映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「インフェルノ」

2016年10月31日 | サスペンス映画

ラングドン教授の「いい旅夢気分」シリーズ、
映画では3作目です。(原作では4作目)

イタリアの病院で目覚めたラングドン教授は、
自分が怪我をしており、記憶がないことに動揺するが、
謎の女暗殺者に襲撃を受けて病院を脱出する、という
スパイアクション映画のような始まりをします。
相変わらずイタリアの寺院や美術品は
(どれがセットでどれが本物か分かりませんが)
美しく撮れてました。

しかしいつもと違って今回は教授に記憶がなくて、
しかも頻繁に幻覚を見るので、ちょっとグダグダします。

内容ばれ
大富豪の人も、その仲間の人も、
「人口が増えすぎて、人類が絶滅してしまう!
ウィルスを使って大量殺戮しなくちゃ!」
ってあまりにも短絡的すぎるし、
そのウィルスの隠し場所をラングドン教授レベルの専門家でないと
解けない暗号でヒントにするのも謎だし、
総じて意味が分からない人達だったのですが、
これは「ダ・ヴィンチ・コード」の時と同じく、
敵方の造形の簡略化があったんだろうな、
と想像しながら見てました。(今回原作未読です)

ラングドン教授の幻想シーンは特徴的で美しかったけど、
もうちょっと切って、敵のキャラクター構築をしてもよかったのではないか。
でもなぜかインド人の社長の人は無駄に格好良かった。
接近戦だと100%刺されるな…っていう説得力のある動きだった。

ミッキーの腕時計戻ってきてよかったねえ教授。

アヤソフィアの地下宮殿、行ってみたくなりました。
http://find-travel.jp/article/28415

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「奇蹟がくれた数式」

2016年10月27日 | 実話系

19世紀生まれのインド人でありながら、
ケンブリッジ大学に招聘されて数学を研究した
天才数学者シュリニヴァーサ・アイヤンガー・ラマヌジャンと、
彼を英国に呼び寄せた数学者ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディの友情を描いた映画。

ラマヌジャンは神からのギフトを与えられた真の天才ですが、
数学の世界においては人種、(西欧の価値観では)きちんとした教育を受けていない事、
等々大きなハンデを持っています。
ハロルドは(この映画の中では)ラマヌジャンほどの才能は持っていませんが、
ケンブリッジの教授職という社会的地位にあります。
加えていうなら、ラマヌジャンは強い信仰心を持ち、
妻と家族を愛する男ですが、
ハロルドは無神論者で家族もおらず(当時の大学教授は妻帯しない人も多かった)
人と接するのが上手くありません。
そんな2人が、ラマヌジャンが次々と「発見」する独創的な数式を、
偏見に凝り固まった世間に認めさせるためにチームを組みます。
面白かった。天才と凡人もの、格差友情もの、英国ものが好きな人におすすめです。

二次創作の世界では、他の国の人の漫画や小説は、
言語がネックになって内容が分からない事にぐぬぬする羽目になるんですが、
数学畑の人々は世界のどこでも(アラビア数字使用圏であれば)
翻訳必要なしに「こいつはすごい」「おもしろい」ってすぐに分かるのだなあ、
羨ましい!と思いました。

ラストばれ

最近はイギリスのよい面を描いた映画ばかりを見ていたので、
鼻持ちならない差別的排他的特権階級意識に凝り固まった英国を
久しぶりに見て、「うんうん、これだよこれ」と思いました。
だいたい彼等は差別している意識とかはなさそうで、
実にのびのびとピュアに差別をぶちかましていました。
(差別は悪いことであるというモラルは、そんなに古いものではないし)
(あと自分は嫉妬している、恐れている等の感情の動きを
自覚できるかできないかは、頭の良さに関係ないと思います)

