映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「シン・ゴジラ」

2016年07月31日 | パニック映画

予告編からアカン臭いがぷんぷんしてたので、
全然期待せずに行きましたが面白かったです!!
TV版のエヴァが好きなかたなら間違いなくお好きだと思います。
主人公の特攻スローモーション、泣いて心配するだけのヒロイン、
ヒステリーを起して叫びまくる人々、感情的で無能な大人、世界を救う十代、変なポエム。
邦画の病理が完全排除されてました。それだけでも爽快でした。
代わりに登場するのは大人たちです。名前もないような多くのキャラクターたちが
英雄的行為によってでなく淡々と職務を全うして日本を守ります。

この映画ではゴジラの脅威と同じくらい人間の強さが描かれますが、
突出した才能の力ではなく、並列つなぎによって能力が発揮されるところが
地味かつ日本っぽくて実にいいです。
誰が死んでもどんどん代わりが出てきて目的を果たす、
それが悲劇ではなく、格好よく演出されます。

邦画がつまらないという批評に対して、
お金がないからだ!という言い訳が過去にありましたが、
ゴジラがビルを壊すのにはお金がかかります。
じゃあ経費を減らすためにはそこを映さなければいい、
ゴジラを静止させればいいというアイディアがあり、
そこを逆手にとって格好いい展開が次々来ます。
これは盲点だった。誰でもできることではないけど。

あと日本の名脇役さん大集結でした。
橋本じゅんさん、片桐はいりさん、古田新太さんがセリフ一言!
前田敦子さん、粟根まことさんは見つけられなかった。
松尾諭さんと野間口徹さんのSP組が活躍しますし、
國村隼さん相変わらず素敵でした。小林隆さんも。
(柄本明さんはちょっと息が苦しそうで気になりましたが、演技…?)
いかにも院卒の理系の人っぽいヒロミさんを演じた市川実日子さん、
印象強かった。ナチュラル眉、すっぴん、セットしてない頭、愛想ゼロ。
普通こういう女性はヒステリー女として描かれる事が邦画では多いですが、
ギーク枠で活躍してた。ラストのセリフと表情には男女ともにキュンとしたと思います。
ちなみに主役は進撃の巨人で髭リンゴ男だったひとです…。
物語の面白さに関しては、役者さんが寄与できる部分は少ないと痛感しました。

内容ばれ

庵野さんの頭の中の、ものすごい高性能大容量のシミュレーターが演算した、
怪獣出現の際に日本に何が起こるかの精密なシミュレーション映画です。
圧倒的情報量。劇的に予算が減らせる。尚且つ面白い。

それらは避難中も動画撮影をやめない人々であり、
ゴジラの保護を主張する団体であり、運によって生死を分ける瞬間であり、
全ての決定に会議を必要とする仕組みであり、
対策本部の人間のカップ麺の食事であり、臭うシャツであり、
最終的にものを言うコネであり、熱核兵器の使用が諸外国の多数決で決まる描写です。
でもその一方でアニメ的なエンタメも忘れず盛られているのがすごい。

真面目な話としては、日本を守ると言っても、日本に住んでいる人間を守るのと、
日本の経済を守るのと、諸外国に対する日本の立ち位置を守るのは、
対処法がかなり変わってくるなと思いました…。
あと首都圏が重要云々の話のところで、人口比率が根拠に出されたんですが、
「ああ、じゃあ最悪首都圏以外が全滅しても関東が残ってれば日本は立ち直れるな…」
と思いました素直に。

この映画の欠点はと言えば、小さなお子さんは大人が会議をしているシーンが長くて
退屈しちゃうかもな…って点です。あとゴジラ第二形態がこわくて泣いちゃうかも。



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「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」

2016年07月21日 | アニメ映画

クリスタルを保持し、魔法文明の栄えるルシスと、
科学技術の発展したニフルハイム、
2国は長い年月交戦状態にあったが、とうとう戦争の終結する時が来て、
王都以外の領地の放棄を条件に
実質的にはルシスの降伏という形で和平条約が結ばれる事になる。
しかし水面下では陰謀が進行していた……というあらすじ。
フルCG映画です。映像は現在私が見てきたフルCG映画の中で最高峰です。
手の甲に浮いた血管、顔のシミ、しわ、体毛、個別に違う耳の形、
それぞれ違う歯並び、ほつれた髪、うわー!って感じでした。
ん?って思ったのは、手ほど精巧でない素足とあと重量感。
それとシーンによってはちょっと上下左右が分からない箇所があった。

「王の剣」達が使う魔法のエフェクトが斬新で、
あの光の破片と火の粉がキラキラする演出がよかった。
短剣で座標を決めて、
肉体を原子レベルで分解再構築しているのかな?と思ったけど
どういう理屈なんだろうあの転移魔法。

途中から「パシフィック・リム」になって大変燃えた。
FFファンにはお馴染みのモンスターとの戦闘
よく考えたらあれが何なのか分からないと燃えが半減するだろうから、
FFファン向けなのかも。あとCG好きのひと。
主人公の性格は、熱血ではなくかといって曲がっている訳でもない、
好ましい感じだと思います。
妙に若者の少ない映画で、おじいちゃん活躍なのが良かったです。

そうだ!私は全然気にならないんですが、声が棒気味だと集中できない人にはつらいかも!

