映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「アメリカン・スナイパー」

2015年02月27日 | 実話系

クリント・イーストウッド監督。
イラク戦争に4度従軍し、公式戦果160名殺害、
「史上最高の狙撃手」と称賛されたネイビー・シールズの狙撃手
クリス・カイルの自伝を元にした伝記映画。

イーストウッド監督の映画は
見る者の心を抉ってくる作品が多いですが今回かなりマイルドです。
実在の人物のお話でもあるし、彼のお子さんに配慮したとのことです。
(あっでも当然のごとく子供も女もバンバン殺されるし
生首拷問血まみれ何でもありです)

予告でもありましたが、
子供が対戦車手榴弾を持って隊に近付いていくのを
狙撃手として潜伏しているクリスは発見します。
司令官に報告しますが、司令官の位置からは子供を確認できない。
自分の判断で撃てと言われます。
子供はとことこと近付いていきます。
間違いだったら軍の刑務所行きです。小さな、罪のなさそうな子供です。
引き金に指がかかります。
うわ~、嫌だ~、彼の立場に立ちたくない~という、本当に巧い冒頭でした。

真面目な話(おちばれ注意)

コーランで始まったので、対称的に合衆国国歌で終わるのだろう、
しかもPTSDを克服して、社会に再適合すればするほど
クリスの目は虚ろになって魂は減っていって、
最後に、行けばどうなるか心のどこかで分かっていながら出掛けて、
あの世界から彼が逃げ切れたと思ったけどそうではなかった事を観客が痛感したところで
そこで暗転して国歌…とかそういう感じだろう…と思っていたら違った。
わたしはイーストウッド監督のことを鬼だと思っている(笑)

以前にも書きましたが、人間には日々の生活を繰り返して
平凡に老いて死ぬよりも、もっと大いなるもののために、
国家や神や正義や仲間や指導者のために死にたいという欲求が確実にあって、
その欲求はたぶん女性より男性の方が強い。
あの父親は羊と牧羊犬の話などするべきではなかったし、
子供に銃を撃たせるべきではないと強く思う。
(成長の段階で激しい怒りや障害とぶつかった際に
「撃てばすべて解決する」という発想が出ない筈がない)
側にいてほしいと哀願する妻との100%の擦れ違いっぷりが凄かったです。

あとイラク戦争の是非は置いて、
狂信は精神疾患だと認識される日が絶対くる。
種類に関係なく、自分の子供の命を神のために差しだすような信心は全部狂信だ
(聖書の登場人物でもアウトな人が何人かいる気もします)
(ジーザス・キャンプとか思い出します。問題は神にあるのではなく、個人にあると思います)

(あと金。問題点は主にこの3つ)

不真面目な話を含む箇条書き

・ドリル男ってモデルがいるんだろうか…さすがに架空だろうか。
 ドリルで子供を殺すって、アメコミのヴィランでも
 「ないわー」って感じなので。
・狙撃手ムスタファの睫毛がバサバサすぎてスコープが覗けなさそう…と思った。
 いっそ切れよ、その睫毛をよ。
・ムスタファとの狙撃決闘はフィクションだそうです。
・でも1900m越え射撃は実際にあるのかな?
 射出する時に0.001ミリとかずれたら当たらないだろうに
 弾丸ってそんな精度で作れるものなの?
 風の向きも強さも刻一刻と変わるだろうけど、当たるの?
・戦闘中の市街地で彼女に贈る宝石の話をするとか、
 アメリカには死亡フラグという概念はないのか。
・アメリカの鬼軍曹の罵倒はどうしてみんなキレキレなのか。
 日夜修練に励んでいるのか。それとも教科書でもあるのか。
・宗教戦隊およびテロリストの皆さんのPTSD発症率が知りたいものです。
 まあでも確実に記録などないだろうからせめて自殺率だけでも。
 なんかアメリカ側よりは低い気がするのですよね。
 皮肉なことに精神安定剤としては愛国心より宗教洗脳の方が優秀そう。
・これはジョークなのか本当なのか分からないのですが
 銃器メーカーが豚肉ペースト(または脂)でコーティングした
 対テロリスト用特殊弾丸を開発したという記事を見ました。
 他国で悪さする宗教戦隊はとりあえずそいつで撃てばいい。
・酔った女性がゲロを吐くシーンで主人公が素早く駆け寄って
 後ろから髪を持ってあげてましたが、まったく同じシチュエーションが
 この間のSM映画にあったのを思い出しました。
 アメリカ人男性はなぜあんなにゲロ慣れしているのか。
 そしてなぜアメリカの女性は人前で吐くのか。
・モニタを見ているクリスの演出、良かったですね。
・戦争賛美映画である、ない、という論争が起こったようです。
 論争が起こるほうが健全ですね。よかった。
 セス・ローゲンが「イングロリアス・バスターズ」に出てきた
 プロパガンダ映画「国民の誇り」を連想するねって言っちゃって
 ものすごい叩かれたらしい。
 (ナチスの狙撃手を描いた作中作で、ナチさんたちがバカみたいに熱狂する)
 うん、ネタとしては面白いから言いたくなるのすごく分かるけど黙っとこうな。
・「男のロマンなど知るか」という芸風のビグロー監督作品と比べると
 ややドリーミンな印象。