天才には常に、その才能を世間に翻訳する人物が
ペアとなって寄り添うべきだと私は思うんですが、
ラマヌジャンにはハロルドがいて、
更に不器用なハロルドのために2人の橋渡しになるリトルウッドがいて、
この3人のチームは完璧です。リトルウッドは天使。
ところでハロルドとリトルウッドはズッ友で、共同研究を続けていくのですが、
業界ではリトルウッドはハロルドの脳内友達説があったというのは事実ねたみたいです。
wikipediaを見ると、菜食主義ゆえに体を壊したのも、自殺未遂も、1729も、
全部実際にあったんですね。
(そうそう、あの鬼姑が行いに相応しい罰を受けなかったので憤懣収まらぬ感じです。
自分が遠因となってあんなラストになったとはいえ!嫁は姑に腹パン入れてもいい)
(とはいえ実在の人物をほぼ悪役にしてしまって大丈夫でしょうか)

作中、ケンブリッジを去る教授が、次の就職先はオックスフォードだと告げ、
呼び戻されるのを待つって言っていて、オックスフォード<ケンブリッジなのか?
と思って調べたら、そんな感じでした。
オックスフォードは政治家が多く、ケンブリッジは一流研究者が多いのですね。
学力もケンブリッジの方が高い。
ちなみにラマヌジャンがケンブリッジを去った数年後に、
トールキンがオックスフォードの教授に就任しています。時代感把握。

ラマヌジャンが、数式は女神から与えられる
って告白したときのハロルドの顔がすごくかわいかった。まばたきの使い方が。
東洋の神秘は信じられないが、君は信じるって言う、
ハロルド渾身の譲歩のときの顔とか。
あとお別れのときの、「ハグどうしよう…ハグ…」っていう
2人の間の空気感。(独りスタオベしそうになりました)

「神の御心でないなら、数式など何の意味もない」
というラマヌジャンのセリフが好きです。



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「われらが背きし者」

2016年10月26日 | サスペンス映画

「裏切りのサーカス」「誰よりも狙われた男」などの
超硬派スパイ小説で知られるル・カレ原作。
モロッコでの妻との旅行中にロシア人の男と知り合った大学教授の主人公は、
彼とテニスをしたりパーティーに招かれたりなどして親交を深める。
しかし実はロシアのマフィアの大物であった男は、
組織の情報と引き替えに、自身と家族の身の安全を
英国政府に要求しようとしており、主人公に助力を求める、というあらすじ。

登場人物の大半がエージェントであり、
覚悟の上で命の遣り取りをしていたこれまでの映画化作品とは違い、
主人公夫妻は大学教授と弁護士という素人なので、
すごく話が分かりやすいです。
ラノベの「俺、一体どうなっちゃうの~!?」系というか。
でも大学教授とロシアンマフィアの友情ものだと思います。
(って書くとまるでBLですが)

内容ばれ

あのヘリのシーン、瞬間は映ってなかったけど、
地上から何か発射されたような音はしなかったし、
もとから爆発物が仕込まれていたか、
ヘリの発着位置が漏れてたのではと思います。

あれだけ頭のいいロシアおじさんと、
あれだけ用意周到なMI6おじさんがプロデュースした逃亡なのに、
娘の携帯電話とMI6おじさんの元上司くんお宅訪問で、
ものすごいヘタを打って台無しになったので、
なんでやねん!という気持ちです。
娘さんは素人の若い子だから仕方ないかもですが、
なんでMI6おじさんはわざわざ元上司の家に行って
「お前のやばい証拠握ってるぞバーカバーカ」などと
意味のない煽りをしたのでしょう…
そりゃあ相手だって何らかの手を打つよ…。

教授は正義感の強い人で、特に弱者が虐げられていると
自分の身の安全を忘れて立ち向かってしまう人。
ロシアのマフィアおじさんはそこに惚れます。
(たぶんマフィアおじさんの最初の殺人の件と重ねている)
なんとなく任侠映画の世界。

ル・カレさん原作映画でこれまで私が見てきたものの中では
初めて勧善懲悪と言えるラストかも。



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「スター・トレック BEYOND」

2016年10月25日 | SF映画

監督はジャスティン・リンさん。JJから交代しました。
ワイルド・スピードシリーズを後半あたりから監督しておられます。
今回はキャラクターたちの魅力が前面に出て、
色々と派手にぶっ壊れ、お祭り騒ぎ的な印象のあるお話ですが、
どっこい人間の暗い情念も描かれ、
そして亡くなられた2人の役者さんへの追悼の意をこめたシーンもあり、
明るいけれど、終わるとしんみりしてしまう感じです。