内容ばれ

第一魔法障壁が格好良くて
「ウェーイ!!」ってなりました。
意味ありげに彫像が映った段階で、
「この彫像ゲームで動いたりするだろうな…」とは思ってましたが、
映画でやっちゃうのか!
笠かぶっているやつが、マントなしの用心棒さんに見えたけど
どうなんだろう…あれ全員ナイツ・オブ・ラウンドらしいので違うかな。

王と、相棒らしきおじいちゃんの2人に萌えました。
公式サイトを見たら彼等は幼馴染なんですね。うむ。
若い頃はさぞや無茶苦茶な戦いぶりだったに違いない。
指輪を継承する儀式の前夜は、やめろとかやめないとか、
きっと色々あった筈…。
でもこの2人は、王が死ぬとソロリティに強制入会させられるので、
もう2度と会えない悲恋。
それともゲームの方で指輪キングスが解放されたりするかな?

王都インソムニア、魔法文明の国のわりには
普通に車が走っていて、なぜかナンバープレートは日本式で、
あと標識や広告を見るに平仮名と漢字が使われていて、
????となりました。
あと首都の名前が「不眠症」ってあんまりだと思うんですが、
スペルは違うのかな?

あと被差別対象として「移民」という言葉を充ててましたが、
スクウェアはいつもそこらへん特に掘り下げたりせず
ふんわりしたまま終わるので、ハラハラしました。
別の言葉の方が良かったのでは…。



エンドロール後に1シーンあります。
でも割と本編が切ない終わりかただったので、
あのほのぼのとしたゲームへの引っ張りに若干腹が立つかも…。




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「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」

2016年07月20日 | SF映画

1996年上映の「インデペンデンス・デイ」続編です。
20年前に撃退された宇宙人がまたもや攻めてきたぜ!という話。
私は前作を20年前に1回見たきりなので、
大統領が感動的なスピーチをした事しか覚えてなかったのですが、
結構話がつながっているので、前作の復習をしておいたほうがいいかも。
映像はアップデートされていますけど、
あらすじが20年前くらいの映画の懐かしい感じで、
でもたぶんこれはわざとなんだろうな。

ブロマンスは各種年齢ペアがわりに豊作です。

内容ばれ

・宇宙人のIQが下がった。学力低下が社会問題になってそう。
・元大統領はどうしてあんなに死のうとするんだろう…。
・女性キャラクターが(最近のエンタメ映画と比較すると)びっくりするほど古い。
・ヒロインは「イット・フォローズ」主役の子です。
 でも彼氏と父親を心配する役割のエアヒロイン。もったいない。
・科学者組の友情泣かせる。眠り続ける彼を見守っていた訳ですよね?
 ところで白のシースルーぱんつと、透けて見えるお尻は、
 あれはサービスシーンなんでしょうか。すべてがクラシックな映画なのに
 そこだけ新しいです。
・なんかバファリンみたいな新勢力。
・なんで宇宙人はラスボスがやられると
 ザコ隊の動力全機能がダウンする仕組みになってるんだろう。
 非効率的じゃないすか。もっと部下を信頼したまえよ。
・皮肉もギャグも病理も差し挟まずに
 直球で「世界警察USA!」をやっちゃう度胸に驚嘆した!




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「ファインディング・ドリー」

2016年07月18日 | アニメ映画

2003年「ファインディング・ニモ」の続編です。
えっ!?2003年!?そんな馬鹿な、13年前!?

前回ニモの探索を手伝ってくれた忘れん坊のドリーが
家族のことを思い出し、父と母を探す旅に出かけるというお話。
とてもピクサーらしい映画でしたが、
私はこの映画を怖く、辛く感じました。
あ、でもこれは少数意見だと思います。

出会う海洋生物たちはみんな親切で、
出来る限りドリーを助けようとしてくれます。

この映画は吹き替えも結構おすすめ。

内容ばれ

海洋生物研究所のアナウンスが
元の声がシガニー・ウィーバー、吹替えが八代亜紀なのですが、
ドリーが頻繁に八代亜紀の名前を出すというギャグがあって、
それがわりとおかしいのでおすすめです。

