映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「search サーチ」

2018年10月30日 | サスペンス映画

映画の最初から最後までを
端末の液晶画面に映る各種アプリや映像で表現するという面白い試み。
(ホラーだと「アンフレンデッド」があります。
あれは部屋を暗くして普段使いの端末で見るのをおすすめ)
(サスペンスの主人公一家がアジア系というのも
これまでは数少なかったですね)
先鋭的な部分が宣伝されていますが
骨子は、しっかりしたサスペンスです。
最終的な結末には、色々ちゃんと伏線がある。
残酷描写がないので、怖いのが苦手なひとにもおすすめです。

友人の家で徹夜で勉強すると連絡のあった娘が翌日になっても帰らず、
父親は娘の友人に連絡を取るが、勉強会は9時頃に終了し
娘は自宅に向けて出発したことが判明。
さらに大学に登校しておらず、
他の友人との約束も無断でキャンセルしていた事が分かり
父親は娘のSNSを次々覗いていくが、そこには彼が知らなかった
娘の姿があった…というあらすじ。
主人公はスター・トレックでスールーを演じているジョン・チョウ。

冒頭の、娘が誕生してから大学生に成長するまで
一家に何が起こったのか、アプリだけを使って表現するところ、
めっちゃ上手いな!と思いました。
メッセージを書き直したり、スケジュールを変更したりする、
そのカーソルの動きで色々な感情が読み取れますね。

犯人ばれ注意!

非公開になっている娘のSNSのパスワードを
お父さんがどんどん割っていくところがホラーでした(笑)
ちょっと自分のアカウントのパスワードの再確認をした。
よくある薬物!売春!堕胎!殺人!
みたいなあれかなと予告では思ってましたが、
娘ちゃんがとっても良い子だったので安心した。

この犯人とお父さんは完全対称になっていて、
立場が逆ならお父さんも同じことをやったかもしれない。
鑑賞者として見ていると犯人の認知がさりげなく歪んでいて、
責任の一端が犯人にあることは分かるけど
自分があの立場だったら自分の歪みに気付けるかどうかは自信ない。
自分由来の、自己顕示欲や支配欲や様々な欲望願望が原因の認知のゆがみは
頑張れば認識できそうだけども、
ああいう自分に利のない本能的な献身からくる歪みは抗い難いんじゃないだろうか。

「たった1度の過ち」っていうのは実際に
マスコミに向けてそう発言した人がいたように記憶してます。
(その時も、この人は認知が歪んでいて、いいことを言っているつもりなのだ…
わあ…って思いました)
でもその権限のない人間が判断してはいけないし
大抵の場合は「たった1度」ではなく、それ以前の積み重ねがある。




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「映画 HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」

2018年10月29日 | アニメ映画

現行のプリキュアのHUGプリと、初代にフォーカスした
オールスターシリーズです。
プリキュア達から記憶を奪う化け物、
ミデンに襲われたHUGプリチームは、
仲間が幼児に退行してピンチに陥る。
同じくシャイニールミナスを幼児化されてしまった
キュアブラックとキュアホワイトチームと合流し、
対策を練るが…というあらすじ。

2チームに焦点を当てるとお話も丁度よいボリュームです。
最近のプリキュアが主にキラキラした魔法っぽい技(遠隔攻撃)で
戦うのに対し、初代は比較的拳とキックで戦うので
バトルシーンに見ごたえありました。力の初代!
あと2人の絆エピソードもたっぷりあるので、
ふたりはプリキュア好きの人は是非ごらんください。

内容ばれ

本編でやると思っていた育児ノイローゼてきなものを
映画でやりました。
まあ実際の幼児をイライラして怒鳴りつけるのは陰惨すぎるので
独りぼっちになった悲しさのあまり、今だけ幼児になっている仲間に
つい余裕を失ってしまって…のほうがよいと思います。
あと幼児ぎゃん泣きは優しくあやしても全く効果ありません!
っていうのをちゃんと明示しているのもいいなと思いました。
更に、弱音を吐くはなちゃんに、プリキュアがそんなんでどうする!
と激励しようとしたハリーに、初代が
プリキュアって言っても中学生なんだから無茶いうな!
ってビシっと言ったのもすごい細やかだった…。
脚本が香村さんだと安心感ある。

心折れたはなちゃんのシーンで、
ミラクルライトを振っていた女児が数人いました。
(戦闘中に指示された時だけ振る決まり)
女児優しい…。

映画の後半からCGになりますが、
そんなに違和感がなかった。(やっぱり表情は硬いけど)
ミデンのデザイン、単純だけど
後で考えるとなるほどというパーツもあり、
なによりCGになってもほぼ変化なかった。

次回はミラクルライトのなぞに迫るそうです。
えっあれ皆がプリキュアを応援する気持ちが自然と結晶化した
よく分からないアイテムじゃなくて、どこかで作ってるリアルの物質なん!?