救助要請の緊急信号を受け取り、
発信元の惑星に向かうカーク船長とエンタープライズ号。
しかしそこには恐ろしい陰謀があった…というあらすじ。

内容ばれ

アー!プラモデルで一番ポッキリいきそうな所が!
そして接着剤でくっつけるのが難しい所が!アー!

大筋が荒っぽく、伏線が細やかなミスマッチが面白かった。
楽しい伏線の数々はペグさんのお仕事かな?って気がしました。
今回はスポックと船医の気の合わないコンビが
ギャースカ言いながら冒険していて楽しそうでした。
船医はいちいちツッコミをいれてくれるところが優しいですね。

カーク船長は族のヘッド的なやんちゃな感じが薄れて、
責任を重んじる指揮官らしさが芽生えてきたような。

あのエンジニアの宇宙人女子が
「キングスマン」で両足義足のアサシンを演じたソフィア・ブテラさんだとか、
あの劇的ビフォアアフターの宇宙人男子が
「パシフィック・リム」で司令官を演じたイドリス・エルバさんだとか、
全然気付かなかった…。
ところで年配のオタクは今回の話を見て
「マクロス…」とか「ジャミラ…」とか思う気がする。
年配のオタクだよ。私じゃないよ。

あと、今回の仲がこじれた理由は酷すぎるので、
ウフーラはスポックをビンタしていいと私は思いますがどうでしょう。

ドバイロケをしていたみたいですが、どのへんがドバイだったのかな?
ヨークタウン基地の都市風景?


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スーパー歌舞伎II(セカンド)「ワンピース」

2016年10月24日 | 舞台

シネマ歌舞伎として、映画館での上映が始まりました。
とっても評判が良くて、チケット瞬殺だと聞いていたので、
上映してくれて嬉しいです。
この秋に再演が決まっているそうです。
内容は、シャボンディ諸島を経て、インペルダウンへ行き、
そして頂上戦争編までです。
えっめっちゃ大変じゃない?大丈夫?って思ってましたが、
わりとちゃんと収まってた。
歌舞伎としての体裁を極限まで削って、
ワンピース世界の再現に尽くしておられました。
( スーパー歌舞伎を見るのは初めてですが…)

エースがとてつもなく格好良かったので、
エースが好きな人は多少無理してでも見に行くといいと思います。
炎の表現が良かった。
プロジェクションマッピングと、赤い布と、赤い照明と、あと本物の炎、
場面によって使い分けてあったり又は組み合わせてあったりで
迫力がありました。

内容ばれ

ニューカマーランドが舞台に出現したときは、
「こ、これが歌舞伎…!?」って思いました(笑)
さすがにイワさんの頭部は通常サイズでしたけど…。
ボンちゃんとかゾロとか、サンジとかは、
漫画がそのまま3次元化されたような再現度でした。
ナミはちょっと違う…って思った。
見た目じゃなくて気性が飲み屋の女将みたいだったんだもん…。
あとチョッパー、形態が3種類ほどありましたが、
(人形、大人が演者、児童が演者)
最初のバージョンはやっぱり「チョッパー!!!!??」
って思いました。

ルフィの腕はプロジェクションマッピングと、
あと6人の黒子の腕を繋いで表現してありました。
影を使ったり、大道具を使ったりした各人の能力表現も凝ってました。
あと舞台で大量の水を流したり、
客席の上を巨大なクジラが泳いだりするの凄かった。

余談ですが出演者がほぼ市川と坂東と中村で埋め尽くされる中、
違う名前の人はとても目立つ…。
エース役の人は歌舞伎役者ではなく俳優さんなんだな。

舞台のライブビューイング系は、
各種割引デーに対応していない事が多いので、
ご鑑賞の際はご注意ください。

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