映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ハクソー・リッジ」

2017年06月29日 | 実話系

メル・ギブソン監督。
信仰を理由として敵の殺害と武器の携帯を拒否したデズモンド・T・ドスが、
上官と仲間から軽蔑を受けながらも
沖縄の前田高地での戦いで衛生兵として目覚ましい働きをした、
実話を元にした映画です。
カトリック教の熱心な信者である監督に相性のいい題材ですね。

アメリカ人の視点なので、日本兵がすごいこわいです。
(そしてネイティブな日本語を喋ります)
アメリカ人も日本人も機関銃掃射や爆発で体が欠けまくり、
臓物がまろびでて、表皮は焦げ、小動物が集い、地獄絵図です。
前田高地は激戦で有名で、
浦添市が映画公開に際して出したメッセージも読みましたが
浦添村の住民の、戦闘の巻き添えの死亡者の率は44.6%とのこと。

ラストばれ

色々考えてしまって、なかなか1つの意見になりません。
とりあえず日本版キャッチコピー
「世界一の臆病者が、英雄になった理由とは」
分かる。1秒で認識できて人の興味を引くような言葉にしないと
いけないのは分かるんだけど、でもあんな鬼神のようなひとを
臆病者とか私ならこわくて言えない。

アンドリュー・ガーフィールドさん、
「沈黙」に続いてまたもや神に問いかける役ですが、
内に考えを巡らせる演技が良かったです。
父親のヒューゴ・ウィーヴィング氏の演技も良かった。 DVエルフ!
女性キャラクターはクラシックな描き方をされています。
初デートで男が強引なことをして女性が怒っても
内心は喜んでいるのだ、みたいな演出はどうかと思う…が、
監督の年齢を考えると仕方ないな。

高地では、宗教的な意味での奇跡が起こったと考えざるを得ない。
1人高地に留まったデズモンド・ドスは75人の負傷兵を救出しますが、
味方の爆撃も敵の銃弾にも当たらなかったミラクルと、
75人を救出する体力が捻出できたミラクル、
複合的な奇跡によって彼はそれを成し遂げたとしか。

武器を持たないけど、家にいるのは嫌で自分も闘いに参加したいとか、
最初は私も「この人迷惑だなー、軍の半分がそういう主義のひとだったら
機能するか考えてみなよー」って思ってたんですが、
チームの皆さんや上官が自主退役してもらおうと必死なのに、
全然、まったく、人の意見も恋人の説得も聞かず
自分の意志をミリほども曲げない様子をみているうちに、
いや、なんかこのひと普通のひとじゃなくて…という気持ちになってきて、
あ、奇跡ってこういう並外れた強者にしか召喚できない事象なのかも
って思いました最終的に。
(現実のデズモンド・ドスさんではなくこの映画内の話)



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「フィフティ・シェイズ・ダーカー」

2017年06月26日 | R18

「トワイライト」のファンがネット上に上げた二次創作ポルノが映画化された、
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の続編です。
SM行為に恐怖を覚えたヒロインが社長と別れたのが前作ラストですが、
しかし社長はヒロインの事を忘れがたく、ぐいぐいと迫り、
もうSM行為はしないとまで約束したのでヒロインはよりを戻します。
ある日、ヒロインは自分に似た女性に声を掛けられます。
彼女はかつて社長と支配者被支配者関係にあった女性で、
ヒロインに対する嫌がらせ行為が始まります、というあらすじ。
基本、こじれる→ベッドシーン→こじれる→ベッドシーン、の繰り返しです。
たしか6回くらいベッドシーンがあった(朝チュン含む)。

さすが元二次創作だけあって、
BL二次創作のよくある話の流れと全く同じで、
男(攻)は自分の財力や支配力などのパワーを誇示し、
女(受)にアタックする当て馬が出てきて
男(攻)は猛烈に嫉妬して敵を排除します。
男(攻)は女(受)の虜で、常にその肉体を欲します。
申し訳程度のあらすじがあって、ベッドシーンとベッドシーンの間を埋めます。
やっぱり多数の女性が求める物語の黄金パターンなんですね。

内容ばれ
突然なんの脈絡もなくヘリが落ちた時は、
もう本当に声に出してツッコミを入れたかった。な、なんでやねーん!
主人公が就職した企業を社長が買収しようとしたときもツッコミたかった。
入社したてのヒロインが、辞めたセクハラ上司の替りに、
編集長に抜擢された時も(実力で)、なんでやねーん!って言いたかった。
あと社長、あんまり仕事してないね。

社長のお母さんの物語、長年の親友が
自分の息子と肉体関係を持っていてそれを秘密にしており、
しかもSM調教までしていたという、こちらの方が物語としては重厚だと思います。

SMに関しては今回はマイルドで、強制開脚足枷とスパンキング、
あとレストランでパンツ脱げって命令したり…これはSMなのかな…。
足枷を持ち上げて体を反転するシーンは、腰痛持ちさんは即死すると思ったけど、
人種の違いによりあちらのひとは若い腰痛持ちとか存在しないのかな。
ところで社長が、自分はドミナントではなくサディストだって弁解してたけど、
ドミナントの方がやばいという認識なのか…?