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「バーバラと心の巨人」

2018年10月19日 | 児童文学系映画

監督アナス・バルター
脚本ジョー・ケリー
ジョー・ケリーとケン・ニイムラのコミックが原作。

変わり者の少女バーバラは、巨人が近付いているのを察知し、
呪術的な罠や武器でひそかに街を守護していた。
転校生はバーバラと友情を育むが、
バーバラの常軌を逸した巨人への執着に不安を覚えるようになる。
バーバラにはある秘密があった、というあらすじ。

原題と全然違う邦題を非難する意見もあるようですが、
迫りくる巨人にハンマーを持って立ちはだかる、
ウサ耳をつけた金髪の少女のポスターで
タイトルが「I Kill Giants」という映画に興味を惹かれて見に行く種類の人は、
上映終了後に確実に怒り狂うじゃないですか。仕方ないと私は思う…。
こういう映画を見たい人のアンテナに引っかかりますように。

というか2017年日本公開の児童文学映画
怪物はささやく」と全く同じプロットなので
うーん、という感じ。あちらは少年、こちらは少女。

オチばれ

上記作品のほうは、恐怖による一過性の錯乱って分かるんだけど、
「バーバラと心の巨人」は、お薬をきちんと服用すれば
この幻覚は消えるのではないかとか、
ちょっとそのあたりの境界にある気がした。

この映画の中で一番の不撓不屈のファイターはお姉さんであると思う。
なにがしかの末期の患者の介護、フルタイムの仕事、
弟と妹の世話、家事。
どんな人種、どんな男女でも長くはもちこたえられないし、
寿命が削られた筈。
だというのに妹は学校でカウンセラーを暴行して
仕事中に電話が来るとか、想像しただけで死にます。
無理ゲーすぎて、全然バーバラの視点で見られなかった。

バーバラの世界には敵と味方しかなくて、
信用できそうだと思ったカウンセラーに
大事な存在、小さな子供がいると知った途端に
態度が豹変して「その子は死ぬ」って言っちゃったり、
他人との適度な距離を学ぶ前にあんな事になったせいだと思う。
映画ラストでは全部丸く収まった風に撮ってあったけど、
一朝一夕で改善することではないし
今後なんとかして学習しないと一生大変じゃないか。



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「ルイスと不思議の時計」

2018年10月17日 | 児童文学系映画
(原題:The House with a Clock in Its Walls)

監督イーライ・ロス
脚本エリック・クリプキ
原作ジョン・ベレアーズ「壁のなかの時計」

ファンタスティック・ビースト便乗商法の適当魔法ものかな?
と思ったんですが、
コンパクトに上手くまとまってて、魔法がきれいで、
子供がかわいくて、魔女が強くて格好良く、
こわいシーンに気合が入っていたので
私は好きだな…と思っていたらエンドロールに
イーライ・ロス監督、って出てきてずっこけました。
監督アルバイトしてるの!?

ホラー界の寵児と、スパナチュのシリーズ構成・序盤脚本家の人がタッグを組んで
児童文学に挑戦するというなかなか面白い企画。
そりゃ予告に監督の名前があまり出てこない訳だ。
「グリーン・インフェルノ」のイーライ・ロス監督!とか書けないもん…。

両親を事故で亡くしたルイスはおじの家に引き取られるが、
初めて訪れるその家は幽霊屋敷のような外観だった。
さらに驚いた事におじの職業は魔術師で…というあらすじ。

ケイト・ブランシェット演じる最強の魔女が魅力的です。
本当に魔法が使えるようにしか見えないし、
魔法が使えなくても戦えそうな身のこなし。
おじさんは、「ジュマンジ」で
中身が女子高生のおじさんを演じていた人ですね。

内容ばれ

第二次世界大戦で部隊とはぐれたカイル・マクラクランが、
黒い森で悪魔と出会うシーン、ちょっとぞっとしました。
悪魔が何も言わずに飲み物をくれるのとか、
ヘラヘラ笑いながら飲んじゃうところとか。

この映画の友情の描き方が結構好きで、
おじさんとツィマーマン夫人はいつも罵り合ってるけど、
夫人は親友のおじさんを信頼してるし、
おじさんは夫人のいないところで、夫人の魔法を絶賛している。
あとおじさんとアイザックの友情とか、ルイスとローズの友情とか。
ホラー映画独特の、世間から浮いた人間の結束と
隠された力の発揮も良かった。
ルイスが自分のライフスタイルを組み込んだ
オリジナルの魔法を作り出すところ特に。
ホラー映画の鉄則、リア充への殺意も健在で、
タービーとかはすごい扱いでしたけども。

原作シリーズは長く続いているようで
ローズとツィマーマン夫人はバディだそうですが
それはちょっと続編で見てみたいです。
1973年の原作初版の挿絵は
エドワード・ゴーリーとのことで、普通に欲しい!
原作あらすじを読むとルイスがかなりアカン子みたいで、
映画ではそこが修正され、しわ寄せがタービーに行ったっぽい。

エンドロールがとってもかわいい。
何気にベルゼバブが混ざってフィナーレの挨拶をしていた(笑)



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「アンダー・ザ・シルバーレイク」

2018年10月16日 | 精神系

「イット・フォローズ」の監督デヴィッド・ロバート・ミッチェルの
不条理サスペンス。
主演はアンドリュー・ガーフィールドさん。
あー、そうかー、ホラー監督になりたくないからそっちに行ったかー…
という若干のがっかり感。

ロサンゼルスのシルバーレイクでのし上がろうとしている主人公は、
職もなく、家賃も滞納し、生活に困窮している。
ある晩、近所に住む美女と知り合っていい雰囲気になったので
翌日も彼女を訪ねていくと、家は空き家になっており彼女は消えていた。
主人公は消えた美女を探して情報を収集する、というあらすじ。

陰謀論とロサンゼルス、セレブと美女、犬殺し、フクロウ、乳尻太もも。
他人の夢を強制的に見せられているような映画です。
その夢は性欲を持て余した20代男性の夢で、
話がちびっと進行しては、ふらふらと乳尻太ももに舞い戻るのを繰り返す。
お向かいの色っぽいお姉さんが乳を丸出しにして窓ふきをしていて、
チャイムを鳴らしてお宅訪問しただけでなぜかベッドインできるという
ハメンジャーズもびっくりの展開には笑ってしまった。
乳尻太ももを堪能するか、あるいはアンドリュー・ガーフィールドさんの
全裸や嘔吐や自慰シーンがあるので、ファンがそれらを鑑賞するにはいいと思う。
あるいは不条理系映画の好きな人むけ。

こういう悪夢とモチーフのネックレスになったような作品は
レフン監督やリンチ監督が競合相手になるので、
ちょっと分が悪いのではないか。

排便シーンおよび糞便がばっちり映ります。苦手なひと注意。

内容ばれ(貶)

色で読み解いている人もいらっしゃるし、
ハリウッドの不審死で読み解いている人もいらっしゃるようです。
(監督の第一作ともリンクしているようですが私は未見)
私は三と三角がやたら出てくるのが気になりました。
イエス(三位一体)、吸血鬼の花嫁の三人、
セレブの副葬品の美女も三人、ゼルダの伝説と言えばトライフォース、
ミュージシャンの大便も三角形(たぶん)、
シェルターの中にあったホルスの目のマークも三角。
(プロビデンスの目かもしれませんが、下に曲線が描いてあった気がするので)
でもこの手合いは考察すると、つけあがるから考察しない(←?)。
そういえばレフン監督の「ネオン・デーモン」にも謎の三角形出てきてたな。

ビジュアルに統一感がなかった。時々ものすごく雑な画があって目立った。
シェルターから出るあたりとか、セレブの庵訪問とか。
お墓で気絶するシーン、ヒッチコック(墓石!)風に撮りたかったんだろうか。
だとしたら上手くいってない。

なぜか死体がバーンと分かれて道の左右に吸い込まれるシーンは好きです。

私は謎解きも物語も好きだけど、
大物になりたいとか、異性にもてまくりたいとか、なぜ自分を認めないんだとか
そういう感情はほぼゼロに近いので、この映画は刺さらなかった。
せめて音楽に造詣が深かったら、もう少し楽しめたのかも。




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