ドリーは記憶の保持が2秒ほどしか持続せず、
聞いた話も、自分の喋った内容も忘れ、
目の前の物にすぐに注意を奪われ、
自分が何をしていたか、どこにいるのかが分からなくなり、
分からなくなったことにパニックを起こし、
周囲に助けを求めるが、何を助けてほしいのか分からないという状況が何度かあり、
主人公がその状態で、それをずっと見ているのはつらいものがあった。
「ズートピア」ではかなりオブラートにくるまれていたけど、
この映画はオブラート少なめで、全員の諸問題に関してもテーマをぐいぐい押しだしてくる感じ。

蛸のハンク、めっちゃいいやつだった。
声は普通に声優さんだと思ってたら上川隆也さんで、経験者とはいえ上手いなあ!
(ハンクに関しては結果オーライとはいえ、元々の夢を叶えさせてやれよ…とは思った)
ジンベエザメの子もイルカの子もアシカもラッコもアビもみんなコミカルでいいやつ。

そしてドリーの持っている妙な知識が、実は失われた記憶に繋がっていたのが
次々と分かるところは面白かったです。
監督は「ジョン・カーター」で、ちょっと興行成績のやばかったアンドリュー・スタントン。
よかった、干されたんじゃなかったんだな!


同時上映「ひな鳥の冒険」はめっちゃ可愛かった。
しかしあれ、描くのにどれくらい時間がかかるのか見当もつかぬ。



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「ブルックリン」

2016年07月13日 | 成長モノ

故郷アイルランドに姉と年老いた母を残して
アメリカに職を求めて移り住んだエイリシュは
ホームシックに苦しみながらも
デパートに勤め、夜学で簿記を学び、恋人も出来て
充実した生活を送っていた。
しかし転機が訪れ、彼女は選択を迫られる、というあらすじ。

描写が細やかで、エイリシュの心情の変化ももちろんですが
1950年代のアメリカの生活、移民事情が丁寧に描かれ
見応えがありました。
登場人物は、あまり好ましくない感じに見えた人でも
実はいい人だったりして(1名除く)、ストレスなく見られました。

地方から1人で上京して働いてる女性は、
特に胸にくるものがあるかもです。

ラストばれ

半世紀前にアメリカに渡ってきて都市を造っていた人たちが
年老いて職もなくお金もなく孤独で…というシーン、
あそこで歌われたアイルランド民謡が滲みた。
「Casadh an Tsugain」という曲のようですが、
さっぱりわからない言語ながら、メロディは妙に懐かしかった。

主人公のお勤め先のデパート、内装が素敵でした。特別な空間という感じ。
気送管が当時デパートで使われてたなんて知らなかった。
女子寮も、最初は胃が痛くなりそうだったけど、
やっぱり華やかでいいですね。
当時のコニーアイランドって定番デートスポットかつ
あんな風に壮絶に混み合ってたのですね。
船室でのやり取りも興味深かった。
当時パスタが一般的ではなく、主人公が食べ方の勉強したりするのも。
(イタリアからの移民は何十年も前に来てる筈だけど広まらなかったんだ…)
そういえば女優の排泄シーンのある映画を探し求める一部の男性方に
「ブルックリン」はシアーシャ・ローナンの排便シーンがありますよと教えてあげたい…。


男性不在の家を気にかけて就職口や学業の援助をし、
ショックな事があればすぐにメンタルケアをしてあげるという
教会というシステムは、長く続いてきただけあって優れてるなーと、
神父の児童性的虐待を扱った映画「スポットライト」を見たあとでも
思わざるを得ない。神父さんがものごっついい人だった。

イタリア人彼氏とその家族、好ましい人達だった。
アイリッシュといえば警官、イタリア人といえば配管工なのかな?でもなんで?
この映画は、彼女を絶対に戻ってこさせようとするイタリア人彼氏と、
娘を自分の近くに囲い込もうとするお母さんの、頭脳戦という一面もあったけど、
彼氏が打っておいた手が後になって効いてきて、彼氏が勝った。
運も彼氏に味方した。

ただ1点腑に落ちなかったのは、
結婚の事を周囲に黙っていたのも、
かつて故郷で望んでも得えられなかった職や
ハイクラスの男性からの求愛で心が揺らいで、
結果的に相手男性を騙して傷付ける形になった(あのひと女運ない…)のも、
何の落ち度もない夫を裏切りかけたのも、
まあ当時の結婚制度は女性に厳しかったので一部分は仕方ないかもだけども、
最後雑貨屋の性格の悪いおばさんにいじめられた主人公かわいそう!田舎サイテー!
みたいな演出になっているのは「……?」だった。
雑貨屋のおばさんが性格悪い人なのに異論はないけど
お蔭で道を踏み外さずに済んだのでは…?

周囲に助けられて成長したエイリシュが
(お姉さんが特に天使だった)
最後には人を助ける立場になっていたのがいいですね。



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