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「マッハ!無限大」

2015年02月19日 | バトル映画

架空の国、カタナの東西分断の危機に
周囲の国々が尽力し、和平が結ばれることになった。
タイで行われる予定の祝典で、戦乱を望む者がテロを計画し、
それは象を愛する武術家カームを巻き込んでいく。というあらすじ。

見ていて、「あれ?なんかこれ「トム・ヤム・クン!」みたいな話だな…」
って思ったんですが、帰って調べたら
この映画はマッハの続編じゃなくて、トム・ヤム・クン!の続編でした。
マッハの方が知名度が上なので、集客のための邦題なんでしょうけど、
あまりに適当すぎるんじゃなかろうか…。

「チョコレート・ファイター」のヒロインと、トニー・ジャーが共演します。
私が格闘映画の中でベスト1だと思うのが「マッハ!!!!!!!!」なのですが、
もうあの作品はあらすじがどうのとかキャラクターがどうのとかいうより、
ひたすらトニー・ジャーの身体能力を鑑賞する映画です。
今回アラフォーになったトニー・ジャーに
ちょっぴり衰えを感じました。(その分周囲のスタントの人が頑張っている)
が、途中くらいからの格闘には、やっぱり圧倒的な説得力があった。
技を出してから戻すまでが引いたカメラで撮ってあって、
軸足が全然ぶれないのがさすがだと思う。

関節技がないのはちょっと寂しい感じがします。
関節(の内側)は打撃ポイントであって、
絞めたりはしないのね。

内容ばれ

ボンテージの美女の人はたぶん格闘未経験のひとですね。
それにしても、もうちょっと撮影方法を工夫しろし…と思いました。

エンドロールが撮影風景とNG集だった!お得感!
ラスボス役の人、とても腰の低い人で
カットが入った途端にこにこして共演者を気遣うのがとてもかわいかった。

ラスボスくんがなぜカームに自分の組織の最強の戦士の称号を与えたのか
よく分からなかった…。単にトニーに焼きゴテを押し付けたかっただけかな?
うん、それなら仕方ないな。
あと近所の科学者さんの悪人設定もよく…。
大事な計画の大事な爆弾を、よくあんな得体のしれない人に任せたな…。



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「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」

2015年02月16日 | コメディ

製作・主演ジョニー・デップ
イギリスの没落貴族チャーリー・モルデカイは美術商を営んでいるが
その取引は信用度の低いもので、時に商売相手である裏社会の人間から
暴力的な報復を受けたりしていた。
財政難で税金さえ滞納しているモルデカイは、
絵画修復士が殺され、ゴヤの絵が奪われるという事件の調査を依頼され、
その絵には巨額の金に関するある秘密が隠されている事を知り、
一発逆転の勝負に出るのだった……というあらすじ。
TVで放映されるルパン三世の2時間スペシャル版、くらいのネタで
あちこちワーワー移動して何となく解決するコメディです。
やや下ネタ多し。

愛妻家のチャーリーですが、
モルデカイ家の伝統に倣って最近髭を生やし始めました。
しかし美しい妻は髭アレルギーで、髭を見るとゲロを吐いてしまう体質。
対するチャーリーは、もらいゲロ体質です。そういう経緯で夫婦仲が紛糾します。
アラステア・マートランド警部補はチャーリーの学生時代からの友人ですが
チャーリーの妻をずっと好きで狙っています。
チャーリーの執事兼運転手兼ボディーガード、ジョックは
絶対の忠誠を誓い、身を挺してチャーリーを守りますが、
女性に目がなく、また魔性のモテメンであるので
行く先々で女性と懇ろになりチャーリーを悔しがらせます。

