映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「スタートレック・イントゥ・ダークネス」

2013年08月29日 | SF映画


見始めてすぐに「あ、そういえば私は前作のカークがあまり好きではなかった」
ということを思い出しました。忘れていた。
でも本作公開前に、なかのひとクリス・パインが日本のラーメンが大好きであることや、
食べこぼしが酷くて衣装さんにいつも怒られているという情報が流れてきて、
傲慢な若者=若さゆえのやんちゃ、くらいで補正がかかりました。よかった!

BBCドラマ「シャーロック」のシャーロック役のひとが
世紀の大悪役を演じるというのをセールスポイントとして推しています。
確かに見応えあった。

内容ばれ

・ジョン・ハリソン大暴れの本筋を取り除くと、
 教科書通りのラブロマンスの話である。カークとスポックの。
 カークが愛情を示すが応えてもらえない→別離→再会→別離→スポック愛情に気付く→再会
 途中スポックと女性とのチュッチュが入るが、カークとの感情のもつれがロマンティックすぎて
 言い訳的なラブシーンにしか見えない。はいはい、ゲイじゃないゲイじゃない。
・彼の名が本当はジョン・ハリソンではないというサプライズは、最近ちょっと流行気味。
 (ダーク・ナイトやスカイ・フォール等)
・J・J・エイブラムスは、空気が読めてノリのいいコラージュ師なので、
 独創的な話や緻密な話には向いてないですが、こういうシリーズものには合ってる。
・「人類最大の弱点は、愛だ」というこの作品のキャッチコピーは、
 見終わっても意味がよく分からなかったのですが、
 ひとは相手をdisるとき、無意識に自分が言われたくないことを言ってしまうらしいので
 「僕の最大の弱点は、愛です!」ということなのだろう。うむ。
・宇宙船を蹴って直した!というかむしろなんでそこそんな歪みやすいデザインにしたの!
・どう少なく見積もっても船と地上で合計数百人死んでると思うけど
 ジョン・ハリソンは死刑にならないの!?
・そして罪もないクリンゴン人が数十人ぶっ殺された事実に変わりないと思うのですが
 犯人の引き渡しも処刑もなしに戦争にならなかったとは、
 なんと友愛と平和の精神に満ちあふれた種族であることよクリンゴン。
・あんなに必死になるとは72人の部下(ソロモン王か?)のなかに彼氏がいたに違いないよ。
 もしその彼氏が起きてたら、きっと無茶と短慮をいやというほど叱られるに違いないよ。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ワールド・ウォーZ」

2013年08月25日 | ホラー映画

ゾンビ映画です。
CMや予告ではそこのところを伏せていますが、
作品中で特にどんでん返しだったりする訳ではないので
ちゃんとゾンビ映画って分かるようにしたほうがいい…。
パニック家族愛映画だと思って見て
「ホラー映画じゃん!」って引いている人を見かけました。
あと逆に見逃しちゃうゾンビ映画好きもきっといらっしゃると思う。

噛まれて12秒でゾンビになってしまう未知のウィルスが原因で
世界各都市が壊滅する未曽有の危機に、
国連の有能な職員であった過去を持つ主人公は
家族の安全の保障と引き換えにウィルス発生の原因調査を引き受ける。

「ドーン・オブ・ザ・デッド」と「コンテイジョン」を足して割ったような映画。
お化け屋敷感覚で、わりとどきどきします。
ゾンビも素早いけど、主人公の行動もかなり早い。
主人公のブラピは浦沢漫画の主人公みたいな地味な完璧超人で、
技術、モラル、ラック、精神強度、優しさのパラメーターがMAX値、
応援せずにはいられません。