エンドロールの途中に3作目の予告が入ります。

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「キング・アーサー」

2017年06月22日 | バトル映画

やんちゃなガイ・リッチー監督がアーサー王伝説に挑戦です。
兄に嫉妬する弟が王を殺害するが、その子供は逃げのびて
スラムでたくましく育ち、やがてエクスカリバーを抜いて
民衆の支持を受け、反旗を翻す!というあらすじ。
アーサーをチャーリー・ハナム(パシフィック・リムの主人公)が、
嫉妬する叔父をジュード・ロウが演じます。
監督はジュード・ロウをともかく美しく無慈悲に撮りたかったらしく、
そこのところは完璧といえます。
しかし興行的にはどうやら敗色濃厚のようです。

内容ばれ(ややdis入ります注意)

文章だと「時間を巻いて書く」という技術があるのですが、
それは映像や漫画では通常は使えません。
でもガイ・リッチー監督はこの手法が得意で、
10年以上前から演出として愛用しておられて、
そろそろ完成形に近付きつつある感じです。
(あの毛皮商人から上納金をせしめ、白髭を圧倒した説明のくだり)
回想シーンでも早送りでもカットバックでもない不思議な手法です。

人質をとってアーサーに言う事を聞かせるシーンが3回あったり、
危ないからここに居ろという大人を振り切って
ブルーが父ちゃんを探しに行ってしまうシーンが2回あったり、
特に人格もなく、何の抵抗も出来ない女性キャラクターが殺されるシーンが3回あったり、
暗殺失敗のあとどう考えても分散して逃げるべきなのに、
修学旅行よろしくウロウロ団体行動したり、
いや、この映画が涙を流したり鼻血をだしたり虜囚の傍にちょっこり腰かけたり、
民衆を跪かせてスーパーご満悦だったりするジュード・ロウ激推し販促映画なのは分かってますが、
それにしても脚本段階でもうちょっとこうなんとか…と思わなくもなかった。

アクションシーンはガイ・リッチー監督お得意のスローモーション多用の例のあれ。
ジュード・ロウは最後触手にまかれて死ぬんだな?って思ってたのに違った。

そういえば弓おじさんの因縁、何だったのかな。



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「バイオハザード ヴェンデッタ」

2017年06月18日 | バトル映画

ディジェネレーション、ダムネーションに続くカプコンのフルCG映画3作目です。
1は黒髪の復讐者イエーイ!2は映画っぽい、3はバイオっぽい、という感想です。
監督は辻本貴則さん、エグゼクティブプロデューサー清水崇さん、音楽川井憲次さん。
冒頭はちょっとホラー寄りですが、中盤以降はアクションメインになります。
アクションはかなり面白くて、距離ほぼゼロで組み合いつつお互いに発砲して、
体術でそれを全部かわすという、息の合った舞踏のような不思議な動きでした。

武器密売組織の潜伏場所に踏み込んだクリスたちBSAAは、
逆にゾンビの襲撃を受けて多くの隊員が犠牲になる。
武器商人アリアスが新種のウィルスを商品化している事を知ったクリスは、
大学教授としてゾンビウィルス研究をしているかつての同僚レベッカを訪ねる、というあらすじ。
冒頭、女殺される→男が天を仰いでウォォォ→女殺される→男が天を仰いでウォォォって
2回繰り返すのは、たとえ意図してのことでもどうかと思う。ちょっと面白い感じがしました。
あと武器商人のアリアスさん、愛しい恋人と友人達で
ウキウキガーデンウェディングを幸せいっぱい楽しんでいたら、某国に空爆されて
愛しい人が死んで復讐を誓う……というのは、
まんま「エンド・オブ・キングダム」の冒頭なので(あっちは愛娘)、
映画とか見て学習しなよ…「ブレイキング・バッド」がある世界ならエンドオブシリーズもあるでしょ…
どうしても結婚式したいなら地下の核シェルターでやりなよ…
自分は法を破るけど、敵は人道的に攻撃してくれなきゃ怒る!っていうのは我儘だよ…って思いました。

ディジェネのオラオラした彼はどこへ行ったのか、やさぐれて酒びたりのレオンが見られたので、
これに1000円の価値はあるなって思いました。
レベッカの教授設定、ゲームの方にも一応あるんですね。びっくり!

内容ばれ

レオンのアクションだけ物理法則がなんか違って、面白かったです。
特にバイクのところ…民間人も華麗に爆殺しているけどねレオン!!!!

CGは、実写と見間違えるというところまではいかず。
(たぶんKINGSGLAIVEと無意識に比較している)
肩と上腕のところの服地の感じ、あと髪のせいかも。


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「怪物はささやく」

2017年06月12日 | 児童文学系映画

難病の母親と暮らす少年は、
アメリカで新しい家族を持った実の父親、厳格で気の合わない祖母、
執拗に暴力を振るうクラスメイト、等々諸問題を抱えていた。
ある夜、机に向かっていた少年が異変を感じて窓の外を見ると、
遠くに見える墓地の西洋イチイの木が立ち上がり、
少年の家までやって来てこう述べた。
「自分はこれから3つの物語を話す。
だが、最後の4つ目の物語はお前が真実を話すのだ」と。

物語が人間を救う系のお話なので、後味は悪くないです。
「パンズ・ラビリンス」のスタッフが贈る!という売られ方をされてますが、
ラストはあそこまで鬱ではない。
イチイの木が話す物語の絵がとても美しいです。
単純な線だけど複雑な色合いで、素朴でダークで。

内容ばれ

2つ目の物語は途中ですでに牧師が悪いと思ったし、
4番目の真実は「普通にあるある!」「気にする事ない!」
って思って、自分の事「大人だな!」って思いました…。
(ちなみに1つめの物語は、杉下右京さんがいれば一発解決ですね…)

ラストで「お前のパンチ、効いたぜ…」って
あの子と友達になるんだと思ってました。
まあすごい良いラストなので、BLとか入れてるヒマがないのは分かりますよ。はい。

母親をフェリシティ・ジョーンズ、祖母をシガニー・ウィーバー、
イチイの木はリーアム・ニーソンが声を演じます。
さすがに皆さん世界観にぴったりの演技。
主人公も、陰のある役柄に相応しい複雑な表情をする子だった。


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