ジョック役のポール・ベタニーがかわいい。
腕っぷしは強いのですが、なぜかうっかりしたチャーリーによく撃たれる(笑)。
あとチャーリーのセリフがなんとなく幼児言葉っぽいのもかわいい。



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「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」

2015年02月15日 | R18

R15
アメリカで「トワイライト」の二次創作としてネットで発表されていた小説が
ものすごい人気になって、登場人物の名前を変えて書籍化されて、売れて、
映画化された作品です。この小説で「マミーポルノ」という言葉が生まれました。
二次創作史的にはターニングポイント的な作品になるのでは?と思って見に行きました。
ただし「トワイライト」で書かれなかったベラとエドワードのえろが見たい!という
作者の萌えが全面に出ている話なので、ひたすらわっしょいわっしょいする映画です。
(黒ボカシがすごいだいかつやくをしますぞ)
見に行かれる際はご注意。しかもこれ話が完結してなくて、めっちゃ途中で終ります。

あらすじ
風邪を引いたルームメイトの代わりに若き会社社長のショートインタビューを
することになった女子大生の主人公。
会社社長は少し強引な超イケメン。お互いに惹かれるものを感じながらも
曖昧な態度を取る社長。なぜなら彼はSM行為でしか女性を愛せない体質で…。

内容ばれ(dis入ります)
社長室に入る時に転んで見事にビターンするようなドジっ子で、
男性と付き合ったことがなくて、お洋服ももっさりしていて、
人といるよりも本が好き…っていうヒロインを
ヘリコプターで連れ去ったり車をプレゼントしたり、
親しい男友達に嫉妬したりする強引な金持ち…
もうこの…バブルの頃の同人誌で死ぬほど見た…っていうシチュエーション…。

あと攻…じゃなく男性が地位もしくは才能、財産に恵まれており
女性側がパートナーより知力または経験値が低く、繊細で、純潔って組み合わせは、
現代ではアジアの一部地域でしか流行らない嗜好かと思ってましたが、
アメリカでも受けるんだ!?それともリバイバル的な…?
(関係ないですが上記の要素、BLの受に盛られる事が多くて、ふふって思います)

原作の感想を読むに、社長の過去のトラウマが明らかになるにつれ
盛りあがっていき、2人の関係も対等になるらしいですが、
果たして続編は可能なのかしら興行成績的に…。

社長の嗜虐嗜好が、不幸な生い立ちによる病気的な描かれ方をしているようなのが
ちょっと気になる。後半で印象が変わるのかな?
とりあえず愛していても相手に触れられたくないひとは普通に存在するし、
これもし同性愛がこういう描かれ方をしたら炎上ですよね。

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「ミュータント・タートルズ」

2015年02月12日 | アクション映画
ジョナサン・リーベスマン監督
アニメなどで日本でもおなじみの陽気なカメたちが
悪の組織フット団と戦うよ!
ティーンエイジャーで亀で忍者でミュータントって
ちょっと盛りすぎの感がありますが、賑やかなのでまあよい。
元の設定を適当に膨らませてあり、
初見でもお子様でも気軽に楽しめる仕上がりです。
(ただカメのデザインはややリアル寄りなので恐がりのお子さんは駄目かも)

日本ねた多め。
まずラスボスが日本人です。
(ただし姿ははっきり映らない)
そして珍しい事に完全にネイティブの綺麗な発音の日本語です。
悪の組織の紅一点も日本人という設定です。
カメたちも忍者なので日本語の単語を時々口にするし、
漢字も重要なポイントとして出てきます。
(しかしミュータントたちを守ってくれた人物の説明をしていて
スピリット・オブ・ガーディアン=「ホゴシャ(保護者)」
と言ったので、それ扶養責任とか監督責任が伴う気がするので
どちらかといえば守護者なのでは…と思った)

カメたちは図体がでかいけども十代なので、
メンタルは中高生…というより小学生男子で非常に可愛いです。
彼等とスプリンター先生の関係は
お父さん大好き子供4人の仲良し父子家庭的でちょっと萌えた。

内容ばれ

地下秘密基地に人を招待した時にカメたちがふざけて
「ホグワーツだよ!」「エグゼビア学園だよ!」とか言うのですが
なぜピンポイントで私の2大ジャンルを!?とどっきりしました。

カワバンガ!って結局どういう意味なんだっけ……って調べたら
半世紀くらい遡る、由緒正しいスラングだった。


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