映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「トゥームレイダー ファースト・ミッション」

2018年03月26日 | アクション映画

過去に2作品撮られた、女性冒険家ララ・クロフトの物語が
アリシア・ヴィキャンデルさん主演でリブートされました。
日本が舞台なんですけど、そこのところは全然宣伝されないな…?
と思っていたら、日本でのロケなし、日本人は登場せずでした。
最近は「ブラック・パンサー」や「リメンバー・ミー」など
他国の文化を徹底的に勉強、リスペクトしたエンタメ作品が続いていましたが、
もうこのめっちゃ雑な服飾に建築に文字…日本史まる無視…
懐かしい洋画テイスト…いやこれはこれで嫌いじゃない…
ってなりました。

クロフト財閥の令嬢ララは、失踪した父の死を認められず、
家を出てメッセンジャーとして貧乏生活を送っていた。
しかし弁護士から父の残したからくり箱を渡されたララは、
彼が日本の女王卑弥呼の残した邪悪な魔法を見つけるために
隠された島「邪馬台」に渡った事を知り、後を追う…というあらすじ。
私はゲーム未プレイ、映画2作品は見てます。

この映画のためにトレーニングを積んだアリシア・ヴィキャンデルさんの
筋肉がすごい。ムキキッ。
ピンチにつぐピンチを筋肉でクリアしていきますが説得力があります。

卑弥呼の魔法の正体は結構面白かった。

内容ばれ

7年もあの人数を食わせる食料をどうしてたのとか、
爆薬弾薬燃料衣類薬品機材ベースキャンプの資材の補充はヘリで運搬してたのか?とか、
日本側は当然把握してないとおかしいけどどうなのとか、
キツネ狩りのシーン長すぎるとか、ララの初めての殺人のシーン必要か?とか、
積み荷を燃やしてって言われたら燃やすべきだよな人として、とか
船の名前が「忍耐力」とか、色々つっこみ所は多い。

続編への思わせぶりな前振りがありましたが、
うーん、続くかなこれ…興行成績的に…。



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「プリキュアスーパースターズ!」

2018年03月23日 | アニメ映画

怪物が現れ、HUG組のメンバーがさらわれてしまう。
怪物はキラキラ組と魔法つかい組にも魔の手を伸ばす…というあらすじ。

久しぶりに全部破壊してやる系のデカイ敵でした。
「主人公の子供の頃になんか縁のあったキャラクターがねじれてラスボス」
パターンは過去に何回かあったので、そろそろ封じ手にしてはどうか。

今回はラストのミラクルライトを振る時間がどえらく長く、
隣の女児は大変苦しそうにしており、
お母さんが「もういいんじゃない?」と止めに入ったのですが、
女児は振り続けた。
かわいそうなので女児の体力を考慮してあげてほしい。


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「リメンバー・ミー」

2018年03月22日 | アニメ映画

19本目のピクサーアニメです。
リー・アンクリッチ、エイドリアン・モリーナ監督。
メキシコの少年が主人公。
「シェイプ・オブ・ウォーター」では緑がアクセントカラーでしたが
本作では輝くようなオレンジ色がそうです。
カラフルな色紙の飾り、先祖を祀る祭壇の蝋燭と花々、
登場人物の褐色の肌と、真っ白い骨、
ちょっとほかに似たものを思いつかない色をした霊獣、
ともかく色の鮮烈な映画でした。
シナリオも良かった。

12歳の少年ミゲルは音楽を愛する少年。
しかし祖母の祖父が、むかし音楽のために妻と娘を捨てて去ったという過去があるため、
一族は音楽厳禁の家訓を守っていた。
ミゲルは、誰よりも尊敬を集めるミュージシャンのエルネストに憧れていたが、
曾祖母の写真の端に写る曾祖父のギターが、
エルネストのものと同じであると気付いた彼は…というあらすじ。

おちばれ注意

ミスディレクションが大変うまくて、
大人の私もコロっと騙されたので、子供さんはさぞかしびっくりされたと思う。
1年に1度帰ってくる先祖を、子孫がお迎えするメキシコの儀式は、
日本にもそっくりな風習があるので親しみがわいた。
(でもなぜこの手の風習は年に1回なんだろうね)
あとお母さんが履物を脱いでめった打ちにする攻撃は「じゃりン子チエ」を思い出した。
メキシコ=大阪なのかもしれない。

