パンデミック映画です。
でも娯楽作品のようにやたら盛り上がったりピンチになったりしない。
都市荒廃も略奪も抑制された演出で、
あくまでウィルスの蔓延と、その中での人間の行動が描かれます。
多分に小説的です。ソダーバーグ監督、円熟の技巧。
下品にならぬところでサッと描写を切り上げられるし、
後味も悪くなりすぎぬよう、ちょいちょいと砂糖を足される。
絶妙の匙加減です。
物語のキーとなる医師が4人出てきますが、
どの医師も倫理観が高く、真摯で、ウィルスに対する闘争心に溢れています。
そのうち3人が女性です。
これ普通の映画だったら男性が演じる役だよな、というか男女あべこべではないか?
と思うところがあって、それは
内容ばれ反転
未曾有の危機に臆することなく調査に飛びまわり、
粘り強く業務をこなし、自分が感染しても義務を忘れず、
死ぬ間際まで他者を思いやり続ける精神力を持つ女性、
動物実験で効果のあったワクチンを
ためらいもなく自分に投与し、人体実験する無謀さと熱意を持つ女性、
マリオン・コティヤール演じるWHOの医師は女性的でしたが
それでも自分の手の届く範囲の人々を守りたいという気持ちは共感できます。
(培養のノウハウを製薬会社に売って大富豪になれたのに、
米国疾病予防管理センターにデータを提出した医師は、
あれ彼と同じ事が出来る人が世界に何人いるだろう…)
あと、最初に感染してパンデミックの原因になった女性、
大企業の重役で世界を飛び回って、精力的に楽しんで、浮気もするぜって
これも普通だったら男性設定ですよね。
逆にマット・デイモン(太っt…)演じる、
妻の死後に浮気を知り、苦しみながらも娘をひたすら守り続ける主夫、
これは通常なら女性設定。なんだか面白いです。
妻が働いていた会社が中国で伐採しまくり、
コウモリから豚へウィルスの仲介を引き起こし、
そして自分が香港で感染者第一号になって世界中にまき散らし
息子にも感染させて道連れにして、死後浮気がばれるとか
天罰にしても凄まじいな。オーバーキルというか。
感染が広がっていく過程で、各都市の人口が出ましたが
東京だけ異様で噴いてしまいました。
wikipedia見たら「世界最大の人口を有する都市圏」と書いてた。
わー、そうなのか。
感染者多数発生分布図の日本部分をガン見しましたが、
関東と中部はアウトで他はセーフだったっぽい。
(空港と港を閉鎖すれば北海道九州四国は守れるよ!セパレートばんざい)