や関係性にちょっぴり改変あり。
あと登場人物が減りましたが、別に問題はないです。
感情面に訴える演出に特化してましたが、現代風で良いと思います。
ケネス・ブラナーのポワロも違和感なかった。
(原作の初期の設定では小柄で細身)
名優の方々がネームバリューに恥じぬ仕事をなさっていて、
とくに終盤の犯人のかたとポワロさんのやり取りは非常にいい演技で、
オリエント急行を何度もみてる私でも結構泣きました。

内容ばれ

冒頭のラビと神父とイマームの事件、私でも犯人が分かったというか、
全財産賭けてもいいというか、彼が犯人じゃなかったら
オリエント急行どころじゃないよと思いました(笑)

突然マーベル映画のような鋭いアクションが始まって、
なんぞ!?ってなりましたけど、
中の人が私でも名前を知っているダンサーさんでした。
すごい回転のキックだった…。

綺麗な構図や画面がいっぱいあったんですけど、
特に終盤の横一列の並び、
冒頭の列車の外側から車窓の内側の登場人物を1人1人映していくシーン、
ラストの、ポワロさん視点の食堂車に配置された登場人物たち、
立体絵画という趣で見応えがありました。
人物が窓に映ったり、カッティングガラスを通して複数に見えたりする絵も良かったなあ。

ナイル殺人事件に続くという引きでしたが、実際続編の話はあるようです。
わー、出来れば見てみたいです。
情勢的にロケが無理ならCGでいいので!



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