内容ばれ箇条書き

・ウィルス発生の原因調査の旅、
 希望の星の博士とブラピのコンビプレイがこれからたっぷり楽しめるんだわ~
 と思っていたら、博士は出発して数分で転んで死亡。
 登場人物の死でこんなに驚いたのはひさしぶりだ!
・こういうパニックもので喘息持ちの登場人物は、
 かわいそうだからやめてあげて!と思う。
 ゾンビがうようよいるなか、落ち着いて発作を抑えるって無理!
・スーパーの薬売り場にいた人は一体何だろう。
・携帯電話のシーンはありえないわー。あれはないわー。
 ないわー。本当にないわー。
・北の国では偉い人の命令で全員が歯を抜いて助かったそうです。
・これ言ってもいいか分からないけど
 イスラエルageパレスチナsageが気になった…。
 ウィルスの危機をモサドの情報網により察知していたイスラエルは
 国を覆う壁を建造、ウィルスの締め出しに成功していた→
 人種、民族を問わず壁の中に受け入れ、それはイスラム教徒でも例外ではなかった→
 大喜びのイスラム教徒、集団で歌い始め、それを拡声器で流した→
 音に反応する性質をもつゾンビが集団でタワーを形成し、壁を乗り越える→
 壁の中の楽園壊滅。えっこれって!えっ!
・ゾンビは争いの暗喩なので、舞台になる国は戦争の火種を持っている国なのだそうだけども。
・原作ではウィルスの発生源は中国らしいですが、興行を考慮してカットされたとのこと。
 そういえば「コンテイジョン」のウィルス発生源は香港だったな。
・B棟でドキドキホラーアトラクションみたいな楽しいことになってましたが
 (あの所長は連れていくべきではなかったと私は思う)
 あれ目的の場所から離れた部屋でスピーカーを通して音楽でもかけたらよかったのに。
 或いは手間を惜しまず少しずつ始末して80人を葬るべきではなかったか。
・だるまさんがころんだwithゾンビ。
・カナダの収容施設が全滅していたら
 家族を奪った組織に、それでも貢献して人類を救うか否かのダークな選択になってましたね。
 たぶんあの主人公なら怒りをコントロールして人類を救い、
 そのあと情勢が落ち着いてのちにちゃんと手続きを踏んで法的に償いをさせそうだけども。
・これも製作費約2億ドル。
・むしろ、如何に人間が狡猾で強靭かを丁寧に描く原作が面白そう。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「パシフィック・リム」

2013年08月14日 | SF映画
日本のアニメや漫画や特撮が大好きな、才能ある人が、
その手法やエッセンスを煮詰めて凄い作品を作ってくれました。
誰あろう、ギレルモ・デル・トロ監督です。

グアム沖から突如巨大な生物が出現し、怪獣は環太平洋の都市の破壊を始める。
従来の兵器は怪獣への有効な攻撃手段ではないと判断した環太平洋防衛軍は
巨大ロボット「イェーガー」を開発し、その操作は2人のパイロットが
それぞれの右脳と左脳を神経接続して行った。
ローリー・ベケットは兄と共にアメリカ所属機「ジプシー・デンジャー」を操り
無敵の活躍を見せていたが……というあらすじ。

もうこの設定!各国所属のイェーガー!パイロット2人は神経接続により全ての記憶を共有!
ロシアのパイロットとか夫婦で、旦那さんは筋肉熊なんだけど、指揮権は美人の奥さんにあるの!(パンフより)
あと中国のパイロットは3つ子!オーストラリアは父と息子!!燃えないなんて無理ですよ…。

技を出す前にぐっと溜めがあったり、仕込み武器が出る前にポーズを固めたりと、
私達が馴染んだ文法がふんだんに使われているので見ていて心地よいです。
燃える決め台詞もいあっぱいあるよ。

製作費は1億9千万ドル。
ジョニデの出ている「ローン・レンジャー」で製作費2億ドルです。
こういっては何ですがこの映画にギャラの張る俳優さんは出ていないので
お金はほぼイェーガーとkaijuの効果に使われたと思います。
物凄く贅沢なことで2度目があるかは分からないので(好きな人は)劇場で見ておくべきです。
映画館を出る時はイェーガーの歩き方になっていると思います。それって名映画だけの後遺症ですよね。

アニオタの方には吹き替えををすすめします。私は声優さんに詳しくないので分からないですが、
完璧なキャストだそうで。とりあえずアムロとシャアが出ているし、
マコは林原さんだし、あと玄田さん、千葉さん、三ツ矢さん。
私も2回目行けたら吹き替えを見たい。

