映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「J・エドガー」

2012年02月22日 | 実話系


FBIの創設者の物語で、
またいつものイーストウッド監督の、
強大な悪意と、対峙する鉄の魂と、
そして今回はちょっとだけゲイ要素…
と思っていたら違いました。
ゲイの純愛映画でした。
イーストウッド監督が盤寿にしてBL映画を撮られましたぞー!
監督まだまだお若い!すごい!

二次創作をするにしても、生半可な腕前ではエピソードを足せないような
渋いバランスで作ってあって、さすが巨匠だと思いました。

内容ばれ

・ディカプリオの老けメイクがマイケル・アイアンサイドに見えた。
・スーツって、肩幅さえちゃんとあったら、腹廻りは太っても目立たないな。
 ある意味チュニックだな。上等のスーツ、目の保養でした。
・図書館の本を分類してカードで検索するのってこの人の発案なの!?
 だったらすごい尊敬する。
 けど1900年以上そのことを思いつかなかった人類は馬鹿だと思う。
・ああいう苛烈な性格の人は、ああいう柔和なひとを好むのすごく分かります。
 あの柔和なひと、育ちの良さそうな顔だなと思ったら
 中の人が石油王のお孫さんで、本当に育ちの良い人だった。
・でもあの柔和な人、自分の夢を捨てて一生を捧げて、
 それで願う事って、1日1度は必ず食事を共にするってささやかな事で、
 一途すぎて怒りがわいた(エドガーに)。
・友人同士である男性が、「2部屋とるより安い」と言って
 スイートに泊まるのって、二次創作以外で初めて見ました。
・好きな人と、楽しい旅行で、手とか握っていい雰囲気で、
 それで言われた内容があれって本当に酷いと思う。
 可哀想で見てられなかった。
・でもプリ夫側の事情もよく分かって、大好きな母親に
 「オカマの息子なんか死んだ方がましよ。あなたがオカマでなくてよかった」
 って言われて、誰でもいいからともかく結婚しなくてはならなくて、
 全然興味がないからプロポーズがいつも適当で、
 あれではみんな不幸だ。
・嘘つき見栄っ張り小心者の癇癪持ちのエドガーだけど、
 最後に大切な人に、言うべき事を言えたのは偉かった。
 愛する人に泣いてもらえたなら、途中はどうあれいい人生ですよ。
・逆にミス・ギャンディとの絆は友情!って感じだった。
 年を取ったらああいうスーツを着て真珠のアクセサリーをしようと思いました。
・ラストでは割と皆マジ泣きしてた。 
 

関係ないけど私のむかし読んだ本には、
リンドバーグ愛児誘拐殺人事件の犯人はリンドバーグの姉って書いてました。
wikipediaを見たら、リンドバーグあやしい説も出ているのですね。


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「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

2012年02月21日 | 人情系
この映画と原作の関係は、ドラクエの嫁選びのようなもので、
どちらかを選んでしまうと、もう片方に拒否反応が出ると思う。
なので映画を見て気にいった人は原作を読まない方がよいし、
原作を読んで気にいった人は映画を見ない方がよい。
(なかには両方愛せる人もいらっしゃるかもですが)
逆に映画を見て「いまいち…」と思った方は原作を読まれるとよいかも。
私も原作を読んでいなかったらもっと熱心にこの映画を褒めていたと思いますたぶん。


あらすじ
9.11で犠牲となった父親の遺品の中から
「BLACK」と書かれた封筒と、その中に入った鍵を見つけた少年は、
父の残した謎を解くべく、BLACK姓を持つすべての人を訪ねる探検を始める。

いい映画です。
原作のエッセンスを残しつつ、
より多くの人に好かれ、より多くの人が感情を動かされるように
キャラクターとあらすじに改変を加えてある。
原作は9.11がきっかけではありますがメインではないし、
主人公は多くの人に愛されるキャラクターではないし、
誰でも何かを得られるという類の物語ではない。
でもだからこそ限られた人に熱烈に愛される小説だと思います。

内容ばれ

なにしろ一番印象的な、あらすじの真芯のエピソードが
映画オリジナルなのです。
あとわりと重要な人物が1名、存在を消されている。
あ、でも原作だとお母さんの扱いがちょっと酷いと思っていたので、
そこのところは映画の方がいいな。

・冒頭部分、生え際が映ったら「あー、トム・ハンクスー」って思った。
・主人公の顔は綺麗すぎて怖い。美少年通り越して美女の顔なんだもん。
 しかも美女と違ってメイクなしであれですよ。
・マックス・フォン・シドーはいい仕事してた。
 でも過去の一切合財カットされたので謎の人物だった。
・ホーキングの返事のくだりはカットですよねー。
・主人公が事件以降苦手になったものの1つ「イスラム教徒」などは
 ますますカットですよねー。でも抜けてると不自然ですよ。
・主人公の残酷ノートもカットだよね。
 でも映画のあの創作ノートは、すぐに仕掛け絵本として
 売れるレベルの完成度だと思う。
・最後のあの棒人間の浮上は、お父さんが逆回しになって助かった絵だよって
 全員に伝わったかな。気になる。