ただ、家族に夢を否定されても、家族を大切にしなければならない。
家族だから最終的には分かり合えるという内容なので、
そこに挫折した人にはつらい映画かもしれない。
でも大家族の互いを想い合う描写はとても素敵でした。

彼は好ましい人物だけどでも扶養責任と育児責任を放棄したのはよろしくない。
バチがあたって酷い目に遭ったという事で納得するけど。

同時上映
「アナと雪の女王/家族の思い出」

離れ離れになって育ったエルサとアナは、
自分達にクリスマスの習慣がない事に気付いて悲しむ。
オラフが、姉妹のために街中を回ってクリスマスの習慣を収集する…というあらすじ。
姉妹が互いしか見てなくて、新曲の歌詞が
「どんな場所でも私は行くだろう、そこにあなたがいるなら。
どこだってかまわない。あなたが一緒にいてくれるなら」
という最高のもので、新刊ありがとうございました!という気持ち。

ところで前作では魔法の建造物を作る時は、
それなりに力をこめないと発動しなかったエルサですが、
今回はノールック、片腕一振りでも魔法を操っており
魔力の上昇を感じさせました…。ディズニープリンセス最高の戦闘力…。


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「シェイプ・オブ・ウォーター」

2018年03月12日 | 恋愛映画

デルトロ監督、アカデミー作品賞・監督賞受賞おめでとうございます!
アカデミー作品賞って、「ロード・オブ・ザ・リング」を例外として
歴史、戦争、犯罪、実話、社会問題、悲劇、悲恋、悲劇、とか
そんなのばっかりなので、作品賞受賞は無理かも…とちょっと思ってました。
でも賞のほうが変わりつつあるのかな?
65歳以上の会員さんが多いと聞きますが、この作品を実際に見て
票を投じられたのだとしたら感性の尖った人が多いのだな。

これは子供には分からない大人のための絵本で、
ものすごく美しい色で描かれていますが同時にものすごく醜いものも映るし、
残虐で、かつ純粋な、血と汚物とサイコパスと、善意と無垢とロマンスの物語です。
若いデルトロ監督には撮れなかったし、10年後のデルトロ監督にも撮れないであろう
今だけの奇跡のバランスです。
でもみんな見てねー!ってタイプの映画じゃない。

ねこが残酷に死にます。あと、きつめの人体損壊があります。

60年代、航空宇宙研究所で清掃の仕事をしているイライザは、
子供の頃に喉を裂かれて口がきけないというハンデがあったが、
理解のある友人と猫たちと共にひっそり暮らしていた。
ある日、研究所に水棲生物が運ばれてくるが、
凶暴性を見せるその生物に、彼女は知性を認めるというあらすじ。

全部ばれ

画面全てがドレスの柄のようでした。
色が本当に素敵だった。緑が差し色。
映画館上階にある彼女のお部屋の内装が特別に好きです。

この映画、ヒロインを普通に若くて美しい女性にして
ハンデはあるけれど知的で勇敢で、でも男性は怖い。
そんな彼女が魚人と出会って、彼の知性に気付き…という話にしたら
完全にディズニー鉄板コースで全年齢むけ、興行収入は倍になったと思いますが
デルトロ監督は絶対そうしたくなかったのでしょう。
ラブロマンスは若い美男美女だけのものか?女性は選ばれるだけか?
性の相性はどうするのだ?異種間の意思の疎通はそんな生易しいものか?
等々、わりと詰め込まれていました。
女性が常に選ばれる問題に関しては特に「魚人大丈夫…?性虐待されてない…?」
って心配になったくらい(笑)

イライザ、登場と同時に自慰をおっぱじめて、
うわー!「ヒロインは性的に無垢、消極的なのが望ましい」っていう
アジア男女両方のニーズを冒頭から鉄拳粉砕だー!!って思いました。
(でも川に捨てられてたイライザの人生も性も全部水に縁があるんだなっていう一連の流れは好きです)
彼女は痩せた中年女性で、そして性格も控えめで知的で忍耐強い…とかでは全然なく、
結構人の親切に無頓着で、忠告とか聞かない。聞く素振りすらしない。
やりたい事は後先考えずにやってしまう。自分の意志を押し通す。
気に障ったら上司にファックサインを出すし(わりと素で)、めっちゃ我が強い。
でも友達のことは大事にするし、仕事仲間のゼルダとかは
イライザのそういう変な所が好きなんだと思います。