小ねた箇条書きラストばれ注意

・既存作品の小ネタを一杯仕込んできているので推理する楽しみも大きいです。
 (「進撃の巨人」も偶然じゃなくてネタじゃないかな…?って思うんですよ!
 イェーガーのガイドボイスの声優さんエレンさんだし(有名なゲームのナビの声のひとらしい)。
 都市の巨大防護壁を突破されるし)
・とりあえずカプを全部書いておくと、ロリマコは鉄板として
 兄ロリ、ローリーとチャック、スタッカー司令とハーク、犬とチャック、よりどりみどり。
 しかし最大カプは博士組だと思われます。最初は喧嘩しているのに最後は認め合うカップルが2組もいる!
・雨の中の戦闘は、水の動きが機体の質量や攻撃速度を視覚的に伝え
 一種アクション漫画の効果線のような役割をしていた。
 ジプシー・デンジャーが大型船を日本刀のように構え先端を引き摺りながら歩いてくるところ、
 kaijuがコンテナを握って打撃技でくるところは、
 ヤクザ映画やヤンキー漫画のノリで大変楽しめた(笑)
・最初は「えっこれほんとうにデル・トロ監督の作品!?」って思ったんですが、
 広大な屋内空間に黄金いろの光が差したところで「おお、まさしく…」と思いました。
 監督はあのライティングが好きだな。
・要所要所で日本語が使われる。
 でも咄嗟に切り替えられなくて、つい英語字幕を読んでしまう。
 主人公は日本語達者な設定で中の人が大変だったってパンフで言ってた。
 昔の映画みたいにヘンテコニホンゴはあまりなくて、みなさんそれなりの発音されてます。
・マコのヘアメイクは、ああ攻殻萌えか…って思った。
 あと監督のヤマトナデシコドリームが炸裂しているなとも。
 「従っているのではなく、尊敬しているの」っていうセリフとか、
 あと欧米女性なら猛然と反論しているだろう所で
 涙をこらえて退席するとか。
 そっとジェスチャーで鼻血を教えるところとか、
 司令の病状を見て涙ぐんで何も言わないところとか、
 ああ、日本女性はこういうイメージなのねって逆に思った。
・ただ「先生、愛してます」という日本語は寄り目になった。
 「お父さん」とかのほうがいいんじゃね?先生が単独で敬称になるのは中国語だっけ…?
・中の人の菊池さんが、撮影がハードすぎて意識がもうろうとしてきた時は
 監督がとなりのトトロの歌を歌ってくれたそうで(笑)なんだか気絶しそう。
・ヒロインの少女時代を演じる芦田愛菜さんがすごく上手くてびっくりした…!!
・マコの過去の記憶のフラッシュバック、浴衣とかまではよかったけど、
 枯山水を製作中のマコは「おいちょっと待てや」と思いました(笑)。
・香港の基地の壁にでっかく「地面」って書いてあるのが何度も映って気になって仕方なかった。
・愛菜ちゃんが追いかけられるシーンで「萌&健太 ビデオ」って看板が目に付いた。
 看板は字体やデザイン、素材が20年くらい前の日本な感じ。なんでなんだぜ。
・日本所属のイェーガー、コヨーテ・タンゴ、すごくデザインは格好いいんだけど、
 長時間乗っていると被曝するっていう設定はどうかと思う。
 たとえ攻撃力を削ってでも、そこのところだけはすごく気を遣って造ると思うんだけどさ…!
・グアム沖がkaijuの出現ポイントなので環太平洋の21国で防衛軍を結成するのですが、
 日本なんかモロですよね。むしろ北の国の盾みたいな形をしている。
 でもグアム沖から歩いてオーストラリア(4回目の襲撃)に行くのは
 ソロモン諸島とかがすごく邪魔じゃなかろうか。などと世界地図を見ながら考えました。
 私が怪獣だったらオーストラリアには行かない。道が混んでて面倒だもの。
・博士組の記憶のフラッシュバックはスローモーションで見たい。
 あの瞬間に彼等は、お互いの全人生が見えた訳ですね…うん…。
・入るのにあんなに苦労したのに、出るのはノーチェックで簡単だった。
 宇宙人が杜撰だ……。
・そこのところはどうしようもないからいいとして、
 いきなり熱いキス大アップとかにしなかったのは大評価したい!おでこコツンなところを大評価したい!
・監督は広報のため日本に来て、スーツケース18個分のフィギュアを買って帰って行った。
・次回作あればいいんだけど、いまの成績だと苦しいのかな。
 次は各国間の紛争に使われるイェーガーと、国籍ゆえに戦う羽目になるロリマコ、
 兄の生存、イェーガーに搭乗する博士組、女子2人組パイロット、ときたところで次元の穴復活、
 結束して命令無視する各国のイェーガー乗りたち!って言う感じでお願いしますよ監督。
 設定がおいしいのでどこまででも続けられるよこれ。

ちょっと大きめのお友達は勿論のこと、
女の子も男の子も、怪獣&ロボ好きのお子さんみんなに見てもらいたいけど、
たぶんこれを見た子どもは誰でも一発でオタクになってしまうので、
夏休みの娯楽でお連れになるのは慎重に。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「マジック・マイク」

2013年08月12日 | 恋愛映画

男性ストリッパーの話です。
ぽんぽんすぽぽぽーんとひたすら脱ぐ!脱ぐ!
同じイケメンで同じ身長体重っぽいひとでも
筋肉の付き方は一人一人微妙に違って、非常に勉強になりました。
うつ伏せになったり仰向けになったりかがんだりの動作も多いので
ネイキッドな漫画をお描きになる方にはよい参考資料になると思います。