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「ドラゴン・タトゥーの女」

2012年02月20日 | サスペンス映画

北欧の横溝正史とも言うべき、
猟奇殺人と血族と陰鬱な土地を描いたベストセラーが原作です。
ハリウッドリメイク。
私はSW版3部作を見ていて、原作は読んでません。

あらすじ
大企業ヴァンゲルグループの前会長は36年前に失踪した姪の行方を捜していた。
彼女は一族の住む島からある日突然姿を消し、現在も死体は見つかっていない。
前会長は事件の再調査をジャーナリストのミカエルに依頼し、
成功した暁には、ミカエルが出版社を去る原因となった
実業家ヴェンネルストレム不正事件の、重要な証拠を渡すと約束するのだった。
ミカエルの助手として、少年のような容貌をした
女スーパーハッカー、リスベットが現れる。

フィンチャーなので、一分の隙もない。
SW版の間延びしていた部分は容赦なくバスバス切られてます。
登場人物も整理されていて、覚えやすいように工夫されている。
(ただ予告編の出来が神すぎて、本篇を見てアレ?ってなるのは勿体ない。
あの予告編、OPでも流してほしかったなー)
ダニエル・クレイグのミカエルは、
ハンサムな顔に逞しい身体、優れた知能、でもうっかりちゃんの流され受で
モテモテでも理不尽な感じがしない。

内容ばれ

・60年代のファッションと髪型と靴とかバッグはやっぱり可愛い!
・猫!ダニエルがおやすみの挨拶に手を出したらタッチした!
 EDで「この映画で死んだ動物はいません」的メッセージが
 出てなかった気がしますが、当然大丈夫ですよね。
・コテージの窓が一重で、戸はぺらぺら。大丈夫なのか!?と思った。
 あとあんまり積雪はすごくなさそうな描写。
・エンヤ……はどうなんだろう。よくああいうシーンで
 ワーグナーがかかったり童謡がかかったりはするけど、
 エンヤはどうなんだろう。いやせめてオリノコフローは違うんじゃないかと。
・首を吊られているのにお酒のグラスを渡されると受け取ってしまうところが
 ダニエルミカエルは流され受だなあと思いました。
 原作だとあのまま本当に襲われそうになるんですよね。
 リスベットの百合シーンはあったんだから、そっちもいれてよフィンチャー!
・プリンタがエプソンだった。ロゴが2回も映った。
 インクすぐなくなるのにあんな僻地でバンバン印刷しまくって大丈夫なのか。
・女性凌辱描写はSW版よりややマイルド…?のような気がした。
 変態弁護士は微妙にへたれ風味。
 (SW版のは真面目に気持ち悪かったですがあれはハゲのせい…?)
 ハリエットだけでなく兄も奉仕させられていたとか、
 (SW版ではなかった設定。原作はどうか知りませんけど)
 やや男女平等。
・ハリエットに関する事含め、ラストあたりがかなり違う。
・終わり方がちょっと可哀想。リスベットさんがせっかくデレたのに
 ミカエル無双め……。というか北欧の交際は1対1じゃないのが基本なのか!?

興行成績は順調に伸びているようなので、2・3も作られそうですね。


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「ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵」

2012年02月16日 | アニメ映画

3Dって聞いていて、メガネをかけて飛びだすんだなと思ってましたが、
骨格モデルにテクスチャを貼るほうか!
でも技法がベルセルクに合ってないように思いました。
どっちかというと汚い油彩画がドロドロと動く方がベルセルクらしいような…。

オープニングは、久しぶりの平沢師匠の音楽と三浦先生の絵のコラボ!
懐かしい。登場人物を見ているうちにちょっと不安になる。
え…一体どこまでおやりになる予定なの…?

ネタバレじゃないですが一応反転

・ジュドーのそばかすが消えて(薄くなって)る?
 やだー!そばかす増やしてー!
・みなさん飲み屋でジョッキでワイン飲んでる!?すげえ!
 思わずコミックスを確認したが普通のゴブレットだった。
・中世ヨーロッパ絵画を参考にしたらしき室内装飾や小道具の色合いはよかった。
 とくに暗殺現場の背景にあるタペストリと血の、配色具合は気合入ってたな。
・モブの人達の顔に貼ってある皮膚が大変のっぺりしていて
 黄色人種よりも平板なので、そこだけ見ていると国のイメージが分からなくなる。
 あと、同じく戦争をしているモブの皆さんが
 出来たてのプラスチックのようにぴかぴか綺麗であることに違和感を覚える。
 表面を汚せるプログラムとかはないの?そんな馬鹿な。
・ガッツの過去は、もろに児童性的虐待なので、
 モヤヤーンとしたイメージ映像でお茶を濁してあった。
 漫 画 読 ん で て も わ か ら ん 。
・観終わった後の強烈な食い足りない感。150分にして前後篇にした方がよかったのではないか。
・鑑賞おまけはゾッドでした。捨てた。

映画を見て、この鷹の団あたりのエピソードの無駄のなさとインパクトの強さが
さすが伝説的名作だなーと久しぶりに実感できました。
(特に男性に「ベルセルク」をNO1漫画に押す人は多いし、
私もこの部分だけはコミックスを保管しています)

リドリー・スコットかザック・スナイダーが監督してくれないかな。


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