1人の女性が、全自分、これまでの人生の時間と精神を賭けて恋愛をする話から
「口のきけないハンデがあっても、こんなにかわいい子ならOK」
っていうルッキズムジャッジメントを排除したかったのではないかしら。
女性の自己投影・感情移入も、男性のポルノ目線もシャットアウト。
でも気付いたらイライザと魚人に寄り添って、いつのまにか励まし喜んでいるようなお話でした。

イライザのお友達が皆好ましい人なのも、とても良かった。
主人公を助けるだけのご都合主義マイノリティではなくて、
ジャイルズは片想い中のクズ男に失望して決別(そして毛が生える)、
ゼルダも(たぶん)クズ旦那と決別するというそれぞれの物語があります。

無自覚に他者を圧殺するマジョリティ&ホモソーシャルを痛烈に皮肉っていますが、
彼等自身そのシステムに囚われていて抜け出せない面も描写されています。
ストリックランドは「パンズラビリンス」のヴィダルが転生した男だと思うんですが、
性格造形がグレードアップされてる。

これもしかして、クトゥルフ・ユニバース展開して
最終的に「狂気の山脈にて」につながるのでは…?と思った。
見たい!監督がんばって!


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「15時17分、パリ行き」

2018年03月08日 | 実話系

2015年の夏に起きた、フランスの高速鉄道内で
自動小銃で武装したイスラム過激派男性を、
旅行中のアメリカ空軍兵士と州兵と大学生の幼馴染3人組が制圧した
タリス銃乱射事件をイーストウッド監督が映画化したもの。
なお、主役3人や乗客などを本人が演じるという
異色の作品になっている。

しょっぱい感想になりますのでご注意。

列車のテロリスト制圧はごく短い時間の出来事だったので、
映画は3人の幼少時代の話と、軍人になる経緯、
それとヨーロッパ周遊の話をたらたらやります。これが結構だるい。
旅先で女子をナンパしたり、撮影禁止の場所でバッシャバシャ写真撮って、
展示物をdisったりとか、
フロントの女性が階段をのぼる時スカートの中が見えたり、
ナイトクラブで美女と踊ったり、いやもう、
どうでもいいオブ・ザ・イヤー受賞ですよ。

結局のところ、敬虔なクリスチャンのシングルマザーに育てられた白人の少年が、
周囲からだめな人間とみられつつも
主よ、私をあなたの平和の道具としてお使い下さいと祈り、
銃と軍への健全な憧れを持ち続け、
愛国心と友情と、神の導きによって虐殺を阻止するという、
過去パートはその筋立ての補足なんですが、
まあこれ他の監督なら20分で済ませると思います。
白人男性のクリスチャンの軍人がヨーロッパで身を挺して大勢の命を救い
イスラム過激派を倒すという内容、最初に予告を見た時
ああ、イーストウッド監督(と年配の男性)がお好きそう…って思いましたけど、
感情移入しすぎて客観性を見失うほど好みのテーマって、
撮らない方が賢明じゃないかしらと思いました。

3人の男性の演技については自然だったなと思うし
あと自動小銃を構えている相手に向かっていくのは、
ものすごい度胸と滅私の精神で、そこは本当に尊敬します。
というか一番すごいのはトイレのドアが開いて、
半裸の男が自動小銃を持っているのを最初に見た男性が、
後退せずに前進したところだと思うんですよね。
確かに狭い空間で決着をつけるのが正解と言えば正解なんですけど、
そんなの咄嗟に計れないし。
恐いものが突然出てきても、白色人種は突進する人が多いのか?
さすがは狩猟民族だぜ…。

あと興奮している人間を気絶させるのって難しいんですね。
銃底であんなに殴ってるのに、あんなにギンギンに抵抗してくるとは。

イスラム過激派のテロリストを、偶然居合わせた
屈強なアメリカの軍人が制圧して終了!力こそパワー!
対話など無意味!女子供の出る幕など当然なし!というのが現実だけど、
私は非現実世界をこれからもずっと愛します。
多様性と対話の重要さを説く物語を見て育つ子らは、
今よりもっと遠くまで行けますように。


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