何をやっても駄目ん坊フリーター19歳が工事現場で出会った男に
ストリップ劇場にスカウトされ、花開いていく物語です。
主演のチャニング・テイタムがむかしリアルストリッパーだったという経験から
出来上がった企画らしい。たしかに群を抜いてうまかった。

印象に残ったのは、客席の色んな年代の女性方が
とてもとても楽しそうでキラキラしてた事。
あと学生寮みたいなところの、女子会に出張ストリップに行くシーンで、
居間でキャーキャー盛り上がる女子たちとは対照的に
キッチンみたいなところで「サイテー…」みたいな顔をして無言でうつむいている男子たち。
笑った。うん、セクハラはだめですね。

ラストばれ

でも恐いのはたぶん、あのままアダムはだめになるだろう事。
アダムを生贄、身代りにしてマイクは危ない所で助かった事。
ちょっとした運とかタイミングなんでしょうね。

ストリッパーの1人でホワイトカラーのマット・ボマーが参加してます。

どーでもいいですが1万ドルくらい姉がすぐ返せやと思いました。
またあれか、アメリカ人貯金しないって話か。

スティーブン・ソダーバーグ監督は「エージェント・マロリー」あたりから
作風がガツーンと変わったような気がする。上手く言えないけど、ゆるくなった?


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ローン・レンジャー」

2013年08月08日 | アクション映画

ディズニーでブラッカイマーでジョニデの、
パイレーツっぽい企画をもう一丁立ち上げてみましたという映画。
過去にあったシリーズのリメイクです。
(「ハイヨー!シルバー!」というセリフは、うっすらご存知の方も多いと思います)
いまのところ興行的に苦戦しているようですが、
パイレーツシリーズよりは話が整っていて、
そしてたぶん戦略的にややブロマンスが重視されているので、
腐女子の夏休みの娯楽としておすすめです。
(1箇所だけ、直接は映りませんがカニバ表現があるのでご注意ください)
後半30分の、お金がジャブジャブとかかっている
乗馬アクションと機関車アクションがすごくて、
スクリーンで見ないともったいないです。

あとこの作品のシルバーはスーパー馬様なので、
活躍する馬が好きな人にもおすすめ。

それからこの作品、「グリーン・ホーネット」と原作者が同じで、
なんとローンレンジャーのジョン・リードと
デイリーセンチネル社長のブリット・リードは
親族という設定らしいのですね。
言われてみればどちらも覆面をしているし、異国人とのバディものだし、
作者の主人と従者萌えが色濃く出ていて納得です。
(ションディー=キモサベと、相手のことを特別な愛称で呼ぶのも共通)
「グリーン・ホーネット」も「ローンレンジャー」も
リメイク版では白人の主人がへたれ化し、従者の方が偉そうですが。
それはまあ時流を考えると当然の改変でしょう。

関係ないですがローン・レンジャー役のアーミー・ハマーは
共演者泣かせの身長196センチ。
(ジョニデが華奢な女子サイズに見えます)
砂漠の中の泉のようなキラキラした瞳、
しかも映画製作会社アーマンド・ハマー・プロダクションズ他数社を所有する大富豪のお坊ちゃん。
漫画みたいなひとですね。

内容ばれ

もっとアホな話かと思ったら、2重の復讐の話で結構シリアスでした。
少年の頃の鳥とトント、姿が得も言われず綺麗で絵になってたな…。

老トントの話を聞く子役のメイソン・クック君、
あまりにも目が大きいので「この子は…CG…?」と思ったけど
実在しました。大人になったらどんな顔になるのか。
それから予告では峰不二子的活躍をしそうだったヘレナ・ボナム・カーターは
あまり出番はありませんでした。
登場シーン総カットされても問題ない感じの…。

トントの妄念をジョン・リードは否定し、
トントも最終的にはそれを認めましたが、
でもジョンは本当にスピリット・ウォーカーで
その魂は死なずブリットに転生し、
トントもカトーになって再び出会ったのかもしれないなーと
勝手にロマンを捏造しました…。
ちなみにジョンの甥っ子の名前はダニー・リードで
ブリットのおとんはジェームズ・リード。このあたりが親子なのかな…?

音楽がジマーだって全然気付かなかったけど、
終盤のウィリアムテル序曲が最高でした!
あれが鳴り始めてからが本番だと思う。あの盛り上がりはすごかった。
列車の中を馬が駆けたりするのって格好いいですよね!



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする