映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「私ときどきレッサーパンダ」

2022年03月30日 | アニメ映画
「私ときどきレッサーパンダ」(原題:Turning Red)
監督・脚本 ドミー・シー

レッサーパンダを祭る、フロリダの古い寺の子供であるメイメイは、
母親の大きな期待に応えて成績優秀、家業の手伝いも真面目にこなしていた。
しかしある日、メイメイは自分の体が
少しずつレッサーパンダに変化しているのに気付いてパニックを起こす…
というあらすじ。

予告で見た時は教室でレッサーパンダに変身してしまって、
ごまかすために遁走するシーンがあったように思う。
なので正体がバレるバレないハラハラものかと思っていたら違って、
母と娘の関係がメインでした。
メイメイの友達がみんないい子で仲良くキャッキャしているのを見るのは楽しかったです。

問題としては劇場が予告を打って宣伝協力をしていたのに配信のみに変更したところ。
そういう非道を働いていると罰が当たって配信戦争に敗れ、
配信部門をネットフリックスに売却することになりますよ。

良い点としては、ごく普通のアジア人の少女(中国の少女)が主人公になった。
監督も、中国出身のカナダの女性。

エンドロール後にワンシーンあります。

ラストまでばれ

母親の娘に対する過干渉、もしかすると他の人種よりも
アジア人のほうが少しだけ多いのかもしれない。
女性の地位の低さと比例するのかも。どうだろう。
この監督さんは短編アニメ「Bao」を制作されたらしい。
親と子の関係に並々ならぬ思い入れがおありのようだ。

メイメイたちの学校生活、
カーストやいじめの描かれない世界で安心した。
推し活たのしそうだった…。
アメリカにもああいう大人気アイドルグループがあるんだろうか。
それとも韓流アイドルブームが来てるのかな?
やっぱり同担拒否とか学級会とか推し燃ゆとかあるんだろうか(よしなさいよ)。

そして絵を描く女子が気になる男の子を人魚にするのは遺伝子に刻まれてるんだろうか?
チケット2万円で、直前でも買えるというのはものすごく良心的な事務所ですよね。
それともチケット争奪戦で
人海戦術とか開始1分で完売とかやってるのは日本だけなんだろうか…。
ただ気になったのは、多くのファンが楽しみにしていたコンサートと会場のドームをぶち壊して、
まったく気にしている様子のない一家とメイメイには、ちょっとモヤ…としました。
いやこれは私が「個 < 公」という思想にとらわれすぎかもですが。
補修費は保険でまかなえて、振替追加コンサートが開催されているといいんですけど。

親族の女性たちの変身シーン、中高年のプリキュアみたいで格好良かったです。

追記

ふと気が向いて、ピクサーとディズニーの(どっちもディズニー資本ですが)
長編アニメ過去作10本の主役の人種について書き出してみました。

(ピクサー)
アーロと少年
ファインディング・ドリー
カーズ/クロスロード
リメンバー・ミー
インクレディブル・ファミリー
トイ・ストーリー4
2分の1の魔法
ソウルフル・ワールド
あの夏のルカ
私ときどきレッサーパンダ

(ディズニー)
くまのプーさん
シュガー・ラッシュ
アナと雪の女王
ベイマックス
ズートピア
モアナと伝説の海
シュガー・ラッシュ:オンライン
アナと雪の女王2
ラーヤと龍の王国
ミラベルと魔法だらけの家

動物やゲームキャラクター、おもちゃなどを除いた人間だけで考えると
ピクサーは「インクレディブル・ファミリー」のみ、
ディズニーは「アナと雪の女王」1&2、合計3本が白色人種主人公、
そして
「リメンバー・ミー」「ソウルフル・ワールド」「私ときどきレッサーパンダ」
「ベイマックス」「モアナと伝説の海」「ラーヤと龍の王国」
「ミラベルと魔法だらけの家」計7本が有色人種主人公です。

(私は20本中「あの夏のルカ」と2011年の「くまのプーさん」のみ未見で、
内容などから、人魚のルカとプーさんが主人公と考えました)
深く考えてなかったけど、ずいぶん前から配慮されてきたのだな。






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「ナイトメア・アリー」

2022年03月27日 | サスペンス映画


ギレルモ・デル・トロ監督の新作です。
見世物小屋の団長に拾われた主人公は、読心と交霊のトリックを学び
やがて女性団員と駆け落ちして透視ショーを行うようになるが、
交霊術にも手を出し始めたあたりから歯車が狂って…というあらすじ。

移動式見世物の世界がたっぷりと描写されます。
美術がとても優れていた。
ヘルハウス内部が特に好きですが、ほかにもショーの背景や
教授の部屋の内装、彼等のホテルの部屋など、どれもよかった。

ウィレム・デフォー、ロン・パールマン、トニ・コレットなど、脇が渋い。
怪奇趣味だけどホラーというほどではない。
動物が死ぬシーン、人が死ぬシーンはあります。
どちらかといえば陰鬱な話なので、
山師が成功して美女たちとよろしくやって大勝利する映画が好きな人向けではない。

ラストまでばれ

山師の破滅を描く映画だからね。

二度目の映画化なのだそうですが、前作映画は見てません。原作未読。
空襲で企みがばれて、ラストは獣人なんだろうなと思ってましたが
片方ハズレだった。
リッター博士にもうちょっと比重を置いて、
復讐譚にしたらラストでややカタルシスがあったのではなかろうか。

例えどんな親であれ、親と良好な関係を築けなかった子供は不幸になる、不幸をもたらす話なので
なんとなく残酷な印象。

ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、どちらも美しく撮られてましたが
特にルーニー・マーラは、ああいう賢い妖精めいた女性が
トロ監督の性癖なのだな…と思った。



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「SING/シング ネクストステージ」

2022年03月21日 | アニメ映画

「SING/シング」続編。イルミネーション製作。
興行師のコアラのバスターが采配するシアターは連日チケットが売り切れる人気。
都会から一流芸能会社のスカウトがやってくる日、彼は自分たちのショーに自信を持っていたが
しかし彼女は一幕で帰ってしまう。
諦めきれないバスターは都会へオーディションを受けに行こうと団員に持ちかける…というあらすじ。

妻を失って以来、歌を辞めてしまった伝説のロックスターの吹替がB'zの稲葉さん。
でもタロンさんやスカヨハの歌は聞きたいし、ボノが歌うし…とすごく葛藤しましたが
結局吹替で見ました。
歌のシーンはさすがに背筋がぞくっとするほどの圧がありました。さすがだ…!
でも一体どういう伝手で、どういう心境でオファーを受けられたのだ。
松本さんを人質にとられたとかかな?

後半のショーのシーンが煌びやかで圧巻なので、この映画は映画館での鑑賞をおすすめ。

終盤までばれ

前作は微妙にモラルが低めなのが気になったのですが
今作はクリーンだった。好きです。
やはり躊躇なく仲間から金を盗む男を仲間だとかなんとか言われても心が動かない。
バスターは相変わらず山師だったけど、まあ酷い目にも遭ったからな…。

本格的な悪人はオオカミ社長だけで、あとは悪い人じゃないのはいい。
オオカミお嬢様とか、振付師の人とか。
オオカミお嬢様の吹替の人、すごい特徴のある声で、演技も上手かった。

稲葉さんは、記憶よりやや高めの声で、なんだか新人声優みたいだった。
演技は、出だしは少し不安になる感じだったが
心なしか終盤はこなれていた(ような気がした)。
歌が始まったら、もう、そりゃあ、あなたが王者で、伝説のスターですよね!
はい、ごもっともです!あなたを引っ張り出せた時点でこのショーは勝ちです!
というものすごい説得力でした。

エディがでなかった…!?
せめて電話で愚痴を言うシーンくらいはあってもいいじゃん…?




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「ガンパウダー・ミルクシェイク」

2022年03月20日 | アクション映画

ザ・ファームという組織に所属するサムは殺しを稼業としていた。
同じく殺し屋をしていた母は15年前に姿を消して以来連絡がない。
ある日、ファームから金を横領して逃げた会計士の始末と金の回収を命じられたサムは
仕事を遂行するが、会計士は何者かに娘を誘拐されて横領を指示されていたと知る。
会計士に娘の保護を頼まれたサムは……というあらすじ。

面白かった!
「ジョン・ウィック」「キングスマン」の女子版!
シスターフッドアクション映画のクオリティがどんどん上がってきて
この映画はジャンルでも上位に入るレベル。
主演はカレン・ギラン。
180センチの超スタイル、ロングリーチのパンチとキックは説得力があるし、
なおかつギャップのある童顔。主人公!って感じ。
殺し屋の支援組織であるダイナーや図書館に勤務する
アンジェラ・バセット、ミシェル・ヨー、皆プロフェッショナルで格好いいです。
残虐描写OKなかたは是非。
(キャラクターに自己投影して映画を見るタイプの男性向きではない)

苦手要素注意書き(内容ばれ)

裂傷の縫合、刺殺、切断。
8歳の子供に車を運転させ、殺人を手伝わせる(反撃しないと殺される状況ではあったが)。
本の破壊。

ラストまでバレ

ボーリング場のアクションの時は、殺さないように命じられているハンデがあったとしても
さすがに男性3人とガチファイトして圧勝できる説得力のある組み立てではない…
アクションはあまり期待できないかも…
と思ったが、笑気ガスでラリッた男たちVS麻酔の効いたサムの
遠心力頼みのバトルはすごく馬鹿馬鹿しくて、かつ凝っていて良かった。
サムの殺しっぷりは古い顔見知りでも全く容赦なくて時々ブラックで、
ヴァンパイアマスクの男の胸を刺し貫いたり、ああいうのでキャッキャしてしまうので
ガーリー残虐アクションが見られて嬉しいです。
あと恋愛も病気も貧困も夫婦仲も絡まない、
プロフェッショナルな母娘の共闘アクションが見られたのも嬉しい。

最近は師匠役の多かったミシェル・ヨー様が鎖を拳に巻いてのアクション、
ウヒョー!ってなりました。眼帯姿で泡を吹いた。
(でも半袖のワンピース姿の時に、ものすごく痩せておられたので心配になってしまった)
図書館が好きです。児童書のコーナーとかすごかった。子供が来ないのがもったいないよね。
司書さんの中ではマデリンを応援していた。目を合わせて「ふふ」って笑う癖がチャーミングだった。
あと私も斧が好きなので……。

ラスボスがしょぼいのが唯一の欠点かな?
女家族ばっかりで疎外感!って愚痴りだすのとか、ああいうシュールなセリフは脱力系で良いと思います。
あの人、奥さんには息子の死を隠すって言ってたけど、数日でバレたと思う。嘘ヘタそう…。

サムのTシャツとか、シリアルの箱とか、時々日本語が書いてあって
各国の言語に差し替えられるようになっているあれか?と思ったけど違うようだ。
画面に日本語があると、読めるまでじっと見ちゃうので、字幕を読み逃した。
サムの趣味なのかな?



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「仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル」

2022年03月15日 | 特撮映画
「仮面ライダー オーズ」10周年記念作品。
全国40館という絞った公開で、ものすごい混みっぷりでした。

グリードという異形の存在でありながら人間に味方し、
戦いの末に消滅したアンクは突然意識を取り戻す。
彼は古代オーズによって世界が滅びかけているのを知り、
共に戦った映司と再会するが…というあらすじ。

副題を「-なんでも許せる人向け-」にしたほうがよかった気がする。
脚本は毛利亘宏さん。

ラストまでバレ

キャストのみなさん10年前とお変わりなく、お元気そうで何よりです。
懐かしい彼等を、再び肉体を使って表現してくださってありがとう。

映司がなぜか死んでいて、アンクと映司の別離エンドな訳ですが、
邦画では最強の集客力を誇る病死別離ねたっぽいやつで特オタを泣かせてやるぜ…
という目論見だったんだろうか?でも前者を好む層と後者はあまりカブらない気がするし、
そうするには映司の解像度があまりにも荒くて、「誰?」という感じだった。
火野映司というひとはかなり変わった人で、
悪意が抜け落ちて神になりかけの人間というか、チャンネルが開きっぱなしというか、
そういう精神状態にある人なんだろうなと私は本編放映時に解釈してました。
でもこの映画の火野さんは、読み切り少年漫画の主人公みたいに普通の善人だった。
上手い書き手の作った、テンプレでない架空の人物、特に頭の良い人、極端な悪人善人、変人は、
作者の手を離れると途端に動かなくなる。
脚本が靖子さんではないので、靖子さんだったらなあという感想です。

せめて映司の死体を映したりせずに、割れたメダルとかふんわりした状態になって、
アンクがそれを持って旅に出るとかだと良かったですね。






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